強結合超伝導におけるエリアシュベルグ方程式の作用素論的研究
Project/Area Number |
21K03346
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12040:Applied mathematics and statistics-related
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
渡辺 秀司 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (90222405)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 超伝導 / エリアシュベルグ方程式 / 連立の非線形積分方程式 / 解の存在と一意性 / 解の温度についての性質 / 不動点定理 / 強結合超伝導 / 非線形積分方程式 / 作用素論 |
Outline of Research at the Start |
BCS理論は電気抵抗がゼロになる驚異的な現象である超伝導の理論として確立し大きな成功を収めましたが、電子がフォノンと呼ばれる粒子と強く結合するような強結合超伝導には適用できず、新たに提起されたエリアシュベルグ理論が唯一適用可能と期待されています。しかし、このとき登場するエリアシュベルグ方程式は連立の非線形積分方程式ですので、解析的にほとんど解けていません。 本研究では私の以前の研究成果を応用して、エリアシュベルグ方程式の解の存在や一意性、解の温度についての性質を作用素論的に示します。さらに電子・フォノン間の結合定数と超伝導が発現する温度である転移温度との関係式を導きます。
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Outline of Annual Research Achievements |
超伝導の理論であるエリアシュベルグ理論におけるエリアシュベルグ方程式を解くことは極めて強く切望されているにもかかわらず、連立の非線形積分方程式であるため、解析的にほとんど解けていません。したがって、エリアシュベルグ方程式の解の存在や一意性、解の温度についての性質を解析的に示すことは極めて困難です。連立の非線形積分方程式である上のエリアシュベルグ方程式に不動点定理を応用して、解の存在や一意性、解の温度についての性質を導きますが、その際、解が属するであろうと期待される適切なバナハ空間と、解が温度についてのある種の性質をもつであろうと期待される適切な部分集合を慎重に選ぶ必要があります。
そこで、電子・フォノン間の結合定数が非常に小さい場合について、令和4年度も調べました。エリアシュベルグ方程式に現れているポテンシャルに対して適切な、以前の条件よりもより弱い条件を発見して、エリアシュベルグ方程式を扱うべきバナハ空間とその部分集合を適切に設定して不動点定理を応用しました。
このようにして、電子・フォノン間の結合定数が非常に小さい場合におけるエリアシュベルグ方程式の解の存在と一意性に関する数学作用素論的な別証明を与えることに遂に成功しました。さらに、解の温度についての連続性や偏微分可能性、さらには温度についての予想されていなかった性質をも導き出すことができました。この研究成果を研究論文としてNature誌の姉妹誌であるScientific Reports誌で発表したり、また国際会議で招待講演を行いました。数学会でもこの研究成果を発表しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子・フォノン間の結合定数が非常に小さい場合について、令和4年度は調べました。エリアシュベルグ方程式に現れているポテンシャルに対して、以前の条件よりもより弱い条件を発見して、この条件の下で、エリアシュベルグ方程式を扱うべきバナハ空間とその部分集合を適切に設定して不動点定理を応用しました。
その結果、エリアシュベルグ方程式の解の存在と一意性、解の温度についての性質に関して数学作用素論的な別証明を与えました。この研究成果を研究論文としてNature誌の姉妹誌であるScientific Reports誌で発表したり、また国際会議で招待講演を行いました。数学会でもこの研究成果を発表しました。さらに、当該研究課題についての研究論文をもう一つ投稿中です。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度で得られた上述の研究成果に立脚して、令和5年度では今度は、外部磁場が存在する場合について調べます。外部磁場の存在するときに、エリアシュベルグ方程式を扱うべきバナハ空間とその部分集合を適切に設定して不動点定理を応用します。こうすることによって、外部磁場の存在する場合のエリアシュベルグ方程式の解の存在と一意性、解の温度についての性質等を数学作用素論的に示すことを目的とします。外部磁場の存在する場合におけるギャップ方程式を厳密に導出する必要があります。以前に得られているギャップ方程式には実験結果と矛盾する箇所がありますので、これを改善して新たなギャップ方程式を導き出さねばなりません。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)