ダイマーモット有機物質における反強磁性相図の完全解明と電子型誘電体研究の新戦略
Project/Area Number |
21K03438
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
谷口 弘三 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (50323374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 拓矢 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50827186)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 磁気構造 / 磁化測定 / 一次相転移 / 誘電率 / 核四重極共鳴 / 磁気トルク / 有機導体 / 磁性 / 誘電体 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ダイマーモット絶縁体と呼ばれる有機物質が示す特異な磁性と誘電性に焦点をあてたものである。κ型BEDT-TTF塩と呼ばれる代表的有機導体の反強磁性相は、20年も前からその存在が知られていたが、近年の我々の研究により、この相は、二つの異なるスピン構造を持つ相からなることが明らかになった。本研究では、この二つの相の相境界を決定するとともに、この相境界近傍での物性を解明する。また、ダイマーモット絶縁体が示す特異な誘電性を核四重極共鳴法により、微視的な観点で解明することを目指す。さらに、BEDT-TTF塩のSe置換などによる化学修飾法により、新物質の開発と新電子相の探索を推進する。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年の研究代表者らの研究により、代表的有機導体、κ-型BEDT-TTF (ET) 塩の反強磁性相には、実は、一次相転移の相境界が新たに存在することが明らかに なった。この相転移は、(ここではCl型磁気構造からBr型磁気構造への相転移と呼ぶことにするが、)半分の分子層内のスピンが180度反転し、面間方向のスピ ン配列が強磁性的配列から反強磁性的配列へと変化する特異なものである。また、この系では、電場や熱勾配によりスピン流が発生すると理論的に提案されているが、この磁気構造の相転移を利用すれば、このスピン流の検出が容易になるのではないかとの提案を行っている。 この年度は、本研究に関連して様々な共同研究が展開された。英国のグループとの共同研究では、我々が磁化測定や数値シュミレーションで提案した、κ-型BEDT-TTF (ET) 塩のゼロ磁場磁気構造と、強磁場下の磁気構造が、ミュオンスピン回転法とDFT計算を組み合わせた研究により実証された。これにより、巨視的な測定で提案された磁気構造が、微視的にも確認されることとなった。 また、同じκ型ET塩であるが、異方的三角格子と見なせる本研究の主な対象物質とは異なり、純三角格子と見なせ、且つ、キャリアードープされたκ-ET4Hg2.89Br8という塩でも、外部との共同研究により、超伝導の圧力依存性に関する新たな知見が得られている。 κ型とは異なるが、同じダイマーモット系であるλ型塩でも、反強磁性を観測し、隣接すると期待される液体相の研究に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
κ-型BEDT-TTF (ET) 塩の反強磁性相の相境界解明については、まずは、κ-(d8-ET)2Cu[N(CN)2]Cl塩において、ClサイトをBrに置換した試料の合成を目指すべく 合成研究を推進している。この合成では、仕込み組成に対して、Brが結晶内により取り込まれやすい傾向があり、Clリッチな試料(わずかなBr置換体)を合成す ることは難しい。しかしながら、現状では、約50パーセントのBr置換までは合成に成功しており、さらにClリッチな試料を合成するべく合成研究を推し進めてい る。しかし、この合成研究が非常に難しく、長らく、進展していない。 一方、共同研究ではあるものの、κ型ET塩の磁気構造の微視的確認に成功した点は大きな成果である。また、κ型のHg系やλ型塩での研究は順調に進展し、今後に期待できる状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
κ-型BEDT-TTF (ET) 塩の反強磁性相内相境界の研究において、Brがより取り込まれやすく、Clリッチな試料を合成することが難しい点に関して、たとえ微小試 料しかできなくとも磁気トルク測定により磁気構造研究を推進できる体制を整えている。これについては、データがそろいつつあり、できるだけ早期に論文化したい。また、引き続き合成研究を行いたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(46 results)
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[Presentation] μSR study of κ-(ET)4Hg2.89Br8 and κ-(ET)4Hg2.78Cl82022
Author(s)
D. P. Sari, Y. Cai, U. Widyaiswari, E. Yamada, Y. Someya, M-V. deToro Sanchez, K. M. Kojima, I. Watanabe, H. Taniguchi, Y. Ishii,
Organizer
6th International Conference on Functional Materials Science 2022 (ICFMS 2022)
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