自由境界プラズマに対する非線形拡張MHDシミュレーション技法の構築
Project/Area Number |
21K03498
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 14010:Fundamental plasma-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
廣田 真 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (40432900)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 磁気流体力学 / 自由境界問題 / 二流体プラズマ / 数値シミュレーション |
Outline of Research at the Start |
磁気流体力学(MHD)は磁場閉じ込め核融合プラズマや宇宙プラズマの巨視的なスケールの現象を理解するために広く用いられている。しかし、プラズマが真空領域と接しているような自由境界問題、あるいはプラズマ密度がほぼゼロである領域を含む問題は現実に数多く存在するが、数値計算でMHD方程式を解くのが技術的に困難とされる。本研究ではMHD方程式において無視されている微視的スケールの物理(二流体効果)を取り入れた拡張MHD方程式を解くことにより、このような真空中のプラズマの運動を適切にシミュレーションをする技法を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
二流体プラズマ方程式(イオンと電子の流体方程式とマクスウェル方程式)に準中性条件を課した拡張MHD方程式は、通常のMHD(磁気流体力学)方程式 に比べるとホール効果と電子慣性効果を含んでおり、MHDでは扱えないプラズマの挙動も物理的に正しく扱えるモデルとして注目されている。特に、宇宙空間や実験室のプラズマは密度が低い真空領域に囲まれていることが多く、MHDではそこでアルヴェン波の伝搬速度が無限大に発散するので理論も数値計算も破綻してしまう。MHDでは電子慣性効果が働く電子の慣性長のスケールを小さいとして無視してしまうが、慣性長はプラズマ密度の二乗根に反比例するため、密度がほとんどゼロになっていくプラズマの周辺部ではむしろ電子慣性効果が支配的となるはずである。 本研究では、拡張MHD方程式を解くことにより、このようなプラズマ領域と真空領域が共存する自由境界問題を物理的に正しく扱うことを目標とし、そのための理論構築と数値解析コードの開発を行っている。具体的に、円柱プラズマの軸方向に電圧をかけて放電プラズマを閉じ込めるZピンチ平衡を解析の対象とし、拡張MHD方程式を解くことで真空領域に囲まれたプラズマの平衡解が得られることを示した。また、開発中の数値シミュレーションコードでも、時間発展の結果、同じ平衡解に収束することが確認できた。プラズマの密度が厳密にゼロになる境界位置では、数学的に特異な解となるため数値的には正則化を行うことで安定な計算が可能になる。まだ単純な問題を扱ってはいるものの、拡張MHD方程式を解くことによって、プラズマ領域と真空領域を自己無撞着に解析できることを初めて示すことができ、より複雑な問題への応用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
拡張MHDにおいて、自由境界(プラズマと真空の界面)をもつ厳密な平衡解が存在することを示すことができた。ただし、界面において密度分布が滑らかではないことが数学的に予測されたので、プラズマの密度が十分に下がったところでは比熱比を調節することで解を滑らかにすることができることを発見した。これによって、界面の形成や移動の過程を数値的に安定に解くことができるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
自由境界をもつ平衡解を明らかにし、数値的にも再現することができたため、外部キンクモードのような不安定モードを加えて三次元シミュレーションを行う。まずは計算コードが安定に動作することを確認しなければならないが、計算コストが飛躍的に増加するため、反復法を用いたアルゴリズムで計算時間がどれくらい必要とされるのかが懸念事項と思われる。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)