農業収益を最大化する統合的な農業意思決定支援方法の基礎理論の構築
Project/Area Number |
21K04543
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 25010:Social systems engineering-related
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 康成 北見工業大学, 工学部, 教授 (30422033)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 農業 / 作物選択 / 栽培管理 / 履歴データ不足 / マルコフ決定過程 / マルコフ連鎖 / 動的計画法 / ベイズ統計学 / 市場価格 / 収益 / 意思決定支援 |
Outline of Research at the Start |
従来から農業収益増大の重要性が指摘されているが、これまで栽培作物の選択問題と日々の栽培管理問題が独立に検討されてきた。同一作物でも日々の栽培管理次第で収穫量は異なる。よって、本来は作物の選択と栽培管理を統合的に検討すべきである。そこで本研究では、作物の選択と栽培管理を1つの意思決定問題として統合的に検討することによる、農業収益を最大化する統合的な農業意思決定支援方法を研究対象とする。また、市場動向に従って市場価格が変化するモデルを採用し,市場動向を考慮した収益の最大化を可能にする。
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Outline of Annual Research Achievements |
農業収益の最大化に関する従来研究では、作物選択(栽培する作物の選択)と栽培管理(農作業の選択)を独立に検討している。例えば、作物選択に関する従来研究では日々の栽培管理は最適化されていないので、栽培管理を考慮した場合の作物選択の期待収益の最大化は実現できていない。 栽培管理も考慮したもとで期待収益を最大化する作物選択を実現するためには、作物選択と栽培管理を統合し、期待収益を最大化するための作物と日々の農作業を1つの意思決定問題の中で決定する必要がある。令和3年度の本研究では、作物選択と栽培管理を統合する独自の定式化を行い、数値計算例によってその有効性を確認した。しかし、令和3年度の検討では、基本的に各種確率は既知と仮定した。これは、対象地域における履歴データが十分にあるという仮定と同じである。しかし、現実には必ずしも履歴データが十分にある地域ばかりではない。 そこで、令和4年度には、履歴データ不足の地域への対応について検討した。特に、対象地域の履歴データは不足するが、近隣地域の履歴データは十分にあるというケースについて検討した。具体的には、研究代表者の研究経験より、ベイズ統計学に基づいて地域間の類似性を考慮し、類似性の高い他地域の履歴データ/モデルを利用することによって、履歴データ不足を補った。 検討の第一段階として、栽培管理のみを対象としてベイズ統計学に基づき近隣地域の履歴データを利用することによって、ベイズ基準のもとで期待収益を最大化する動的計画法による栽培管理方法を提案し、数値計算例でその有効性を確認した。検討の第二段階として第一段階の検討を拡張し、栽培管理と作物選択を統合した統合管理を対象として、ベイズ基準のもとで期待収益を最大化する動的計画法による栽培管理方法を提案し、数値計算例でその有効性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実施計画では、令和4年度には、履歴データ不足の地域への対応を計画していた。研究実績の概要で記述したとおり、実際の令和4年度には、第一段階の検討として栽培管理のみを対象として、ベイズ統計学に基づき近隣地域の履歴データを利用することによって、ベイズ基準のもとで期待収益を最大化する動的計画法による栽培管理方法を提案し、数値計算例でその有効性を確認した。検討の第二段階として第一段階の検討を拡張し、栽培管理と作物選択を統合した統合管理を対象として、ベイズ基準のもとで期待収益を最大化する動的計画法による栽培管理方法を提案し、数値計算例でその有効性を確認した。よって、実施計画の内容は十分に検討できた。 さらに、研究実績の概要では言及していないが、本研究課題で得たマルコフ決定過程、動的計画法、ベイズ統計学に関する知見の活用として、健康状態が直接観測できない(未知)のヘルスケア支援、食材の追加購入コストの限度額のもとで食品ロスを最小化する料理レシピ推薦、多品種製造ラインの設備保全、消費期限を考慮したダイナミックプライシングを伴う小売店における仕入戦略、ゲーム工学にロールプレイングゲームの数理工学的攻略法等の各応用課題に活用し、その有効性を確認した。 特に、料理レシピ推薦やその他のいくつかの応用課題では、コスト等の制約を伴う最適化問題を検討した。これまでの本研究では、栽培行動のコストは考慮するが、栽培行動のコストとして支出する予算の制約は検討していない。しかし、現実の農業では予算等の制約を伴う場合も多い。よって、農業におけるコスト制約を伴う期待収益の最大化も重要な今後の課題の一つであり、令和4年度の他分野の応用課題でのコスト等の制約を伴う最適化の検討経験は将来的に本研究にも寄与するものと考える。 よって、実施計画よりも多くの成果が得られており、「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現状において、今後の推進方策について、実施計画からの変更は特にない。 令和5年度には、気候変動の影響が農作物の栽培環境に及んだ地域への対応について検討する。地球温暖化による気候変動の影響が農作物の栽培環境に及んでいる地域では、従来栽培してきた農作物の生産地として不適切になり、いかにしてその地域での栽培に適した新たな農作物を選択するかが重要である。本研究では、申請者の研究経験より、ベイズ統計学に基づく地域間の類似性に時間軸の類似性を加味する。具体的には、履歴データを時間軸で年代別(例えば10年)に分割し、対象地域と直近(例えば直近の10年)の履歴データの組に関して、他の地域と各年代の履歴データの組に対する類似性をベイズ統計学に基づいて分析する。類似性の高い地域と年代の組に関する履歴データ/モデルを利用することによって、栽培に適した新たな農作物の選択および栽培管理が可能になると考える。
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Report
(2 results)
Research Products
(19 results)