バイポーラ電気化学を応用した軽金属の表面処理技術の開発
Project/Area Number |
21K04722
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26050:Material processing and microstructure control-related
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
阿相 英孝 工学院大学, 先進工学部, 教授 (80338277)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 軽金属 / アルミニウム / 金属酸化物 / バイポーラ電気化学 / 表面処理 / 電気化学 / 電気化学プロセス / アノード酸化 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,バイポーラ電気化学に基づく酸化還元反応の制御・理解を通じて,アルミニウムなどの軽金属表面に生成する金属酸化物の構造やその生成効率に対する電解条件の影響を系統的に調査する。従来の直接通電法ではなく,無接続の試料に対して間接的に給電するバイポーラ電気化学を利用した,軽金属の新たな表面処理技術を提案するだけでなく,機能性無機材料(金属酸化物)の創製技術としても本手法の応用可能性を実証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,バイポーラ電気化学に基づく酸化還元(レドックス; reduction and oxidation)反応の制御・理解を通じて,軽金属表面に生成する金属酸化物の構造やその生成効率に対する電解条件の影響を系統的に調査することを主目的としている。バイポーラ電気化学を利用した軽金属の新たな表面処理技術として,本手法を実用するために一年目(2021年度)は,アルミニウム表面にポーラスアルミナ(Al2O3)を形成する処理に着目し,従来の直接給電法(アルマイト処理)ではなく,無接点のワイヤレスなアプローチで酸化皮膜を形成する電解条件を調査し,バイポーラ電気化学の応用可能性を模索した。二年目となる2022年度は,アルミニウムだけでなく,チタンやニオブなどの他金属にも本手法を適用し,様々な分野で利用できる機能性無機材料の創製技術としてもバイポーラ電気化学の可能性を模索した。 電気化学的手法に基づくアルミニウムの表面処理(アルミニウム表面への酸化膜形成,アルマイト処理)は,被処理物であるアルミニウムと対極を外部電源に接続し,直流や交流電圧を印加することで一般には実施されるが,バイポーラ電気化学を応用した本手法では無接続(直接通電なし)の被処理物に対しても,従来法同様に酸化膜を形成することができる。これまでは板状のアルミニウム小型試験片を用いて基礎データを収集してきたが,本手法の有用性を示すために試料形状を板からミリメートルサイズの球に変更した場合でも,試料形状の違いによらず類似の結果を得ることができた。試料を固定し,外部電場を直流にした場合には,試料の片面(半球)のみで酸化反応が進行し,局所的に酸化皮膜が形成されたヤヌス型の金属材料を得ることができた。可動状態の試料に対して交流電場を適用した場合には,試料全面を酸化皮膜で被覆することができ,表面処理技術として十分に活用できる成果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究における基礎検討を継続し,電解液種,電解波形,周波数の影響に関する基礎データを収集し,金属酸化物の生成効率,酸化皮膜の構造に与える電解因子の影響を調査してきた。これまでは対象材料としてアルミニウムを用いていたが,生成した酸化皮膜の構造を評価するためには,染色法,電気化学的な評価に加え電子顕微鏡による直接観察が必要であった。 2022年度は,材料にチタンあるいはニオブを用いて同様の検討を行った。これらの金属の酸化物は高い誘電率を持つことから,薄いバリヤー型皮膜であっても明瞭な干渉色を呈する。この干渉色の分布を通じて,電極上の酸化領域を可視化することが可能であり,その干渉色を分光測色計で測定し,膜厚に換算することで,バイポーラ電極上における実効電圧の分布を評価することができた。 チタンのバイポーラ電解時における酸化領域の変化を系統的に調査した結果に関しては,学術論文(Electrochemistry Communications, 142 (2022)107376)として公表した。材料の形状を板から球に替えて,ヤヌス型の金属材料を創製した結果に関しても学術論文(Advanced Materials Interfaces, 10 (2023) 2201835)として公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では対象試料として主にアルミニウムを用いて基礎データを収集しているが,電解液としてシュウ酸水溶液を用いた結果以外にも,添加物を変化させ皮膜の生成効率に及ぼす電気伝導率の影響を調査した基礎データも集まりつつあるので,それらを整理・考察し,論文化を検討する。 材料にチタンを用いた系では,電解時間と酸化領域の経時変化に関して基礎データを収集し,本現象の本質的な理解に努める。軽金属の表面処理としてはアノード反応(酸化反応)の制御が鍵となるが,電解セル内では同時にカソード反応(還元反応)も進行するため,金属イオンの還元析出を利用した異種材料のナノコンポジット合成の可否についても引き続き検証したい。
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Report
(2 results)
Research Products
(19 results)