High-density cultivation method that does not allow lactic acid bacteria to produce lactic acid
Project/Area Number |
21K05372
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38020:Applied microbiology-related
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
片倉 啓雄 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (50263207)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 思乃 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (50602182)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 乳酸菌 / 高密度培養 / 流加培養 / ヘム呼吸 / Lactococcus lactis / 好気呼吸 / 酸素比消費速度 / ヘム / 高濃度培養 / 過酸化水素 |
Outline of Research at the Start |
乳酸菌は善玉菌としての需要が高まっているが、その名の通り著量の乳酸を生産し、それが障害となるために高濃度・高収率で培養することができない。当研究室では、糖を少量ずつ添加し、酸素を与えて呼吸させることによって、乳酸菌に乳酸を生産させることなく培養できることを見出した。しかし、乳酸菌の呼吸能力は十分ではなく、酸素障害を受けやすい。そこで本研究では、どうすれば乳酸菌の呼吸能力を高められるか、そして、どうすれば酸素障害を回避できるかを検討する。これによって、従来にはない、革新的な乳酸菌の高効率培養法を確立する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
乳酸菌は免疫賦活、成人病予防など、宿主に様々な有益な働きをもつプロバイオティクスとして注目され、その需要は高まっている。乳酸菌は通性嫌気性菌であることから、これまで嫌気条件で培地成分を全て最初から与える回分培養で調製されてきた。しかし、解糖系の駆動に必要なNAD+を乳酸脱水素酵素(LDH)で再生するために著量の乳酸を生産し、たとえpHを調整しても高密度培養は困難であり、対糖菌体収率も低いことが問題であった。 乳酸菌は酸素を電子受容体としてNAD+を再生する能力をもつが、関連遺伝子の多くはカタボライト抑制を受けるため、回分培養ではたとえ好気条件であっても酸素をほとんど利用できない。これに対して我々は、糖を徐々に添加する流加培養によってカタボライト抑制を解除し、乳酸生産を抑制することに成功している。 しかし、多くの乳酸菌は酸素を電子受容体として利用する際にH2O2を副生し、障害を受ける。そこで本研究ではまず、嫌気および好気条件において回分および流加培養を行い、乳酸菌がどのように酸素を利用し、特にどのようにH2O2に対応しているかを調べた。その結果、H2O2の消去系を含めて酸素利用に関連する遺伝子の多くは好気的流加培養において発現し、これに伴って乳酸生産は抑制できることが分かった。しかし、条件によってH2O2の生産が消去を上回り、増殖が抑制される場合があることが分かった。 そこで、いくつかの乳酸菌の好気流加培養において市販カタラーゼを添加したところ、H2O2の蓄積を抑制できた。また、Lactococcus lactisにおいては、さらにヘムを添加して呼吸を促進することによって、5.6×10^10 cells/mL以上の菌体を対糖菌体収率0.42 g-DCW/g-glucoseで得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
乳酸菌の呼吸活性の制御機構の解明と増強、そして、高密度培養に展開するための足場として酸素障害の解析と回避方法を検討した。 Latoplantibacillus plantarumを好気または嫌気において回分または流加培養し、RNAseqにより遺伝子発現を網羅的に解析した。Pyruvate oxidaseやNADH oxidaseなど、酸素を電子受容体とするNAD+再生経路は、好気流加培養において特に発現し、これらのoxidaseから副生するH2O2を消去するため、NADH peroxidaseの発現も増加していた。比増殖速度μ;を様々なレベルに設定して流加培養を行ったところ、μ=0.25 1/h付近でH2O2の蓄積が見られ、消去が間に合っていないと考えられた。一方、鉄キレートタンパク質をコードすると推定される遺伝子lp_2113の発現が好気流加では顕著に増加しており、鉄イオンが触媒するフェントン反応でH2O2からより有害なヒドロキシルラジカルが生じるのを回避していると考えられた(投稿準備中)。 好気流加培養におけるH2O2の蓄積はlactococcus lactisやLeuconostoc mesenteroidesでも見られ、蓄積に伴って比増殖速度は低下した。しかし、培地にカタラーゼを添加すると何れの場合も増殖は改善された。このカタラーゼは食品用で比較的安価なので、産業応用は十分可能である。 上記の知見を総合して、L. lactisで好気流加による高密度培養を行ったところ、低いμ;では乳酸生産を抑制できるが、酢酸の生産が認められた。エネルギー不足を補うためと考えられたので、ヘムを添加して呼吸鎖の形成を促したところ、菌体濃度は19 g-DCW/L (5.6×10^10cfu/mL) まで培養でき、対糖菌体収率は0.42 g-DCW/g-glucose に達した(投稿中)。
|
Strategy for Future Research Activity |
RNAseqによる網羅的遺伝子発現解析の結果をさらに詳細に解析し、以下の検証を行う。 (1) lp_2113の機能解析 好気流加で顕著に発現が増加したlp_2113は、鉄キレートタンパク質をコードすると推定され、フェントン反応による活性酸素の生成を抑制していると考えられる。そこでこの仮説を、lp_2113遺伝子の破壊によってH2O2に対する感受性が高まるかどうかで検証する。また、組換えタンパク質を調製し、鉄キレート能があるかを検証する。 (2)グリセリンの好気的代謝 好気流加において、グリセリンのトランスポーター(glpF3)とglycerol kinase (glpK)に加えて、グリセロリン酸からNAD+を使わずにジヒドロキシアセトンリン酸を生じるα-glycerophosphate oxidase (glpD)が発現していた。これは、好気条件ではグリセリンを炭素源にできることを意味し、新しい知見であることに加えて、安価な炭素源であるグリセリンで乳酸菌を培養できる可能性を示唆する。また、この好気的なグリセリン代謝ではH2O2が副生するので、周囲の微生物に対する防御機構である可能性についても検討する。 (3) 過酸化水素の影響に関する検討 まず、いくつかの乳酸菌の好気流加培養において、市販カタラーゼの添加効果について検討する。カタラーゼ添加量、酵素活性の維持について検討するとともに、カタラーゼ添加が菌体収率や比増殖速度にどのように影響するのかを検討する。グルコースの他に、スクロース、マルトース、グリセリンなどの炭素源を用いた場合、酸素利用に関連する遺伝子のカタボライト抑制のレベルが異なると予想される。そこで、これらの炭素源で同じ比増殖速度で培養した時に、酸素利用に関連する遺伝子の発現レベルが異なるのかを検討し、μをより高く設定する効率のよい培養法を検討する。
|
Report
(2 results)
Research Products
(7 results)