植物内生シグナル物質としての脂肪酸ーアミノ酸縮合体の機能解析
Project/Area Number |
21K05405
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38040:Bioorganic chemistry-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
高橋 公咲 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (30374622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 英幸 北海道大学, 農学研究院, 教授 (20344492)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 脂肪酸-アミノ酸縮合体 / N-リノレノイルグルタミン / シグナル物質 / エリシター |
Outline of Research at the Start |
本研究では、α-リノレン酸-グルタミン縮合体(LA-Gln)が植物内生のシグナル物質であることを証明する。具体的には、1)LA-Glnが植物に普遍的に存在していることを明らかにし、シロイヌナズナからLA-Glnの縮合酵素を見出す。2)シロイヌナズナを用い、本縮合酵素をコードした遺伝子の変異体を作製し、表現型などを解析する。3)LA-Glnの結合タンパク質を見出し、そのシグナル伝達経路を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
大腸菌で作製した組換えGH3.15のN-リノレノイルグルタミン縮合反応の至適温度は35℃、至適pHは8.5であった。本至適温度と至適pHでGH3.15のN-リノレノイルグルタミン縮合反応の速度論的解析を行った。その結果、Km、Vmaxおよびkcatは、それぞれ0.58 mM、13.33 nmol/minおよび17.72 min-1となった。GH3.15 を用い、植物の主要な5 種類の脂肪酸とグルタミンとの縮合反応を行った。その結果、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸およびステアリン酸を基質とした場合とα-リノレン酸を基質とした場合では、反応性に有意な差が認められなかった。また、GH3.15は、植物ホルモンの一種であるサリチル酸とグルタミンとの縮合も触媒した。従って、GH3.15は植物体内でサリチル酸の生物活性に影響を与える可能性が示唆された。 傷害ストレスは、ナス、ダイズ、トマトおよびササゲのN-リノレノイルグルタミン内生量を増加させる傾向にあった。その一方で、シロイヌナズナは、傷害ストレスを与えてもN-リノレノイルグルタミン内生量に大きな変化はなかった。傷害ストレスがN-リノレノイルグルタミン内生量に与える影響は、植物により異なることが明らかとなった。しかし、シロイヌナズナは、ジャスモン酸を処理することでN-リノレノイルグルタミン内生量が上昇し、植物病原菌を感染させることで、N-リノレノイルグルタミン内生量が減少していた。外的な刺激により、シロイヌナズナにおいても N-リノレノイルグルタミン内生量が変化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幼虫の唾液に含まれ、植物の揮発性物質の誘導作用を示す脂肪酸-アミノ酸縮合体の一種であるN-リノレノイルグルタミンが、本研究で分析したすべての植物に含まれていた。さらに、シロイヌナズナのGH3.15タンパク質がα-リノレン酸とグルタミンを縮合し、N-リノレノイルグルタミンを合成することを明らかにした。GH3.15の酵素学的諸性質および各種アミノ酸と脂肪酸の基質特異性も明らかにした。 本研究で調べたシロイヌナズナ以外の植物では、傷害ストレスとN-リノレノイルグルタミン内生量の増加に相関関係が示唆された。しかし、シロイヌナズナには、この様な関係が認められなかったため、傷害ストレス応答としてのN-リノレノイルグルタミン内生量の増加は、植物によって異なっていることが明らかとなった。 植物病原菌処理によりシロイヌナズナのN-リノレノイルグルタミン内生量が減少したことから、生物学的ストレスと非生物学的ストレスでは、N-リノレノイルグルタミン酸濃度変化が異なっていた。また、シロイヌナズナへの植物ホルモンのジャスモン酸処理によりN-リノレノイルグルタミン内生量が増加したため、植物ホルモンもN-リノレノイルグルタミン内生量の変化に影響を与えることも明らかとなった。 この様に、GH3.15の酵素学的諸性質も判明し、植物の種類により応答性は異なっていたが、ストレス処理や植物ホルモン処理により、N-リノレノイルグルタミン内生量が変化することも明らかにできたことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断された。
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Strategy for Future Research Activity |
N-リノレノイルグルタミン処理量および処理方法などを適宜変えることで、N-リノレノイルグルタミン処理が、シロイヌナズナの生産する揮発性成分を含む二次代謝産物の量にどの様な変化をもたらすのか明らかにする。 シロイヌナズナのGH3.15遺伝子変異株における内生N-リノレノイルグルタミン量を分析することで、植物体内においてもGH3.15がN-リノレノイルグルタミン縮合反応に関与しているのか否かを確認する。その後、これらの変異体の表現型を観察し、シロイヌナズナにおいて、GH3.15およびN-リノレノイルグルタミンが関わる生理現象を明らかにする。 N-リノレノイルグルタミン処理することでシロイヌナズナの生育または二次代謝産物濃度が変化する条件を見出した後、シロイヌナズナの遺伝子発現がどの様に変化しているのか明らかにするためトランスクリプトーム解析を行う。 アフィニティーカラムクロマトグラフィーを用い、N-リノレノイルグルタミンが結合するシロイヌナズナのタンパク質を精製する。その後、LC-MS/MSにより結合タンパク質を同定する。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)