Project/Area Number |
21K05549
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39020:Crop production science-related
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
羽方 誠 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 上級研究員 (80450336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 洋 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, グループ長補佐 (10414814)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 高温不稔 / 葯 / 気孔 / イネ / 水稲 |
Outline of Research at the Start |
地球規模での温暖化の進行により水稲の高温不稔の発生が危惧されている。これまでに、研究代表者らは、高温不稔発生要因の解明研究において、葯表面に存在する気孔数と高温不稔耐性の間に強い相関があることを見出した。本研究では、葯気孔の高温不稔耐性に及ぼす影響及び生理的機能を明らかにするとともに、重要形質を特定する。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでに研究代表者らは、イネの葯に存在する気孔数と高温不稔耐性との間には高い正の相関があることを明らかにし、葯の気孔には、①蒸散により葯自身を冷却して高温から花粉を防御する機能や、②葯を脱水して開裂・花粉飛散を促進する機能等の役割を果たしているといった仮説を構築した。本研究では、仮説を検証することにより、葯の気孔が高温不稔耐性に及ぼす影響や葯の気孔の生理的機能を明らかにする。 耐性及び感受性品種の高温処理後の花粉の状態をヨウ素デンプン反応により解析した結果、耐性品種は高温でも健全な花粉の含有率が高いことを明らかにした。したがって、葯の気孔からの蒸散による葯の冷却により、花粉の温度上昇が抑制され花粉能力が維持された可能性が示唆された。 次に、耐性及び感受性品種を使用し、人工気象室内にて近接撮影可能なカメラで、高温処理中の開花直後から開裂が終了するまでの連続的撮影を試みたが、高温下での連続撮影では機器に異常が生じ、撮影が困難であることが分かった。急遽、目視での開花開始から終了までの時間の計測に変更した。開裂速度の計測はできなかったが、高温時の開花開始から終了までの時間は、感受性品種では明らかに遅延していることが判明し、気孔が葯の水分状態へ関与している可能性が示唆された。 また、高温不稔耐性には出穂期の茎NSC量と一穂に付く穎花(籾)の数が影響する可能性がある。耐性及び感受性品種計15品種を人工気象室で生育させ、NSCについては出穂時および高温処理後のイネから茎を採取し、NSC量を測定した。一穂籾数については、出穂後の穂を採取し、穎花数を計測した。NSC量は一部の高温耐性品種で高く、出穂時のNSC量には耐性との相関が確認できた。一穂籾数も高温耐性品種で多い傾向にあったが、相関は確認できなかった。出穂時のNSC量は耐性に影響することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、品種を追加して葯および葯の気孔関連形質の調査と、葯の冷却効果の検証(葯の表面温度測定、花粉発芽能力検定)、葯の水分状態の検証(葯の開裂速度計測)を行ってきた。葯の表面温度測定では超近接撮影が可能な赤外線サーモグラフィーを使用して、高温処理中の開花状態の葯周辺の温度の測定を試みたが、葯を含む籾表面の温度を反映した測定となった。また、葯の開裂速度計測も開裂の連続撮影ができず、開花終了までの時間計測となり、一部計画していた実験内容を実行できていないが、代替的データを取得している。また、本年度、高温処理中の籾の温度を詳細に計測する実験を計画していたが、次年度に変更する。
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Strategy for Future Research Activity |
気孔数が葯の水分状態に関与を明らかにするため、葯の水分状態計測を行う。耐性・感受性品種で開花時の葯の脱水状態に差が出れば、気孔数(密度)の違いが開裂を通して高温耐性へ寄与していると考えられる。これについては、高温処理した小穂から開花直後の葯を採取し、超マイクロ天秤で秤量後、乾燥させ乾燥重量を秤量し、含水率を求める。 蒸散による籾の冷却効果を、葯の温度の計測に用いた超近接撮影が可能な赤外線サーモグラフィーを使用して、高温処理中の出穂前から出穂直後、開花時の籾表面を撮影し、籾温度の品種間差を解析する。
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