極東海域(FAO Area 61)の魚類リスト構築と固有性魚類群集の特異性と起源
Project/Area Number |
21K06320
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45030:Biodiversity and systematics-related
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
岩槻 幸雄 宮崎大学, 農学部, 教授 (60213302)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 東アジア / 固有種 / メイチダイ属魚類 / 極東海域 / 魚類相 / 起源 / 固有性 |
Outline of Research at the Start |
極東海域は、全海洋のわずか5.4%(1,900万km2)であるが、全世界の漁獲量の約25%を占め、その資源量は世界で最も豊かな海域であり、魚類の多様性も世界有数である。 この海域内に固有な魚類群集セットと言うべき魚類の種が内包しており、圧倒的な資源量の多さはこれらの固有な魚類群集からなる。そこで、この研究の第1の目的はこの海域の魚類リストの構築である。 極東の魚類の最新の研究から正確な学名によるリストを構築し、固有性魚類の実態を 明確にする。また遺伝学的手法によりそれら固有性魚類の起源を解明し、この海域の魚類相形成過程の解明を行う。この難題を解明する突破口を開くのが、本研究の第2の目的である。
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Outline of Annual Research Achievements |
地球上の全海洋における魚類相の形成過程は、未だに十分明らかにされていない。人類と魚類の共存を考える際に、今後の重要な基礎的生物学的知見であり重要な研究課題である。令和4年度(2022年度)は、まだコロナ禍の影響があり、懸案だった外国での採集調査は一切困難であった。頼んでサンプル入手可能なフエフキダイ科メイチダイ属魚類は、種類数も多いがインド・西部太平洋のサンプル数が少なく、その起源がいまいち不明であった。この属は大型になる種類が多く、また稀種も多いのでFAOやIUCNの魚類研究者の私の旧知のネットワークから重要な生息情報を得て、サンプル入手に大いなる助けがあった。そのおかげで有効種とされる種以外も入手可能の可能性があったので、インド・西部太平洋のフエフキダイ科メイチダイ属魚類のサンプル入手に専念した。今回この属は全く遺伝系統の全容が不明であった。おかげで広い範囲から得られたメイチダイ属魚類の遺伝解析を進めることが出来た。その結果、インド・西部太平洋には、複数の類似種群が存在し、東アジアを含む西部太平洋からメイチダイ属の初期の種類や類似種群から広いインド洋まで種の分布域を広げて、中近東や南アフリカまで、種の分布域を広げた可能性があることが判明した。従来とは起源が異なる本属を含めて今後インド・西部太平洋に生息する魚類にはどのような起源と分散のパターンがあるのか検討していく。 東アジアの魚類リストは、CASデータベースによれば、毎年400種ぐらいの新種記載がなされている。科や属の地球規模の分類学的レビュウ-により、普通種の学名が大きく変わってきており、データベース上でその経緯がわかるようにしたいが、リレーショナルとして使う場合、使い勝手を考慮すると、どこまで関係づけるのがいいのか、検討して大方針を決める段階にきており、データベースの構築の方向性を一気に判断すべき段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ渦のため、外国に直接に現地採集調査が出来なかったので、広い分類群の採集調査が出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度はコロナ禍の影響がまだあり、そこで水産上の重要種を優先して最後の遺伝解析を考えざるを得ない。令和4年度大きく解析が進んだメイチダイ属魚類は南北の温帯域のみで有効な種がみられ、反赤道分布の特徴を有する特異なグループである。東アジアで最も重要なマダイ属の属の帰属の問題と分類学的再検討、太平洋のマダイ属魚類の起源の問題が解決されていないのでその点にも重点を置く。これらは従来とは異なる起源の分類群であるかも知れない。大陸が1つであった時代の熱帯性魚類の多くは、古地中海の起源が多いと考えられてきたが、ウナギ属魚類も太平洋起源と仮説されているが、全地球の海洋の魚類相形成過程はいまだ十分明らかにされていない。マダイ属やメイチダイ属魚類は、かって大陸が1つであった時代の南北半球のオーストラリア側と東アジア側に生き残ったグループが、西太平洋起源から新しい科や属が繁栄し、インド洋に進出して可能性がある。このメイチダイ属魚類では、南アフリカのGymnocranius sp.のサンプル入手すれば、解決すると踏んでいる。 同様に太平洋のマダイ属魚類は核DNAのSNP解析を行って、南北半球のどちらが起源になるのかを明白にする予定である。太平洋マダイ属の南北の温帯域に反赤道分布しているオーストラリアとニュージーランドと、日本を含む東アジアのマダイ属魚類における、次世代型シークエンサ-によるSNP解析を本年度計画を予定している。 東アジアの魚類リストは、世界的規模の科や属の分類学的研究の成果により、水産重要種の普通種の学名が大きく変わってきており、データベース上でその経緯がわかるようにリレーショナルデータベース化したいが、使い勝手を考慮すると、どこまで関係づけるのがいいのか、非常に難しい問題に直面しているので早急に方向性を判断し、夏までにデータを入力してデータベース化させて完成させたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)