PDZRN3による核内のパラスペックルを介した新たな心筋分化制御機構の解明
Project/Area Number |
21K06803
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48030:Pharmacology-related
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
本田 健 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (30457311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝霧 成挙 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20372435)
酒井 大樹 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師(特命) (40464367)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 液液相分離体 / 細胞分化 / 心筋細胞 / パラスペックル / PDZRN3 / 液液相分離 |
Outline of Research at the Start |
近年、ある蛋白質やRNA群が凝集することで相分離を起こした(液相と液相の間に明確な境界を持った)液滴が形成され、これが様々な細胞機能を制御することが明らかになってきている。最近、核内に存在する液-液相分離体の一つ、パラスペックルが多能性幹細胞の分化を調節することが報告された。我々はこれまで、間葉系前駆細胞の分化調節因子としてPDZRN3の機能解析を行ってきたが、最近、このPDZRN3が心筋におけるパラスペックルに何らかの作用を持つ可能性を見出した。そこで本研究では、心筋分化におけるパラスペックルを介したPDZRN3の役割を解析し、分化制御の新たな分子機構を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、PDZRN3の心筋分化における役割の解明を目的としている。前年度では、iPS細胞から心筋細胞への分化過程におけるPDZRN3の発現挙動を明らかにしてきた。今年度は、iPS心筋細胞の分化過程におけるパラスペックル形成時期を調べ、パラスペックル形成とPDZRN3の発現時期の重なる分化ステージにあるiPS心筋細胞を用いて、パラスペックル構成因子も含めてPDZRN3と相互作用しうるタンパク質の探索を試みた。前年度、複数のパラスペックル構成タンパク質において、抗体が入手可能だったものに関しては、共免疫沈降法によるPDZRN3との結合を解析した。PDZRN3抗体を用いた共沈降では結合を確認できたものの、相手タンパク質に対する抗体では共沈降が確認されず、真に両者が結合するか慎重に見極める必要があると判断した。またパラスペックルをはじめとする液-液相分離体の構築や機能において、それらに関わる様々な制御因子についての新たな情報が出てきている。そのため、PDZRN3の作用標的がパラスペックル形成に関わる周辺制御因子である可能性も見据えた解析が必要であると考えた。そこで狙いを絞った個別解析から、プロテオミクス解析に切り替えて、心筋分化時におけるPDZRN3の相互作用相手を探索し、パラスペックルに直接または間接的関与を持つ因子(あるいは関与不明な未知因子)を一次情報として網羅的に獲得した。PDZRN3はタンパク質相互作用に関わるドメインやモチーフを複数持つため、相互作用相手タンパク質には、それらに対応するような構造要因を持つ可能性が高い。そのような構造情報も加味して、結合可能性の高さをスコア化したリストを作成し、順次詳細な解析を行おうとする段階まで進捗している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高度に凝集したタンパク質複合体から目的タンパク質を免疫沈降法で抽出する場合、非特異的結合の増加など技術的困難さが計画当初から予想された。実際に、一般的な免疫沈降法ではその問題に直面したため、タンパク質回収用ビーズの最適化(非特異的結合の少ない素材、ナノサイズ化による接触表面積比率の向上を施されたナノビーズ)や、PDZRN3と標的タンパク質間の化学的架橋(非特異的吸着を抑える強力な洗浄に耐性を持たせる)を駆使する、といった対策を講じて最適な免疫沈降システムを構築した。また、PDZRN3はE3ユビキチンリガーゼであり、ユビキチン化された標的タンパク質はプロテアソームで分解されることが報告されている。標的によっては分解されない例も報告されているが、前者の可能性を考慮してプロテアソーム阻害処理による検討も重ね、最適化した条件において免疫沈降およびショットガンMS/MS解析による網羅的検出を実施し、心筋分化時におけるPDZRN3の相互作用相手を探索した。これらの検討に想定以上の時間を要したが、候補となるようなタンパク質群の情報を取得することができ、全体として概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
PDZRN3と相互作用しうる相手タンパク質候補の中には、パラスペックル形成因子のほか、その制御に関与する可能性のあるタンパク質群も見出されている。まず、それらについて抗体が入手可能であるものを優先的に、最適化した免疫沈降システムにてPDZRN3との相互作用を確認していく。PDZRN3の沈降に関しては複数の抗体(N末端領域、中間領域、C末端領域をそれぞれ認識する抗PDZRN3抗体)を揃えており、これらを活用することも含めて、特異的結合であることを慎重に確認していく。パラスペックルに間接的に影響しうるタンパク質、あるいは未知のタンパク質に関しても、PDZRN3のタンパク質間相互作用ドメインやモチーフに対応するような構造要因を持つものに関しては、リスト化して順次PDZRN3との相互作用を確認していく。結合を確認できたタンパク質に関して、PDZRN3によるユビキチン化の確認、また当該タンパク質発現を増減させることによってパラスペックル形成および心筋細胞分化へどのような影響が見られるか等の解析を行い、PDZRN3による当該タンパク質を介した心筋分化の制御機構を明らかにしていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Dantrolene, a stabilizer of the ryanodine receptor, prevents collagen-induced arthritis.2022
Author(s)
58)Nawata T, Sakai H, Honda T, Otsuka M, Fujita H, Uchinoumi H, Kobayashi S, Yamamoto T, Asagiri M, Yano M.
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun.
Volume: 624
Pages: 141-145
DOI
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Peer Reviewed / Open Access
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