免疫受容体CD96によるγδT細胞の活性化機構の解明
Project/Area Number |
21K06943
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49030:Experimental pathology-related
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
林 杏子 (大岡杏子) 筑波大学, 医学医療系, 特別研究員(RPD) (50569019)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 免疫受容体 / γδT細胞 / 乾癬 / γδT |
Outline of Research at the Start |
乾癬の治療薬として、炎症性サイトカインに対する抗体が用いられているが、感染症などの副作用が報告されており、安全で有効な治療法の確立が望まれている。申請者は、免疫受容体CD96が乾癬悪化に寄与するIL-17産生細胞に発現し、細胞を活性化する事で病態を悪化させる事を示した。この事は、CD96が乾癬治療の標的となりうる事を示唆している。CD96は炎症によって上昇するCD155をリガンドとするため、炎症局所で効果を発揮できる事が予想される。治療開発を目指す上で詳細なメカニズムを明らかにする事は、重要な意義を持つ。本研究では、CD96がIL-17産生細胞を活性化するメカニズムを明らかにするものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
免疫受容体CD96は、NK細胞やCD8T細胞の活性化を抑制するチェックポイント受容体として注目されている。CD96は、NK細胞やCD8T細胞と同様、γδT細胞にも強く発現しているが、γδT細胞におけるCD96の機能については全く明らかになっていない。研究代表者は、前年度までに、WTマウスとCD96欠損マウスにイミキモド誘発乾癬を誘導し、CD96が、γδT細胞からのIL-17産生を促進する事で病態を増悪している事を明らかにした。また、in vitroの系を用いて、CD96がγδT細胞のTCRシグナルを活性化している事を明らかにした。これらの結果は、γδT細胞上のCD96が活性化受容体として機能し、乾癬病態を悪化させているため、CD96に対する中和抗体が治療薬となりうる可能性を示唆するものである。治療開発を目指す上で、CD96の詳細なシグナル伝達経路を明らかにする事は、基礎的、臨床的に極めて重要な意義を持つ。 今年度は、以下の2点について研究を行った。 (I) マウスγδT細胞におけるCD96の活性化シグナル伝達経路の解明 CD96からシグナルが入っている事を直接的に示すために、CD96の細胞質のシグナルドメインのチロシンリン酸化の検出、リン酸化部位の特定を試みた。 (2) 抗CD96中和抗体を用いた乾癬モデルマウスにおける予防、治療効果の検討 研究代表者が作成した抗CD96抗体の中で中和能が高い抗体をスクリーニングし、このCD96中和抗体を乾癬病態誘導前、誘導後に投与し、病態解析を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、以下の2点について研究を行った。(1)は、試みたがうまくいかず、解決策も見当たらないため、中止した。(2)は予定より速く、進行している。 (I) マウスγδT細胞におけるCD96の活性化シグナル伝達経路の解明 前年度までにCD96が活性化受容体として機能している事を明らかにした。この事は、CD96のシグナルモチーフのチロシンがリン酸化する事を示唆しているため、チロシンリン酸化の検出、リン酸化部位の特定を試みた。具体的には、CD96、または、細胞質ドメインにYF変異を入れたCD96をCD96欠損マウスから単離したγδT細胞にレトロウイルスを用いて導入し、CD3抗体、CD96抗体やCD96のリガンドで刺激し、γδT細胞の活性化を解析した。刺激する抗体やリガンドの濃度や時間の検討を行なったが、過剰発現させたCD96の機能が野生型マウスのγδT細胞に発現するCD96の機能と一致しないため、本解析は中止する事にした。 (2) 抗CD96中和抗体を用いた乾癬モデルマウスにおける予防、治療効果の検討 前年度までの結果は、γδT細胞上のCD96が乾癬治療の標的となりうる可能性を示唆するものである。これを明らかにするため、申請者が作成した抗CD96抗体の中で中和能が高い抗体をスクリーニングし、このCD96中和抗体を予防的、治療的投与し、病態解析を行った。CD96中和抗体を投与する事で、γδT細胞からのIL-17産生が抑制され、乾癬病態が抑制される事が示された。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から、抗CD96中和抗体は、γδT細胞膜上のCD96に結合し、CD96のシグナル伝達経路を阻害する事で乾癬病態を抑制する新しい治療薬となりうる可能性がある。次年度は、以下の点について研究を推進する。 ヒトγδT細胞におけるCD96の機能の解明 申請者は、健常人から採取した末梢血単核細胞 (PBMC) 中のγδT細胞がCD96を発現し、マウスγδT細胞と同様に、TCR刺激下でCD96抗体で刺激した際に、IL-17産生が増加する事を示している。今後は、筑波大学医学医療系皮膚科の協力を得て、乾癬患者のPBMCを用いた解析を行う。健常人と比較して、乾癬患者のγδT細胞上のCD96の発現が高い、IL-23刺激によるγδT細胞からのIL-17の産生量が、TCR刺激下でCD96抗体で刺激した際に、健常人のγδT細胞と比べて感受性が高い可能性を考え、解析する。ヒトCD96が、マウスCD96と同様、γδT細胞を活性化する事で病態の悪化に寄与している事を示す事で、CD96が乾癬の新たな治療の標的となりうる事を強く示唆できる。 これらのデータをまとめて論文として報告する。
|
Report
(2 results)
Research Products
(8 results)