RNA activationにおける分子機構の解析
Project/Area Number |
21K06953
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49030:Experimental pathology-related
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
大野 慎一郎 東京医科大学, 医学部, 講師 (90513680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 勝義 東京医科大学, 医学部, 助教 (20567911)
黒田 雅彦 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (80251304)
原田 裕一郎 東京医科大学, 医学部, 助手 (80570168)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | DDX21 / CDK9 / AGO / TNRC6 / RNA activation / microRNA |
Outline of Research at the Start |
これまで我々は、核内microRNA (miRNA)の機能および生理的意義の解明に取り組んできた。その結果、がん抑制miRNAとして知られるmiR-34aが、がん抑制遺伝子ZMYND10の転写を直接的に誘導する現象を発見した。一般的にmiRNAは、細胞質においてRNA干渉により遺伝子発現を抑制することが広く知られている。一方で、核内miRNAが転写を誘導する現象はRNA activation (RNAa)と呼ばれているが、研究報告は少なく、分子機構の詳細は不明である。したがって本研究は、miR-34aによるZMYND10の誘導機構を評価系として、核内RNAaの分子メカニズムの解明を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、miR-34aによるがん抑制遺伝子ZMYND10の発現誘導をRNA activation (RNAa)機構の評価系として、この現象に関わる分子群を同定し、RNAa現象の普遍的な分子メカニズムを明らかにする。この研究目的を達成するために、プロテオーム解析による核内AGO/TNRC6複合体の解析を実施した。結果、核内AGO/TNRC6と複合体を形成する多数のタンパク質を同定し、特にAGOおよびTNRC6の両方に強く結合するタンパク質としてRNAヘリカーゼの一種であるDDX21を同定した。一方で、DDX21はrRNAの合成に関わるRNAヘリカーゼであり、転写因子としての機能は報告されていない。このことから、DDX21は核内AGO/TNRC6を中核とするRNAa複合体を構成する重要な因子であるが、直接的な転写活性化因子は別に存在すると考えられた。DDX21は、CDK9と複合体を形成し、Pol II pausing(転写の一時停止)を解除することで転写を活性化させるというNature誌の報告(Nature. 2015 February 12; 518(7538): 249-253.)があることからCDK9について解析した。結果、CDK9も核内AGO/TNRC6複合体に含まれること、CRISPR/Casおよび低分子阻害剤を用いたCDK9の抑制は、RNAaも抑制することを明らかにした。以上のことから、核内miRNA/AGO/TNRC6複合体は、DDX21/CDK9複合体を介して、Pol II pausing の解放により転写を活性化させている可能性が示唆された。この新しいRNAa分子機構のモデルは、論文としてCell Reports誌に掲載された(Cell Rep. 2022 Apr 12;39(2):110673.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、RNAaに重要な転写活性化因子の同定を目的としている。2022年度の研究では、これまでの研究過程で同定したDDX21/CDK9複合体の機能解析から、DDX21/CDK9複合体が、RNAaにおいて重要な転写活性化因子として機能していること、また、その分子機構としてRNA pol II pausingの解除を明らかにした。したがって、順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究で我々は、核内AGO/TNRC6複合体を形成し、RNAaに重要なタンパク質としてDDX21/CDK9複合体を同定した。RNAaにおける転写活性化は、転写開始点の近傍で停止しているRNA pol IIをCDK9が再活性化することで誘導されていることが示唆された。一方で、まだ検証しなくてはならない点が多く残されている。1つ目は、核内AGO/TNRC6複合体とDDX21/CDK9複合体の結合様式や結合ドメインの同定である。免疫沈降実験では、核内AGO/TNRC6複合体とDDX21/CDK9複合体の結合が明らかであるが、プルダウンアッセイなどによる結合様式や結合ドメインの同定は必須である。2つ目は、7sk RNAの関与についての解析である。CDK9は、Non-coding RNAである7sk RNAに結合する形で不活性化されており、DDX21の作用で7sk RNAと乖離することで活性化し、RNA pol IIを一時停止状態から解放することが知られている。まだ良くわかっていない転写の制御機構の1つであるが、7sk RNAがどのようにRNAaと関与しているのかは、重要な課題と考えられる。3つ目は、核内AGO/TNRC6複合体と結合するタンパク質はDDX21以外にも多数同定しており、他のタンパク質を介した転写活性化の可能性の検証が必要である。DDX21以外のタンパク質の遺伝子欠損細胞株の作製により、他のタンパク質による転写活性化機構の可能性を検証する。これらの方策から、RNAa分子機構の全容解明を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Nuclear microRNAs release paused Pol II via the DDX21-CDK9 complex2022
Author(s)
Shin-Ichiro Ohno, Keiki Oikawa, Toshiaki Tsurui, Yuichirou Harada, Kana Ono, Mizumo Tateishi, Aashiq Mirza, Masakatsu Takanashi, Kosuke Kanekura, Kumiko Nagase, Yoshihisa Shimada, Yujin Kudo, Norihiko Ikeda, Takahiro Ochiya, Xiaozhong Wang , Masahiko Kuroda
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 12;39(2)
Issue: 2
Pages: 110673-110673
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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