ピロリ菌感染による胃発がん分子機構を標的とした創薬研究
Project/Area Number |
21K07019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49050:Bacteriology-related
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation (2022) The University of Tokyo (2021) |
Principal Investigator |
林 剛瑠 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 主任研究員 (10722209)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 分子標的阻害剤 / がん / SHP2 / 化合物スクリーニング / 胃がん / ピロリ菌 / CagA |
Outline of Research at the Start |
ヒトの胃に慢性感染するピロリ菌が保有するタンパク質CagAは、胃がんに代表される胃粘膜病変の発症に深く関わる。CagAはヒトのがんタンパク質として知られるSHP2と結合しSHP2を異常活性化する結果、細胞増殖・細胞運動に重要なシグナルを脱制御し胃がん発症に寄与すると考えられている。本研究ではCagAによるSHP2の異常な活性亢進を特異的に抑制する分子標的阻害剤を開発し、ピロリ菌関連疾患に対する除菌法以外の新たな予防・治療法の導出を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、ピロリ菌CagAによって活性化した発がん性チロシンホスファターゼSHP2をアロステリックに阻害する低分子化合物スクリーニングを実施し、そのヒット化合物Aの分子構造に基づく構造活性相関解析を経て新規の阻害化合物Xを取得している。化合物Xは複数のがん細胞株において、ERK1/2分子のリン酸化レベルの低下を引き起こし、細胞増殖を抑制した。この細胞増殖の抑制が非特異的な細胞毒性に依る現象か否かを検討するため、LDH漏出試験にて細胞傷害性を試験したところ、少なくとも実施した試験系において化合物Xによる急性の細胞毒性は確認されなかった。生体内における化合物Xの抗腫瘍作用を検討するため、ヒトがん細胞株のヌードマウスへの異種移植実験において化合物Xを連日腹腔内投与する増殖抑制試験を行った。先行品であるSHP099に比べ化合物Xは高い腫瘍抑制効果を示す結果を得たが、追って再現性の検討が必要である。SHP2阻害の分子機序を明らかにするため、化合物XとSHP2との複合体のX線結晶構造解析により結合構造の取得に成功した。前年度までに得られた生化学的知見に一致し、化合物XはSHP2に覆われるように結合することによって溶媒への露出が大きく低下し加水分解から保護される形で会合していた。得られた複合体の立体構造に基づいた量子化学計算により、化合物Xとの結合に重要なSHP2の残基を推定した。結合に強く関わる上位2残基をAla置換したSHP2変異体はホスファターゼ活性を維持し且つ化合物Xによる活性阻害を受けないことを明らかにした。したがってこの結果から、得られた結晶構造は生化学的にも信頼性が高いことを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化合物XとSHP2との複合体結晶構造の決定に成功し、大きな目標の1つが達成されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
複合体の結晶構造決定を経て化合物Xによって阻害されないSHP2変異体を創出できたため、本変異体を用いたレスキュー実験により阻害剤の主作用と副作用を詳細に検討していく。また、より阻害活性の高い阻害剤開発のため構造活性相関解析を進める。また、各種代謝解析により化合物Xならびにその改変体の詳細な分子プロファイリングを実施していく。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)