卵巣がんにおけるリン酸エクスポーターXPR1の機能解析
Project/Area Number |
21K07146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 寛敦 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任助教 (30583215)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | XPR1 / Phosphate transporter / 卵巣癌 / 卵巣明細胞癌 / Apoptosis |
Outline of Research at the Start |
卵巣明細胞がんは多様性に富み治療抵抗性が高いため、新たな治療方法の開発が求められている。申請者等は卵巣明細胞がん細胞株に対するCas9スクリーニングにより、XPR1が正常卵巣上皮細胞の増殖には必要ないが、がん細胞の増殖には必須であることを見出した。XPR1は、リガンド依存的に下流のシグナル伝達経路を調節し様々な生理機能を制御するだけではなく、ヒトで唯一のリン酸エクスポーターであることからリンの恒常性の維持にも寄与していると考えられる。そこで本研究では、がんにおけるXPR1の機能を明らかにすることで、リンの恒常性維持のがんにおける生理的機能およびその意義を解明する足掛かりを得ることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
卵巣明細胞がんは多様性に富み治療抵抗性が高いため予後不良である。そのため、新たな治療方法の開発が求められている。私たちは卵巣明細胞がん細胞株に対するCas9スクリーニングにより、リンの細胞外への排出を制御する8回膜貫通タンパク質XPR1が、がん細胞の増殖に必須であることを見出した。これまでに、卵巣明細胞がん細胞においてsiRNAによりXPR1の発現を抑制すると細胞死が誘導され顕著に増殖が抑制されること、さらに、XPR1の発現をshRNAによって恒常的に抑制したがん細胞を免疫不全マウスに移植すると、造腫瘍能の低下が認められることを明らかにしており、これらのことから、XPR1は卵巣がんに対する新たな治療標的分子として非常に有望であると期待される。しかし、その細胞死誘導の分子機構については未だ明らかになっていない。そこで本年度は、XPR1の発現を抑制した卵巣明細胞がん細胞のRNA-seq解析を行い、XPR1の下流のシグナル伝達経路を検討した。その結果、NFkBシグナルやRAS経路が活性化していることが示唆され、NFkBやRASの下流のErk1/2のリン酸化状態を確認したところ、卵巣明細胞がん細胞においてXPR1の発現を抑制するとNFkB(S276、S536)およびErk1/2のリン酸化が亢進することが明らかになった。また、NFkBシグナルの標的遺伝子の発現変動をqPCRによって確認したところ、ATF3やTNFIP3などがんの増殖を抑制することが報告されている遺伝子を含む多くのNFkBシグナルの標的遺伝子の有意な上昇が認められた。以上のことから、XPR1の発現抑制による卵巣明細胞がん細胞の細胞死誘導には、NfkBシグナルの亢進が重要である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
XPR1が卵巣がんの増殖に必須であり、卵巣がんの治療標的として有望であることを論文として報告している。本年度は、未だ明らかになっていないXPR1の発現抑制による細胞死誘導の分子機構に焦点を当てて研究を進め、NFkBシグナルの亢進が細胞死の誘導に重要な可能性を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
XPR1の下流シグナルとしてNFkBシグナルを見出し、その亢進がXPR1の発現抑制による細胞死の誘導に重要な可能性が示唆された。そこで、XPR1の発現抑制による卵巣明細胞がん細胞の細胞死誘導にNFkBシグナルの亢進が重要であることを明確にするために、XPR1の発現抑制下において1) NFkBシグナルを阻害する、2) 本年度に見出したATF3などXPR1の発現抑制によって発現が上昇する遺伝子を阻害する、ことによって、XPR1の発現抑制による細胞死誘導が抑制されることを確認する。また、XPR1はリンの排出を制御する遺伝子であり、XPR1の発現抑制によって酸化ストレスが誘導されること見出しているので、XPR1の発現を抑制した際のアポトーシス誘導における酸化ストレス亢進の重要性を検討する。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)