転写調節CDK阻害薬による大腸癌の癌幹細胞性の抑制
Project/Area Number |
21K07216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
堀 一也 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (50749059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 耕史 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (40402862)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 大腸癌 / 癌幹細胞性 / 転写調節CDK阻害薬 / BET阻害薬 / 化学療法薬 |
Outline of Research at the Start |
癌幹細胞は、癌の悪性化と再発の原因のひとつであると考えられており、癌幹細胞を標的とした分子標的治療薬の開発が試みられている。大腸癌では、癌幹細胞性を維持する最重要因子であるβ-catenin・TCF4複合体の阻害薬が、その候補として検討されているが、臨床適用には至っていない。我々は最近、癌幹細胞性維持に関わる遺伝子の転写初期過程の制御が、大腸癌の癌幹細胞性の維持に関わっていることを見出した。そこで、本研究では、転写調節CDKやBETファミリータンパク質に対する阻害薬などを用いて、大腸癌の癌幹細胞性の抑制を試みる。これらの研究を通じて、大腸癌の根治を達成できる薬物治療戦略の提案を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、大腸癌細胞の癌幹細胞性を抑制する薬物療法の開発を目指している。初年度の解析により、転写調節サイクリン依存性キナーゼの一つであるCDK9またはCDK12/13に対する阻害薬で処理した大腸癌細胞株HT29では、大腸癌の癌幹細胞性が顕著に抑制されることが分かった。一方で、化学療法薬である5-Fluorouracilにより処理したHT29細胞では、大腸癌の癌幹細胞性は抑制されないことが分かった。そこで当該年度では、5-Fluorouracilと同様に大腸癌の化学療法で使用させるIrinotecanを用いて、大腸癌細胞の癌幹細胞性に与える影響を調べた。最初に、HT29細胞をIrinotecanで6日間処理した後、培養液からそれぞれの薬を除去してさらに10日間培養した。このとき、それぞれの薬の濃度は、大腸癌細胞が増殖できる程度の濃度を用いた。次に、癌幹細胞性を定量的に解析するため、各薬で処理したHT29細胞を免疫不全マウスの皮下に異種移植し、造腫瘍能を調べた。その結果、Irinotecanで処理したHT29細胞では、コントロールのHT29細胞に比べて、造腫瘍能が顕著に低下することが分かった。さらに、それぞれの腫瘍を組織学的に解析した結果、細胞分化の特徴を示す腺菅構造が多く観察された。したがって、従来の化学療法薬の中でも、Irinotecanは、一定期間の薬処理により、大腸癌の癌幹細胞性が継続的に抑制されると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の実験では、IrinotecanでHT29細胞をした後、薬の非存在下で一定期間培養してから、免疫不全マウスの皮下に異種移植した。その結果、Irinotecanで処理したHT29細胞では、造腫瘍性が低下することを明らかにした。すなわち、大腸癌の癌幹細胞性を抑制するためには、大腸癌治療で用いられる化学療法薬の中でも、Irinotecanは、5-Fluorouracilよりも効果的に働くことと考えられた。また、大腸癌の癌幹細胞性をより効果的に抑制する、t-CDK阻害薬の組み合わせや、t-CDK阻害薬と化学療法薬の組み合わせの検証も、順調に進んでいる。さらに、t-CDK阻害薬による大腸癌の癌幹細胞性の抑制機序を考察するために、阻害薬で処理した大腸癌細胞の遺伝子発現を解析する準備も進めている。以上の理由により、当初の予定にしたがって、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、大腸癌の癌幹細胞性をより効果的に抑制するために最適な、t-CDK阻害薬の組み合わせや、t-CDK阻害薬と化学療法薬であるIrinotecanとの併用の可能性を調べている。今後、複数の薬で処理したHT29細胞を、薬の非存在下で一定期間培養した後、免疫不全マウスの皮下に異種移植することで、造腫瘍能を調べる。また、これまでは、造腫瘍能の強いHT29細胞を用いて、大腸癌の癌幹細胞性を解析するための実験系を確立してきた。そこで、次に、複数の大腸癌細胞株(LS174T、T84、SW480)を用いて同様の実験を行うことで、HT29細胞で得られた解析結果の一般性を調べる。現在までに、それぞれの大腸癌細胞株を各t-CDK阻害薬で処理をして、細胞の増殖を完全には抑制しない濃度を決定した。今後、決定した濃度の阻害薬で処理した大腸癌細胞株を、薬の非存在下で一定期間培養した後、免疫不全マウスの皮下に異種移植することで、造腫瘍能を調べる。また、癌の薬物治療では、薬剤耐性細胞の出現を抑制することが課題の一つとなっている。そこで、これまでに、化学療法薬(5-Fluorouracil、Irinotecan)またはt-CDK阻害薬への耐性細胞を樹立した。今後、樹立した薬耐性細胞株を用いて、従来の化学療法薬またはt-CDK阻害薬に耐性になった癌細胞の癌幹細胞性に対する、各t-CDK阻害薬及び上記の薬の組み合わせの効果を調べる。さらに、t-CDK阻害薬による大腸癌の癌幹細胞性の抑制機序を調べるために、DNAマイクロアレイ法による遺伝子発現解析を行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)