Project/Area Number |
21K09500
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56040:Obstetrics and gynecology-related
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
松川 仁登美 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (10816705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池崎 みどり 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40549747)
岩橋 尚幸 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (50750907)
井箟 一彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60303640)
井原 義人 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70263241)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | カルネキシン / 分子シャペロン / beta-hCG / 胎盤 / カルレティキュリン / β-hCG / ヒト胎盤 |
Outline of Research at the Start |
妊娠高血圧腎症(Preeclampsia; PE)や胎児発育不全は母体や児の予後に大きな影響を与える妊娠合併症であり,その成因として,胎盤形成不全が関連しているといわれている.我々は,PEの胎盤組織において,カルネキシン(CNX)の発現レベルが低下しているという予備知見を得た.そこで,胎盤の機能維持や胎盤機能不全の病態におけるCNXの役割を,胎盤絨毛モデル細胞株や臨床サンプルを用いた生化学的実験系を通じて明らかにすることにより,胎盤形成不全の有効な治療標的分子の同定や,病態メカニズムに合わせた新規治療法開発への応用の基盤作製を目的とする.
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Outline of Annual Research Achievements |
妊娠高血圧腎症(Preeclampsia; PE)は胎児発育不全(Fetal growth restriction; FGR)などの重篤な合併症を併発し,母体や児の予後に大きな影響を与える.PE・FGRの成因として,絨毛外栄養膜細胞の浸潤不全やシンシチウム化不全などによる,胎盤形成不全が関連しているといわれているが,明確な病態メカニズムは解明されていない.カルネキシン(CNX)とカルレティキュリン(CRT)はともに小胞体の分子シャペロンであり,ヒト胎盤に高発現している.我々は,CRTが胎盤形成におけるシンシチウム化や絨毛細胞融合を調整することを明らにした. 本研究では,CRTの機能的パラログ分子であるCNXの胎盤の機能維持や胎盤機能不全の病態における役割を胎盤絨毛モデル細胞株や臨床サンプルを用いた生化学的実験系を通じて解明し,胎盤形成不全の有効な治療標的分子の同定や,病態メカニズムに合わせた新規治療法開発を目指す.以下の項目に従って研究を進めている. (1)CNX低発現BeWo細胞の作製 (2)胎盤絨毛細胞におけるCNX基質糖たんぱく質に関する生化学的解析 (3)CNX低発現BeWo細胞におけるシンシチウム化に関する細胞生物学的解析 (4)ヒト胎盤組織を用いたCNX発現量および臨床的特徴に関する解析
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の(1)~(4)を概ね順調に遂行できているため. (1)CNX低発現BeWo細胞の作製:CNX低発現BeWo細胞は,野生型BeWo細胞にヒトCNX-shRNA発現ベクターを導入し,ピューロマイシンによる薬剤耐性選択とイムノブロット法によるCNX発現抑制の確認を指標にスクリーニングし,CNX低発現BeWo細胞の作製に成功した. (2)胎盤絨毛細胞におけるCNX基質糖たんぱく質に関する生化学的解析:CNXの基質糖たんぱく質の生合成,分子の細胞内動態の変化について詳細な生化学的解析を進めた.CNXの基質たんぱく質としては,胎盤発生において重要なhCGや,細胞接着に関与するE-カドヘリン,インテグリンを中心に解析した. (3)CNX低発現BeWo細胞におけるシンシチウム化に関する細胞生物学的解析:CNX低発現BeWo細胞や対照細胞について,常法に従いフォルスコリン処理によるシンシチウム化モデルを作成した.細胞のシンシチウム化は,細胞上清中のβ-hCG分泌をWBにより解析して評価した.また,シンシチウム化に伴うBeWo細胞の形態学的な細胞融合像を比較検証した.さらに,シンシチウム化前後の機能的変化として,増殖能・接着能・受容体の発現量などについて, in vitroアッセイで評価し,CNX発現抑制のシンシチウム化への影響とその分子機構についての解析を進めた. (4)ヒト胎盤組織を用いたCNX発現量および臨床的特徴に関する解析:和歌山県立医大倫理審査委員会により承認を得られているヒト組織サンプル解析で,対象群,PE単独群,FGR単独群,およびPE/FGR合併群の胎盤組織について絨毛細胞のCNXや種々の分子シャペロンおよび細胞接着分子の発現量などについて生化学的解析,および病理学的・免疫組織学的評価を行い,臨床的特徴との関連を検討した.
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Strategy for Future Research Activity |
以下の点において研究を進め,β-hCG分泌・発現抑制に関わるその他の因子や他の機序についての追加実験を行う予定である。 ・細胞内あるいは細胞外(培地への分泌)におけるCNX標的分子の変化を,特異抗体を用いた免疫沈降とイムノブロット法や,放射線標識ラベルした細胞サンプルを用いた電気泳動とオートラジグラフィーなどの生化学実験を組み合わせて解析する.さらに,様々な細胞ストレスのCNX標的分子の産生あるいは細胞外分泌への影響についても解析する. ・シンシチウム化前後の機能的変化として,増殖能・接着能・浸潤能・遊走能などについて,種々の細胞外マトリックスタンパク質基質のコーティングプレート,スクラッチ・アッセイ,インベージョン・チャンバーなどを用いたin vitroアッセイで評価し,CNX発現抑制のシンシチウム化への影響とその分子機構についての解析を進める. ・対象群,PE単独群,FGR単独群,およびPE/FGR合併群の胎盤組織,母体血清,および臍帯血を用い,絨毛細胞のCNXや種々の分子シャペロンおよび細胞接着分子の発現量などについて生化学的解析,および病理学的・免疫組織学的評価を行い,臨床的特徴との関連を検討する.
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