人工知能(AI)による感染性角膜炎診断支援システムの戦略的開発
Project/Area Number |
21K09742
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56060:Ophthalmology-related
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
宮崎 大 鳥取大学, 医学部, 教授 (30346358)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 感染性角膜炎 / 角膜炎 / 人工知能 / 感染症 |
Outline of Research at the Start |
角膜混濁は、世界的に失明原因の上位を占める。その原因として角膜感染症は重要な地位を占める。しかしながら、眼科医であっても、検査結果が不足しやすい初診時においては病原体の診断は困難である。しかし、正確な病原体の予測が初診時に得られていない場合、治療が奏効せず予後不良な結果を招く恐れがある。一方、前眼部の画像は、容易かつただちに取得可能であり、スマートホンによっても取得できる。また、前眼部の画像により診断のサポートができれば、遠隔医療や非眼科医との連携も含め、医療資源の削減につながる。本研究では、前眼部の画像に特化し、角膜炎の原因病原体を推定する診断支援AIを開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
感染性角膜炎は、初期診断とそれに基づく治療方針の選択が視力予後に大きく影響する。そのため、治療にもっとも影響する主要病原体カテゴリー4種(細菌、真菌、単純ヘルペス(HSV)、アカントアメーバ)を判別できる画像AIの開発を行った。 AIモデルは、画像の判定に有効と考えられるAIモデル(ResNet InceptionV2)をベースモデルとして選択し、開発した。感染性角膜炎においては、細菌感染が半分以上をしめており、不均衡な分布を示す。不均衡分布に対応するため 細菌性か非細菌性かをまず、判定させ、それに引き続き 他の病原体の診断にうつる構造とした。一方、前眼部画像は、さまざまなアングルや照明の画像が混在する。このため、顔認識用のAIに用いられる損失関数(Ring loss)の使用に加え、異なるAIをくみあわせる手法を用い精度向上をはかった。これにより、4つの病原体を前眼部画像のみから推定するAIを構築し、現在実臨床への応用をすすめている。本AIにより、感染性角膜炎の臨床に不慣れな医師であってもエクスパートレベルの推定ができるようなアシストが可能となる。これにより誤診断による感染性角膜炎の重篤化をふせぎ、さらには視力予後不良例の減少がきたいできると考えている。 引き続き、細菌、真菌感染においては、画像のみで種レベルでの病原体推定をめざすための開発を進めている。種レベルの同定のため, 分子生物学的手法を用い、さらに量的な観点から原因病原体の妥当性を厳密に検証した画像群を収集した。さらに説明可能なAIとするため、所見を学習させた後、原因病原体を推定させる構造のAIの構築にとりかかっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染性角膜炎において、もっとも頻度の多い主要原因カテゴリーは、細菌、真菌、単純ヘルペス(HSV)、アカントアメーバである。このため、起因病原体としてこれら4つを分類する前眼部スリット画像AIの構築を行った。 まず、画像の収集と選択に関しては、これまで品質の高い画像4000枚以上の前眼部画像を鳥取大学の眼科より収集した。すべての画像においては病原体real-time PCRを含めた分子生物学的検査により検証し、かつ独立した3人の眼科医により妥当性の評価を行った。さらに、AIの構築の過程でvalidationのため、汎用性を担保する目的にて画像種のソースをウェブ画像にも拡張した。このためには、学術論文を含め公開された画像を収集し、AIによる画像判断の一般化を担保しているかの検証に使用した。 一方、臨床応用をめざす上で、細菌、真菌感染においては、種レベルまで推定できれば、初期にもちいるべき薬剤の選択に有用である。このため、それぞれ種レベルの推定が可能なAIの構築をすすめている。このためには、それぞれの画像取得時の、各種病原体定量、さらに同定不明例においてはsequencingを施行し画像の正確なannotation付与をはかりつつある。 また、AIの病原体診断において、説明可能性は重要である。このため、所見を学習させ、所見の部位を表示させる機能の実装にむけて開発をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
画像AIの開発にとってもっとも重要な部分は、学習させる画像の品質とその数と多様性にある。次にどのような構造のAIモデルをつくるのがよいかになる。さらに、AIモデルの大まかな構造を決定した後は、必要な学習画像の選択、臨床的有用性を含めファインチューンしながらモデルの構造に反映させる必要がある。最後に、臨床所見、さらには分子病態との統合を図るというプロセスとなる。
画像のみを用いたAIモデルを構築する上で、前眼部スリット画像は、一般に困難であることが知られており、多くの解決すべき課題を抱えている。眼底画像と異なり、スリットの照射角度、照明、蛍光色素による染色、光源の映り込みなどがある。これらは、AIの学習にとって至適化を困難とする。Diffuser画像のみに頼らずこうした多様な画像に対応できるような手法の開発を試みている。
まず画像の品質、難易度や学習における有用性を確認するためには、AIが画像のどのような所見を重視して判断しているかを明らかにすることが必要である。一方、感染性角膜炎の画像において、診断に重要な所見はかならずしもあきらかではない。たとえば、AIが重視している箇所を理解できる形で所見として提示する必要があるが、従来の一般的手法では困難であった。このため、AIが判断に重視した所見を可視化するアルゴリズムの開発も平行しておこなっている。これらを通じ重要な所見の提示、さらには其れを用いた診断精度の向上を図っている。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)