口腔内細菌叢の網羅的解析による口腔粘膜障害への臨床アプローチ
Project/Area Number |
21K10185
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57070:Developmental dentistry-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
平野 慶子 岡山大学, 大学病院, 助教 (50335618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 道代 (松本道代) 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30359848)
後藤 花奈 岡山大学, 大学病院, 助教 (90846495)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 小児がん / 造血幹細胞移植 / 口腔粘膜障害 / 口腔レンサ球菌 / 周術期 / 齲蝕 / 歯周病原菌 / 小児 / 口腔レンサ球菌歯周病原生菌 / う蝕 / 歯周病原生菌 / 移植片対宿主病 / 口腔内細菌 |
Outline of Research at the Start |
造血幹細胞移植等の治療を受ける小児がん患者において抗がん剤などの薬剤等の重篤な侵襲に対して、口腔粘膜障害が起こることが知られている。さらに造血幹細胞移植が成功した後にも、歯槽骨の吸収を伴う歯周炎や多数歯の齲蝕が発生し、移植や化学療法前の口腔内状況とは大きく異なっている。その原因として、大量の免疫抑制剤や抗菌剤、抗がん剤に関連して口腔細菌叢の変化が生じることが考えられる。本研究では、患者の口腔検体から細菌を分離し分子生物学的手法を用いて細菌種の特定を行いさらに、病原性の高い細菌に対する有効な治療薬の選択を実現するために、検体中の細菌における表層病原タンパクについての検討も行う予定である。
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Outline of Annual Research Achievements |
造血幹細胞移植を受ける小児がん患者について口腔粘膜状態の経時的な観察および口腔細菌叢の変化について検討した。患者の口腔内より移植前、移植1か月、3か月、6か月後に歯垢と唾液をサンプルとして採取した。採取したサンプルを、ミュータンスレンサ球菌数の測定にはバシトラシン含有 Mitis salivarius 寒天培地を、乳酸桿菌数の測定には Lactobacillus Selective 寒天培地に播種し、菌の分離を行った。また、菌種の特定のために、分離した菌から通法に従って細菌DNAを抽出し、得られたDNAをテンプレートとし、各菌種に特異的なプライマーを用いたPCR法にて、検体中に含まれる代表的な6種の口腔レンサ球菌と10種の代表的な歯周病細菌を同定した。研究には現在9名が参加し、年齢は1歳1か月より11歳3か月までであり平均年齢は6歳3か月であった。疾患名は再生不良性貧血が3名、急性リンパ性白血病が3名、急性骨髄性白血病が1名、骨髄単球性白血病が1名、Bリンパ芽球白血病が1名であった。口腔粘膜状態はWHOの口腔内有害事象スケール(Scale0~4。0が事象なし4が経口摂取不可)で記録し、移植が終了した8名のうち0が3名、1が1名、2が1名、3が3名であった。 ミュータンスレンサ球菌は移植前に8名中4名に、移植後1か月では3名に認めた。また、乳酸桿菌は移植前には8名中1名に、移植後1か月では4名に認めた。さらにPCR法にての移植前のレンサ球菌種は8名中7名に認め、移植後1か月では4名にのみ認め、その1人あたりのレンサ球菌の種数の平均値は移植前では2.8種であり移植後1か月では0.9種であった。また歯周病菌の出現数は移植前では8名中4名に認めたが移植後1か月では2名に認めた。またその1人あたりの歯周病菌の種数の平均値は移植前で0.9種、移植後1か月では0.6種であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年、一昨年に続きCOVID19の影響で造血幹細胞移植のバンクドナーの手続き等に遅延が生じており、当初の予定より造血幹細胞移植を行う患児が少ないが、サンプリング数は増加しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も同様に小児科との連携を元に、造血幹細胞移植の患児のサンプル数を増やしていく予定である。また当初の予定通り各細菌の分離同定が終了した後には、リアルタイム PCR 法を用いて、それぞれのサンプルに含まれる各菌の定量を行う。また、分離した菌に関しては以下の1)~3)までの分析を行う予定である。 1) バイオフィルム形成能 分離した菌に関して、バイオフィルム形成能の評価を行う。評価は量的評価および構造評価を行う。 2)プロテオーム解析 得られた菌を用いて、プロテオーム解析を行う。ショットガン解析にて変化したタンパク の同定を行う。必要であれば、リン酸化ショットガン解析を行いさらに詳細な分析を行う。この解析により、口腔内の環境悪化に関連するタンパクを同定する。 3)歯周病原生菌の細胞傷害性 細胞培養系による病原性の評価を HE 細胞および Ca9-22 細胞株を用いて行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)