Bergson's Theory of Memory as Action: A Foundation for Memory Research through Collaboration between Philosophy and Science
Project/Area Number |
21K12818
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原 健一 北海道大学, 大学院教育推進機構, 特任助教 (90882499)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | ベルクソン / 記憶 / 身体性 / 行為志向性 / フランス哲学 / 記憶の哲学 / 哲学と科学の協働 |
Outline of Research at the Start |
記憶の表象主義は、記憶した物事を想起する働きを、過去の出来事の心的イメージを頭の中で表象する静的な働きととらえている。この考えは、哲学・科学を問わず、記憶研究における前提としてあり続けてきた。だが、頭の外にある対象に直接的に働きかけるダイナミックな行為として記憶をとらえ直すことができないか。このような記憶論を展開した哲学者としてベルクソンがいる。そして、これまでの研究において、ベルクソンの記憶理論の行為的側面のポテンシャルは十分に解明されてこなかった。そこで、本研究では、記憶の表象主義のオルタナティブとしてベルクソンの記憶の行為論を解明して、記憶研究にブレイクスルーをもたらすことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ベルクソンの記憶論を解明することで、現代の記憶の哲学に記憶の行為論というオルタナティブを提示することである。交付申請書に書いた通り、2022年度は、記憶と知覚の区別にかんするベルクソンの考えについて調査することを主たる課題とした。 まず、記憶と知覚の区別にかんするベルクソンの考えの調査においては、2022年6月21日のThe first Hokkaido-Tartu philosophy workshopにて行なった「Bergson and Remembering as Action」での口頭発表、ならびに、2022年10月2日のRemembering: Analytic and Bergsonian Perspectives 2での口頭発表の成果が挙げられる。報告者は、各発表において、ベルクソンの記憶論が、生成主義なのか、それとも保存主義なのかという解釈上の問題を扱った。これによって、生成説と保存主義などの記憶の哲学における諸立場を紹介し、その立場における対立の中にベルクソン解釈上の問題を置きなすことができた。そして、これらの概念や理論と、ベルクソンの記憶論との関係性を整理することができた。 また、上記の調査結果を踏まえた学会発表を行なう中で、2023年度に取り掛かる予定であった、ベルクソンの記憶の行為論についての具体的な解明を遂行できた。特に、2023年2月1日の国際学会「Atelier Bergson: Nouvelles perspectives sur Matiere et memoire」での口頭発表「Bergson’s Preservationism of Memory」を中心として、ベルクソンの考え方を上記の記憶の哲学の概念や理論と突き合わせることによって、ベルクソンの記憶の行為論の内実を解明することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初課題としていた記憶と知覚の区別にかんするベルクソンの基本的な考え方を口頭発表の形で成果として出すことができた。また、ベルクソンの記憶論を現代の記憶の哲学と接続するという課題も、報告者に独自の観点からの口頭発表においても遂行できた。これらの成果は本研究の進展が順調であることを示すものである。 さらに、国際的なワークショップ、国際学会では、フランス・グルノーブル大学の記憶の哲学研究センターのK・マイケリアン氏と直接会う形で親交を深めることができた。また、アトリエ・ベルクソンを主導するマチルド・タアル氏には、来日の際に報告者が特定質問をしたこと、また、アトリエ・ベルクソンでの発表にタアル氏に招待してもらったことによって、親交を深めることができた。今後も持続的な協働研究のつながりを構築、維持するべく、対面での国際学会への積極的な参加を続けたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策としては以下の三つが挙げられる。①海外のトップジャーナルでのベルクソンの記憶の哲学にかんする論文の成果の公開、②ベルクソン研究者、そして記憶の哲学の研究者との国際的なネットワークづくり、そして引き続き、③現代の記憶の哲学の基礎的な概念、理論の紹介・解説である。 ②については、国際学会や国際ワークショップの特定質問や発表の招待をすでに受けており、また、参加するべき学会とワークショップの選定もほぼ完了している。特に、2023年度は、台湾で開催される予定の記憶の哲学の国際会議などへの参加を予定している。これらの発表の機会などを利用して①・③を遂行していく。 ①については、現代の記憶の哲学における保存主義対生成主義という枠組みにおけるベルクソン解釈の検討といった、ベルクソンの議論の分析の軸はすでに得られている。2023年度はその分析を論文として出版するという具体的な成果として結実させることを目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)