ES細胞・iPS細胞の機能制御を可能とする新規荷電性培養基板の開発
Project/Area Number |
21K15357
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 48040:Medical biochemistry-related
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Research Institution | Kyoto University (2022) Hokkaido University (2021) |
Principal Investigator |
廣田 聡 京都大学, 高等研究院, 特定研究員 (20847181)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ES/iPS細胞 / ハイドロゲル / バイオマテリアル / 幹細胞ニッチ |
Outline of Research at the Start |
ES細胞やiPS細胞などの高度な多能性を持つ幹細胞は再生医療の基盤資源である。しかし、その維持や分化誘導は多種類の増殖因子を必要とし、高いコストや再現性、効率に課題が残されている。この問題を解決するため、本研究では従来にない視点で、新規培養基板を開発する。すなわち、表面電荷の制御可能な合成ハイドロゲルを用いて、ES/iPS細胞の幹細胞性や分化の制御が可能な革新的培養基板を創出する。荷電性基質による幹細胞機能制御の原理の解明は新しい学問領域の創出につながると同時に、電荷による多能性幹細胞の制御法の確立は再生医療の精度を向上させ、未来の医療に大きく貢献することが期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
ES細胞やiPS細胞などの高度な多能性を持つ幹細胞は再生医療の基盤資源である。しかし、その維持や分化誘導は多種類の増殖因子を必要とし、高いコストや再現性、効率に課題が残されている。この問題を解決するため、本研究では従来にない視点で、新規培養基板を開発する。すなわち、表面電荷の制御可能な合成ハイドロゲルを用いて、ES/iPS細胞の幹細胞性や分化制御が可能な革新的培養基板を創出する。すでに、申請者は、未分化細胞と分化細胞では維持・増殖・分化に適した足場の電荷が異なることを見出している。また、NGSを用いた遺伝子プロファイルの解析により、正電荷をもつ合成ハイドロゲル上で分化誘導をおこなった際に分化抵抗性を示していた細胞は、Epiblast stem cells (EpiSCs)のようなPrimed型ではなく、むしろ未分化能の高いNaive型ES細胞に近い遺伝子発現プロファイルを示していることを明らかにした。より詳細に遺伝子発現パターンの変化を解析したところ、正電荷ゲル上で分化誘導を行った細胞では、未分化維持に関わるKlf4、Klf2、Klf5の発現量が維持されていた。さらに、これらの上流シグナルを明らかにするため阻害剤による検討をおこなったところ、ERK5経路が関わっている可能性が示唆された。今後は、荷電性ハイドロゲルがヒト多能性幹細胞に与える影響を解析する。これら一連の結果から得られる体系的な理解により、幹細胞性を制御する新たなバイオマテリアルの創出を実現する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の知見から、正電荷ゲル上の細胞が分化に対して抵抗性を示しているメカニズムの一端として、分化を促進する因子の発現が低下しており、分化シグナルが細胞内にうまく伝達していない可能性が示唆された。そこで本年度では、正電荷ゲルが未分化維持を促すシグナルに与える影響に着目し解析をおこなった。マウス多能性幹細胞には、未分化状態によって大まかに以下の3つの培養方法がある。MEKi、GSK3iとLIFを加えることでNaive型を維持できる方法(2i/LIF)、Activin AとbFGFを加えることで、Naive型における分化能の一部を失ったEpiSCs(Prime型)で維持する方法(Actvin/bFGF)、そしてこの2つの状態が混在する状態で維持されるFCSとLIFを加えた方法(FCS/LIF)がある。これらと正電荷ゲル上で分化誘導を行った細胞において、未分化維持に関わる遺伝子の発現パターンを比較したところ、Klf4、Klf2、Klf5の発現が維持されていた。これらの遺伝子は未分化維持の中心を担うOct3/4、Sox2、Nanogの発現を支持する役割があることが知られている。さらに、Klf4、Klf2、Klf5の上流を明らかにするため、阻害剤による検討をおこなったところ、ERK5の機能を阻害すると正電荷ゲル上でも分化が進むことがわかった。これらの結果を踏まえると、正電荷ゲル上で分化誘導をおこなったマウスES細胞では、分化を促すシグナルの阻害とERK5を介した未分化を維持するシグナルの入力が同時に起こるため未分化な状態が維持されていると考えられる。このように、これまで全く未知であった培養基板の荷電状態が幹細胞性に影響を与えるメカニズムの全体像を掴むことができたことから、着実に研究が進展しているため、当該年度の研究は「概ね順調に進んでいる」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、本年度の研究ではハイドロゲル表面の荷電状態によって未分化状態が維持されるメカニズムとして、ゲルの表面電荷による分化シグナルの阻害と未分化維持を促すシグナルの入力の2つの現象が同時に起こることを見出し、より詳細な分子メカニズムに迫ることができた。今後は、荷電性ハイドロゲル上で培養したヒトiPS細胞において、RNA-seqやプロテオーム解析などの解析を行い、細胞内の変化を網羅的に明らかにする。さらに、これらの因子が機能しているかを機能阻害やバイオイメージングなどの手法を用いて解析していく。そして、これらのデータをもとに、幹細胞性を制御する新たな培養基板の創出を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)