マウスを用いた水素吸入療法による肺挫傷の新規治療法の開発
Project/Area Number |
21K16573
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55060:Emergency medicine-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
塚原 紘平 岡山大学, 大学病院, 助教 (90648726)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 肺挫傷 / 動物モデル / 水素 / 抗酸化作用 / 水素ガス / 急性呼吸窮迫症候群 / マウス肺挫傷モデル |
Outline of Research at the Start |
高エネルギー外傷に伴う広範囲の肺挫傷は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を合併し、低酸素血症から多臓器不全となりしばしば致死的である。近年、水素ガスが抗炎症作用、抗線維化作用を有することが報告され、安全濃度の水素吸入療法は多くの実験モデルでその効果が示されている。本研究の目的は、マウスの肺挫傷モデルを確立し、水素ガスの吸入が肺挫傷を軽減するか、またそのメカニズムは何かを調べることである。現在心原性心肺停止に対し本邦で多施設臨床試験が行われており、本研究の成果をもって、肺挫傷への臨床応用へむけての準備をすすめるきっかけとしたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
肺挫傷は胸部に圧迫や衝撃をうけて肺が損傷し、肺胞内の出血や反応性分泌物貯留、間質の出血や浮腫がおこる病態である。高エネルギー外傷に伴う広範囲の肺挫傷は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を合併し、低酸素血症から多臓器不全となりしばしば致死的である。肺挫傷の多くは、対症療法を含めた保存治療が行われており、決定的な治療法はいまだ確立されていない。 近年、水素ガスが抗炎症作用、抗線維化作用を有することが報告され、安全濃度の水素吸入療法は多くの実験モデルでその効果が示されており、我々の研究室でも水素を使用した小動物の実験を行っている。また、現在心原性心肺停止に対し本邦で多施設臨床試験が行われており、その報告待っている段階である。 本研究の目的は、マウスの肺挫傷モデルを確立し、水素ガスを吸入させることで肺挫傷を軽減するか、またそのメカニズムは何かを調べることである。本研究で肺挫傷への有用性が証明された場合、水素を用いた新たな肺挫傷治療を提案する可能性を秘めており、今後の救命救急医療における肺挫傷への臨床応用へすすめるきっかけとしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス肺挫傷作成機を動物実験倫理に沿って地元企業と共同開発し、麻酔下にマウスに鈍的胸部外傷を再現性をもって与えることができている(0.013N~0.016N)。研究初年度はこの基礎検討の結果を病理組織学的検討、血液ガス分析、また小動物用CTといった画像診断で解析し、肺挫傷モデルとして十分な傷害となっているかを確認し、モデルを完成させることができた。2022年度は水素吸入の効果を判定した。水素吸入による肺挫傷の診断・治療効果判定は、病理組織学的検討、血液ガス分析、また小動物用CTといった画像診断で行う。水素濃度は安全とされている3%から開始し、水素濃度を0.5%まで減少させ、有効最低濃度を見出す。肺組織、血清、BALを採取し液体窒素で凍結したあとマイナス80度で保存する。肺組織は毎回 同じ肺葉を免疫染色、蛋白、RNA抽出に供する。炎症性サイトカイン(TNFα, IL-6など)はrealtime RT-PCRなどで評価し、血液ガス分析や病理組織像も考慮し、総合的に効果判定を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に見出した有効かつ最低の水素濃度を使い、水素吸入の効果発現のメカニズムを見出す。 凍結保存したサンプルを使って、線維化に関係するトランスフォーミング増殖因子(TGF-β)の発現に水素が与える影響についてWestern Blotなどで調べ、コラーゲンやフィブロネクチンな どのマトリクス蛋白質の発現、またその過程で活性化されるSmadと呼ばれる一群のシグナル分子について検討する。Smad2とSmad3に加え、inhibitory Smadとよばれ、本経路に抑制的に働くSmad7の動きも調べる。また、水素によるマトリックスメタロプロテアーゼの発現抑制も過去に研究協力者らにより示されており(Sun Q, Nakao A, et al. Cardiovasc Res. 2012)、一連の炎症関連シグナルに加え、TGF-β;-Smadに注目して実験を進める予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)