2021 Fiscal Year Research-status Report
マウスを用いた水素吸入療法による肺挫傷の新規治療法の開発
Project/Area Number |
21K16573
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
塚原 紘平 岡山大学, 大学病院, 助教 (90648726)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 肺挫傷 / 動物モデル / 水素 / 抗酸化作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺挫傷は胸部に圧迫や衝撃をうけて肺が損傷し、肺胞内の出血や反応性分泌物貯留、間質の出血や浮腫がおこる病態である。高エネルギー外傷に伴う広範囲の肺挫傷は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を合併し、低酸素血症から多臓器不全となりしばしば致死的である。肺挫傷の多くは、対症療法を含めた保存治療が行われており、決定的な治療法はいまだ確立されていない。 近年、水素ガスが抗炎症作用、抗線維化作用を有することが報告され、安全濃度の水素吸入療法は多くの実験モデルでその効果が示されており、我々の研究室でも水素を使用した小動物の実験を行っている。また、現在心原性心肺停止に対し本邦で多施設臨床試験が行われており、その報告待っている段階である。 本研究の目的は、マウスの肺挫傷モデルを確立し、水素ガスを吸入させることで肺挫傷を軽減するか、またそのメカニズムは何かを調べることである。本研究で肺挫傷への有用性が証明された場合、水素を用いた新たな肺挫傷治療を提案する可能性を秘めており、今後の救命救急医療における肺挫傷への臨床応用へすすめるきっかけとしたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス肺挫傷作成機を動物実験倫理に沿って地元企業と共同開発し、麻酔下にマウスに鈍的胸部外傷を再現性をもって与えることができている(0.013N~0.016N)。研究初年度はこの基礎検討の結果を病理組織学的検討、血液ガス分析、また小動物用CTといった画像診断で解析し、肺挫傷モデルとして十分な傷害となっているかを確認し、モデルを完成させることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は水素吸入の効果を判定する。 水素吸入による肺挫傷の診断・治療効果判定は、病理組織学的検討、血液ガス分析、また小動物用CTといった画像診断で行う。水素濃度は安全とされている3%から開始し、水素濃度を0.5%まで減少させ、有効最低濃度を見出す。肺組織、血清、BALを採取し液体窒素で凍結したあとマイナス80度で保存する。肺組織は毎回同じ肺葉を免疫染色、蛋白、RNA抽出に供する。炎症性サイトカイン(TNFα, IL-6など)はrealtime RT-PCRなどで評価し、血液ガス分析や病理組織像も考慮し、総合的に効果判定を行う。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍であったが、研究モデルの作成は予定通りに進行した。出張が難しい現状があったため、一部予算が使えなかったため、次年度に持ち越し、研究を遂行し、学会発表等に充填するように計画を立てていきたい。
|