ポストディクションとしての自己感:ベイズ事後推論による主体性の因果判断過程の検討
Project/Area Number |
21K18573
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 10:Psychology and related fields
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
浅井 智久 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 主任研究員 (50712014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏原 志保 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (60910247)
千代原 真哉 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (50905429)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | 自己感 / ポストディクション / 自由意思 / 脳波 / 行為 / 自己主体感 / 反省 |
Outline of Research at the Start |
2000年以降の心理学関連領域において,「自己という感覚」について科学的検討がされている。しかし,このような「自己ありき」の研究アプローチは,つねに偽陽性の結果としての自己の実在証明を目指してしまっている可能性がある。一方で,私達が認識しているところの客観世界の表象は,高次元の情報空間の低次元化にすぎないという工学的・機械学習的解釈も進んできている。また主観的にも,一部の精神疾患の症状(離人症,統合失調症など)や瞑想中の変性意識状態では,自己感の喪失が報告される。本研究では,自己感の実在性という問題に対して,事後推論(ポストディクション)として主体性が立ち現れる様子を記述することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,運動行為を行ったポストディクションとして自己感が発生している可能性を,行動実験および脳波の計測実験として検証した。そこで,自発的なキー押し行為に先立って観察される運動準備電位を検討することで,ポストディクティブな自己感が「先行する自身の脳活動への後からのラベル付けや事後推論」である可能性を検討した。これまで実施した複数の実験結果から,運動準備中に特定の脳活動へ収束していく様子をまず可視化した。具体的には,行動データおよび脳波データから,キー押しタイミングを0時点とエポッキングし,参加者および条件の繰り返しをまとめた試行集団データセットに落とし込んだ。これに対して,我々が開発してきた脳波マイクロステートを基底とし,全脳の神経活動状態を1時点ごとに状態空間上に布置する手法(状態空間上での遷移を可視化)を適用した。その結果,特定の脳状態(状態空間上での特定の位置)へ各被験者の状態ダイナミクスが時点0に向かって凝集する様子を観察することができた。そのため続いて,この観察された状態の凝集現象の定量化のために,EEGマイクロステートテンプレート(ABCDE±)を用意し,各瞬間の脳波状態にいずれかのラベルを貼ることで定量化する解析を検討した。結果として,マイクロステートE+と呼ばれる状態が運動準備期間中に累積していく様子を定量的にも示すことに成功した。さらに,別の認知課題時におけるキー押しではこの結果は再現されないことも比較として明らかにした。以上の知見は,主体的行為における意図およびその結果としての行為の発動とは,ある瞬間に起こる(起こせる)ものではなく,時間をかけた神経活動の累積がまず必要で,その累積が閾値を超えた瞬間に解放される現象であり,その一連の神経履歴を後から事後推論することにより「主体感の解釈」が成立している可能性を議論できるものであると考える。
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Report
(3 results)
Research Products
(1 results)