Project/Area Number |
21K19442
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 52:General internal medicine and related fields
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
加藤 泰介 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (30598496)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | TDP-43プロテイノパチー / DNA損傷 / 細胞老化 |
Outline of Research at the Start |
細胞老化によって形成されるTDP-43封入体は、患者封入体形態に酷似し、これは内在性物質動態のみで再現される細胞実験系である。このメカニズムを老化・非老化細胞間、もしくは同様の老化誘導処理後の封入体形成・非形成細胞間の比較によって明らかとする。特に封入体が形成される細胞質内の短鎖核酸動態に着目し、網羅的な同定とその意義について解析を進める。このメカニズムの解明は、これまで用いられてきた古典的な人工モデル体型を再編することになる。さらに次のステップとして、本研究提案による発見と同様の現象が患者細胞内で証明されれば、その制御はTDP-43プロテイノパチーの画期的な治療標的の提案に繋がることとなる。
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Outline of Annual Research Achievements |
核内タンパク質であるTDP-43が細胞質内封入体を形成するTDP-43プロテイノパチーは多様な疾患群で認められるが、これら疾患は全て加齢の関与が強く疑われている。本研究は、人為的なDNA損傷誘導性の細胞老化細胞において見出されたTDP-43封入体の形成機構を明らかとすることによって、細胞老化に起因するTDP-43プロテイノパチーの分子機構に迫ることを目的とする。 昨年度は、TDP-43封入体を効率よく誘導する細胞老化誘導法として、放射線照射法を見出した。本年度は、このモデルを用いて、TDP-43封入体形成の機構について解析を実施した。TDP-43凝集シードとして核酸に着目し、single strand DNAとdouble strand DNAのどちらがTDP-43封入体と高い共局在性を示すかについて比較を実施した。その結果、TDP-43細胞質封入体は核外に漏出したdouble strand DNAと高頻度に共局在していることが見出された。この共局在細胞質double strand DNAの特徴を見出すために、TDP-43封入体形成細胞をレーザーマイクロダイセクションによって単離し、配列決定を試みた。結果として、クローンの取得率が著しく低く、また得られた場合においても、取得配列がヒトゲノム配列にunmatchedな配列が多く含まれていた。また、ヒト配列にmatchしたクローンにおいても、特定の再現性の得られる配列は取得されなかった。これは、得られるTDP-43封入体形成細胞の頻度が低く、コピー数の不足が大きな原因である可能性が高いと考えられた。一方で、ヒト配列にmatchしたクローンにおいてcentromereやtelomere領域の頻度が高かった点は注目に値する結果であった。結論を得るために、今後、より効率的にTDP-43封入体形成を誘導する手法の同定を試みる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞質において、TDP-43封入体を形成するためのシードとして、細胞質漏出核酸に着目し、TDP-43封入体と共局在する核酸がsingle strand DNAであるかdouble strand DNAであるかの同定を、各核酸種特異的な抗体を用いて同定を行った。その結果、TDP-43封入体double strand DNA抗体と共局在を示し、TDP-43封入体の形成シードとして、DNA損傷で誘導された細胞質漏出double strand DNAが疑われた。このTDP-43封入体と共局在する細胞質double strand DNAの特徴を取得するため、TDP-43封入体を形成した細胞をレーザーマイクロダイセクションによって単離し、細胞質double strand DNAクローニングと配列決定を試みた。 結果として、クローニングされた配列の多くが、ヒトDNA配列にunmatchedな配列であった一方で、matchした配列間で、一貫した領域特異性は見出されなかった。一方で、matchした配列には、高頻度にcentromereやtelomere領域が含まれていた。これらの配列には、トランスポゾン配列等が濃縮されており、1つのシード候補として可能性が示唆された。これらのトランスポゾンエレメントはTDP-43プロテイノパチーであるFTLD患者脳内では発現の亢進が報告されていることから、TDP-43封入体形成そのものに関わる因子としても非常に興味深い結果が取得された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果として、centromereやtelomere領域配列がTDP-43封入体を形成する細胞の細胞質漏出DNAとしての候補として挙がってきた。現在のlimitationとして、得られるTDP-43封入体形成細胞数が少なく、効率的なクローニングが行われない点があげられる。今後、TDP-43封入体をより高頻度に形成させるDNA損傷誘発法をさらに探索するとともに、増幅法を加味したクローニング手法によって、より深度の高い配列決定法を試みる予定である。
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