Project/Area Number |
21K19566
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 56:Surgery related to the biological and sensory functions and related fields
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 幸子 京都大学, 医学研究科, 助教 (10846140)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三瀬 名丹 自治医科大学, 医学部, 准教授 (00360644)
山ノ井 康二 京都大学, 医学研究科, 助教 (70868075)
滝 真奈 京都大学, 医学研究科, 助教 (20898077)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
|
Keywords | 核酸代謝 / ピリミジン塩基 / 核酸合成阻害 / 葉酸受容体 / 5FU / 卵巣癌 / ピリミジン合成阻害 |
Outline of Research at the Start |
我々の本研究の目的は、核酸代謝の制御から、容易に再発して抗がん剤抵抗性を獲得する卵巣癌に対して、新規治療基軸を提唱することである。 1)卵巣癌細胞において核酸動態の変動を調べ、さらに抗がん剤や低酸素環境に暴露された際に、どう変化するか検証する。 2)上記で観察できた核酸動態に最も関与する代謝経路や関連酵素の同定を行う。 3)標的酵素の同定とバイオマーカー探索すを行う。 本計画で卵巣癌特有の核酸代謝動態を把握するだけでなく、抗がん剤や低酸素環境への順応(耐性獲得)過程での、ダイナミックな核酸代謝動態の変動を解明する。そして治療標的となる酵素を同定し、バイオマーカーも見出したい。
|
Outline of Annual Research Achievements |
RNA, DNA合成の直接的な要素となる、デオキシリボースが付加した核酸(dNTP)を、qPCRを応用した手法で定量化する方法の確立に、引き続き今年度取り組んだ。 昨年度に引き続いて、米国やハンガリーで同様の測定を行っている研究グループと、何度もweb会合を開いて再現性のある手法の確立に努めた。その結果、次第に精度が上昇しつつあるが、精密な定量が毎回可能、という状況には至っていない。機器の更新も行ったが、それだけでは十分でないことが判明した。具体的には、試薬や機器など細かな要因の積み重ねにより、厳密な定量が困難となることが判明した。 しかしながら、厳密ではないものの、半定量とすることは多くの場面で可能となってきたため、化学療法を行った際の核酸(dNTP)の動態についてプレリミナリーに検討をおこなった。その結果、細胞障害性薬剤の添加により、dCTP, dTTPが増加する可能性が示唆された。これまで同様の動態は、乳癌細胞株で確認されているだけで、卵巣癌細胞での試みは初めてであり、興味深い結果であると考えている。 加えて、核酸の原料である葉酸受容体が、卵巣がんでは高く発現していることが報告され、我々のサンプルでも確認できた。葉酸受容体の阻害により、卵巣癌細胞の増殖が低下することを示唆するデータも得ることができた。葉酸受容体の拮抗で、より幅広い核酸合成の低下が期待され、その解明を計画している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究室メンバーが米国より導入した方法でdNTPの測定が、機器の違いや試薬のわずかな違いにより、再現性を得ることに苦労した。機器の違いが大きいと考え、報告のある機種を新規購入して再現性が高まることを狙った。ある程度、精度は上昇したが、その後も期待通りの精度にならないことが散見されている。 ここまでの検討で、機器だけでなく、試薬の精度の違いによっても、結果に影響が及びうることがわかってきた。当初はqPCR機器を用いた検討で、さまざまな条件(化学療法、低酸素環境など)における核酸代謝の動態を観察する予定であったが、むしろ、大まかな検討はLC-MSで行ったほうが、簡便で時間もかからないであろうと今は考えている。 そのため、引き続き機器測定の手法確立に努めるが、その精度は半定量程度でよいと捉えており、LC-MSを利用した測定も織り交ぜて核酸代謝の動態解明を進めていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究室メンバーが米国より導入した方法でdNTPの測定が、機器の違いや試薬のわずかな違いにより、再現性を得ることに苦労した。現段階も、完全に精密な定量化が、毎回可能となっているわけではないが、ある程度の再現性を持って、半定量化する目処が立ってきた。同時に、共通機器室のメンバーとも相談を繰り返していて、比較的安価でdNTPの測定が可能な条件を検討してもらっている。qPCRでの測定に固執せず、共通機器のLC-MSも織り交ぜることで、臨床サンプルの測定を行って、実際の患者サンプルでの核酸代謝の実態解明を始めていく計画を立てている。 京都大学医学部附属病院のバイオバンク事業で保存している腫瘍サンプルを用い、そのdNTPやNTPをLC-MSで測定する。臨床情報と紐づいているため、特に化学療法抵抗性となっている腫瘍に着目して、dNTPを測定する。さらに、その遺伝子発現も同時に解析して、核酸代謝に関連する遺伝子発現の変化も検討する。in vitroでも、抗がん剤の添加によりdNTPが増加するか検討し、その阻害で抗がん剤感受性が変化するか検討する(ここのdNTP測定は半定量で可能なので、qPCR機器を用いる)。さらに近年卵巣がんで効果が期待される、葉酸受容体拮抗薬の添加により核酸代謝が変化するか、in vitroで検討する。
|