市民の選好と事業評価から見る公共事業の手続的公正の意義:行動行政学アプローチ
Project/Area Number |
21K20113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0106:Political science and related fields
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Research Institution | Senshu University (2022) Waseda University (2021) |
Principal Investigator |
渡邉 有希乃 専修大学, 法学部, 講師 (60906155)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 公共事業 / 手続的公正 / 市民評価 / 行動行政学 / サーベイ実験 / 公共工事調達 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、公共事業の事業者選定過程において競争入札手続の公正性を確保することの意義を、事業の受益者である市民の選好と事業評価の観察を通じて明らかにする。公共事業プロセスの公正性に関しては、公正な競争の下で守られる市民の経済利益と、むしろ競争抑制下で追求が容易になる工事品質とのトレードオフを背景に、公正確保の利点を巡る論争が続いてきた。本研究では、市民自身の認識を加味した検討によってこの論争に一定の解決を与えることを目指し、日本の一般市民を対象としたサーベイ実験を行う。具体的には、公共事業の価格と質に関する市民の選好分布と、事業プロセスの公正さが市民からの事業評価に与える影響を分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、公共事業の事業者選定過程で競争入札手続の公正性を確保する意義を明らかにすることを目的に、日本の一般市民を対象としたサーベイ実験を実施するものである。 2022年度は、昨年度中に実施した予備実験で得た知見を前提として、実験設計の再検討と修正を行った。具体的には、1)被験者に与える実験刺激を単純化すること、2)実験で提示される架空シナリオの題材をより普遍的な内容に落とし込むことが課題であった。 まず1)に関しては、被験者に提示する架空のシナリオについて、これまでひとつのシナリオの中に「手続的公正・品質・価格」という3つの変数に関連した情報を全て盛り込んでいたところ、シナリオを3段階に分割し、ひとつのシナリオにつき1種類の情報のみが含まれるように調整することとした。とりわけ「手続的に不公正な状況」についての被験者の直感的な理解を促すため、「不公正な手続をとることが、公共事業の価格・品質の水準に、どのようなメカニズムでどのような影響を与えうるのか」が平易な表現で説明されるよう工夫することとした。 次に2)に関しては、一般的な市民が各公共事業に抱いている潜在的なイメージをより明確にする必要があることから、「公共事業の価格と質とのトレードオフに関する市民の選好位置」に影響を与える要因について、予備実験よりも変数の候補を増やして調査することとした。これにより、市民の選好分布が極端に偏らないような条件を特定することが可能となり、その分析結果を、実験シナリオの再作成に活用することもできる。 本年度中には、実験実施のためのオンライン調査フォームを、以上の検討を反映して再構築したうえで、その動作確認を兼ねてごく限られた範囲で調査フォームを回覧し、試験的に回答を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度においては、研究代表者が所属の研究機関を異動し研究外の業務が多忙となった関係で、本課題にかかる研究活動のために時間を確保することが叶わなかった。 結果として本年度中の進捗は、調査の再設計作業や調査実施の事前準備に限られ、実際に本実験を実施するには至らなかった。しかし、年度末に補助期間の延長申請を行い承認を得ているため、本来本年度中に予定していた本実験の実施、およびそれを踏まえた研究報告活動は、来年度に繰り延べて達成される見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度中に検討した修正後の実験設計に従って、9月頃までには大規模な本実験を実施する。年内にはその結果データを用いた分析を済ませ、年度中に成果を論文にまとめて学術誌に投稿することを目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)