手指・音声言語獲得期における聴覚障害幼児の指文字習得過程に関する研究
Project/Area Number |
21K20229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
:Education and related fields
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Research Institution | Ibaraki University (2023) National Institute of Special Needs Education (2021-2022) |
Principal Investigator |
井口 亜希子 茨城大学, 教育学野, 助教 (90908352)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 聴覚障害 / 幼児 / 手話 / 指文字 / 音韻意識 |
Outline of Research at the Start |
現在、聴覚障害のある幼児は、音声言語と手指言語の二言語環境下にて養育されることが多い。そのなかで、「指文字」は手指言語と音声言語の両方の特性をもつことから、初期語彙獲得期の聴覚障害のある幼児にとって、手話と日本語の語彙を対応付けること、音韻意識の発達を促進させる視覚的な手掛かりとなること等が期待される。本研究では、指文字の表出および読みの二側面の習得過程について、手指言語と音声言語それぞれの発達段階を考慮したうえで検討する。聴覚障害児教育で培われてきた、幼児と教員の相互交渉の中で言語を育む活動に位置づく、音声言語の語彙獲得を意図した指文字の使用モデルを検討する基礎的な知見を得るものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,1)聴覚障害幼児の指文字の単語表出能力についての検討を行った。さらに,その結果を踏まえ,2)幼児の指文字習得状況等の発達段階に応じて,教員は指文字をどのように使用しているかの検討を行った。最終年度は,1)について,コミュニケーション障害学に論文が掲載された。また,指文字の単語表出時の誤りについて,伴った発声と併せてその特徴を分析し,日本特殊教育学会第61回大会でポスター発表を行った。2)について,特殊教育学研究に論文が掲載された。また,新たに絵本の読み聞かせ場面に着目した調査を行い,現在,投稿論文を執筆している。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果を以下にまとめる。 1)特別支援学校(聴覚障害)幼稚部に在籍する聴覚障害幼児(年中・年長)を対象とし,指文字の単語表出の発達について,音韻意識の発達関連を検討した。月齢を制御変数とした相関分析の結果,指文字単語表出課題と音韻意識課題の成績には中程度の有意な正の相関が確認された。また,幼児期には指文字単語表出時に綴りの誤りが生じ,それらは音声産出や書字の誤りに類似した特徴と指文字特有の特徴があると考えられた。 2)特別支援学校(聴覚障害)幼稚部の教員(年少児担当2名,年長児担当2名)が会話場面で用いる指文字について,年少児・年長児期別に指文字の使用特徴及びその背景にある指文字の使用意図を調査した。会話場面の分析と,教員への聞き取り調査を行った。その結果,年少児期に比して,年長児期は指文字の使用頻度がやや高く,使用語彙の種類が多かった。さらに指文字提示時に併用された視覚情報は,手話単語に加え,年少児期は実物や絵,年長児期は文字(単語や文章)が多いことが特徴的であった。年少児期は指文字を使用するための準備段階の形成,年長児期は幼児の指文字習得を前提とした日本語語彙拡充の促進が意図されていると考えられた。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)