A study on the predator dependent mutualistic symbiosis of Sea anemone and Hermit crab
Project/Area Number |
21K20591
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0603:Forestry and forest products science, applied aquatic science, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 晟弘 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (70906148)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 相利共生 / 行動 / 沿岸生態系 / 対捕食者戦略 / 系統分類 / DNA / 分類 / 系統 |
Outline of Research at the Start |
相利共生の構築において、環境要因がどれほど作用するかは未だ不明である。これまでの研究では、個体の利益(成長・繁殖など)が最大になる場合に、相利共生が成立すると考えられている。ところが申請者の研究から、イソギンチャクとヤドカリの共生系では、個体間の利害関係だけでなく、捕食者のような外部環境への応答が重要となると予想された。そこで本研究課題では、本共生 系の環境に応じた両者の「利害関係の変化」を、野外調査および行動実験で解明する。本研究の達成は、相利共生の構築について、「環境への応答」という新たな視点を与える。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に引き続き、博物館の標本調査や、漁港の混獲物調査により、イソギンチャク類・ヤドカリ類(共生・自由生活個体)の成長段階・成熟の有無・個体群サイズ(体サイズ・生息密度)・共生率の調査を実施した。調査海域では、イソギンチャク類だけでなく、ヒドロ虫類も多数採集されることが判明したため、これらも研究の対象とした。現在、調査海域で得られた対象種の共生率、成長段階、個体群サイズのデータについて解析し、英語論文として発表するための準備を進めている。 本研究を進める過程で、研究対象であるヤドカリ共生性のイソギンチャクに、複数種の未記載種が含まれていることが判明した。そのため、各未記載種に対して、詳細な形態分析とDNA解析を行い、それぞれの分類学的混乱を解決した。現在、その一部の未記載種を新種として発表する準備を進めている。 さらに今年度は、各種の被食捕食関係や、食物網構造での位置を把握するために、対象種に対して安定分析を実施した。これらの結果は、一連の課題で得られる結果を考察する上で重要な基礎情報となるため、現在、分析結果の到着を待っている段階である。到着次第、結果を解釈し、上述の研究結果とともに英語論文として発表する。 また今年度は、飼育実験に向けて飼育環境を整備した。しかしながら、飼育環境下では、宿主となるヤドカリ類が長く生きることができないという問題に直面した。来年度からは、飼育下の海水温条件等を再度検討することで行動実験を進めていく。その一方で、行動実験が順調に進まない場合の対応策として、イソギンチャク類の貝殻への付着位置の変化の定量的な比較から「共生関係の状態変化」を議論することも検討している。そのため、各海域で得られた生物サンプルをマイクロCTスキャナを用いて3Dデータに変換し、イソギンチャク類の付着位置の比較を進めることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を進める過程で大きな障壁であったイソギンチャク類の分類学的混乱を、昨年度から今年度にかけて解決した。そのため、博物館の標本調査や、野外調査で得られたサンプルの精査を順調に進めることができた。現在、共生率など生態データや炭素窒素安定同位体分析の結果、および対象種の種の記載も含めて、英語論文として発表する準備を進めている。 行動実験を行うために、ヤドカリおよびイソギンチャク類の飼育を試みた。しかし飼育下では、宿主となるヤドカリ類が長く生きることができないことが判明した。来年度からは、実験に用いる生物種や、飼育下の水質、海水温条件等を再度検討することで行動実験を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のとおり、研究に用いるイソギンチャク類の複数種について、それらの分類学的混乱を解決しつつある。そのため現在は、対象種の共生率や、生態データや炭素窒素安定同位体分析の結果、および各種の種の記載も含めて、英語論文の執筆を進めている。 一方で行動実験については、対象生物の飼育が困難であったため、今後、飼育方法を改善する必要が生じた。次年度は、水族館等の海産生物の飼育に特化した施設とも連携することで、対象生物の飼育実験設備を構築することも検討する。 行動実験が順調に進まない場合の対応策として、イソギンチャク類の貝殻への付着位置の変化の定量的な比較から「共生関係の状態変化」を議論することを検討している。具体的には、各海域で得られた生物サンプルをマイクロCTスキャナを用いて3Dデータに変換し、付着位置の変動を定量的に比較することで、周辺環境に対応したイソギンチャク類の共生状態、ヤドカリとの共生関係の変動を議論することを検討している。昨年度までに、本研究を通して採集された標本や博物館に保管された標本に対して、マイクロCTスキャナを用いた3Dデータ変換を済ませている。そのため次年度は、行動実験と並行して、イソギンチャク類の付着位置の3次元的解析を進める予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)