KIF1Cモータータンパク質を介した浸潤突起伸長の分子機構解明
Project/Area Number |
21K20641
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0701:Biology at molecular to cellular levels, and related fields
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
佐事 武 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90906281)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | KIF1C / c-Src / PTPD1 / 浸潤突起 / リソソーム / Arl8b |
Outline of Research at the Start |
浸潤突起は、細胞外基質を分解しながら伸長することでがん細胞の浸潤を駆動する。がん細胞が浸潤突起を形成する過程では、多数の短い突起から1本の長い突起へと成熟し、長い突起にのみ微小管が貫入する。しかし、浸潤突起は極めて微小な構造であるため、短い突起から長い突起に成熟する仕組みはほとんど解明されていない。申請者は、c-Src キナーゼとキネシンモータータンパク質 KIF1C が成熟した浸潤突起にて特異的に共局在し、その伸長・成熟に必要であることを見出した。本研究では、浸潤突起におけるKIF1C の活性制御機構と輸送カーゴ分子を明らかにすることで、浸潤突起の伸長・成熟の分子基盤の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
浸潤突起は高浸潤性がん細胞に認められる細胞膜突起構造であり、細胞外基質を分解しながら伸長することで、がん細胞の浸潤を駆動する。しかし、浸潤突起の伸長・成熟する仕組みはほとんど解明されていない。申請者は、非受容体型チロシンキナーゼc-Srcとキネシンモータータンパク質KIF1Cが成熟した浸潤突起に特異的に共局在することを発見した。また、c-SrcキナーゼがKIF1Cのストークドメイン内の4つのチロシン残基をリン酸化することを見出した。近年の報告から、KIF1Cはモータードメインとストークドメインが分子内相互作用することで自己抑制されており、チロシンホスファターゼPTPD1がKIF1Cのストークドメインに結合することでKIF1Cの自己抑制が解除され、KIF1Cが活性化することが示されている。そこでc-SrcによるKIF1Cのリン酸化がPTPD1を介したKIF1Cの活性化に与える影響について検討した。その結果、KIF1Cはc-Srcによってリン酸化されることによってPTPD1との結合が亢進し、微小管上へのリクルートが促進されることが示された。また、c-SrcによるKIF1Cのリン酸化は浸潤突起の伸長・成熟に必要であることも明らかにした。さらに申請者は、KIF1C遺伝子のノックアウト細胞はリソソームマーカーのLAMP1およびArf様低分子量GTPaseのArl8bの細胞内局在に影響を与えることを見出した。また、これらのリソソームの局在変化にはKIF1Cのストークドメインが重要であることを見出した。以上の結果より、KIF1Cはリソソームの細胞内局在およびその輸送に重要な役割を担っていることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度では、c-SrcによるKIF1Cリン酸化依存的に結合する分子の同定について近位依存性ビオチン化標識法(AirID法)を用いて解析を行なった。また、KIF1Cのノックアウト細胞ではリソソームの細胞内局在に影響を与えることを見出した。そのリソソームの局在変化について各種KIF1C変異体を用いてレスキュー実験を行い、KIF1C配列内のリソソーム局在変化に関わるドメインを明らかにした。これらの解析結果は論文作成に向けた大きな成果であるため、本課題はおおむね順調に進んでいると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、AirID法で見出したリン酸化KIF1C特異的な会合分子とがんの浸潤突起の伸長・成熟の分子機構との関わりについて解析を行う。また、申請者はリソソーム局在変化に関わるKIF1C配列内のドメイン構造を明らかにした。見出したKIF1Cのドメイン構造にはダイニン活性化因子Hook3と結合することが既に報告されている。今後は、Hook3を介したKIF1Cとダイニンによるリソソームの細胞内局在制御について解明することを目的としている。また、これらの活性化制御についてKIF1Cのリン酸化が関与するのかについても解析する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)