Project/Area Number |
21K20725
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0801:Pharmaceutical sciences and related fields
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
堀 英生 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (90903526)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 糖尿病 / iPS細胞 / 血管内皮細胞 / 酸化ストレス / 血管デバイス |
Outline of Research at the Start |
申請者は、2型糖尿病モデルラットの血管を用いて動脈硬化発症・進展の要因となる酸化ストレスの亢進機序の解明および治療法に関する研究を行ってきた。しかし、本来、糖尿病における血管障害に対する治療法の開発を行うためには、糖尿病モデル動物ではなくヒト由来の血管細胞および組織が必要となる。また、生体機能を高度に維持したヒト血管細胞および組織の入手は極めて困難である。そこで本研究では、ヒトiPS細胞を用いて高機能を有する動脈性の血管内皮細胞の分化誘導並びに生体模倣システムを利用したデバイスの開発を行い、糖尿病によって促進される動脈硬化に対する治療法の開発に利用可能な血管モデルを創製することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
【ヒトiPS由来血管内皮前駆細胞から動脈性の血管内皮細胞への分化誘導】本研究室でヒトiPS細胞から分化誘導した血管内皮前駆細胞を用いて動脈性の血管内皮細胞への分化誘導を試みた。まず初めに、ヒトiPS細胞から直接、血管内皮細胞に分化誘導する際に使用された細胞外マトリックスと因子(タンパク質)などの条件下で動脈性の血管内皮細胞に分化誘導できるかを試みた。しかし、同条件下では、動脈性の血管内皮細胞へ分化誘導することは困難であった。そのため種々の細胞外マトリックスおよび因子(低分子化合物、ペプチドおよびタンパク質)を用いてより効果的に分化誘導できる条件を検証した。その結果、効率的に動脈性の血管内細胞に分化誘導できる条件を確認することができた。 【動脈硬化発症機構の再現】hTERT遺伝子導入不死化臍帯静脈血管内皮細胞(HUEht-1)を用いてTNF-α添加条件下および高血糖条件下における活性酸素種(ROS)産生増加の検出条件を検討した。結果、上記条件下におけるROS産生の増加と抗酸化物質処理によるROS産生増加の減少が確認でき、ROSの産生増加を検出ができる条件を確立することができた。今後は、上記で作製した動脈性の血管内皮細胞を用いてTNF-α添加条件下および高血糖条件下において初代培養動脈由来血管内皮細胞と同様な挙動を示すか検証を行う。 【血管デバイスにおける血管内皮細胞の培養】血管デバイスでは、種々の血管内皮細胞を用いてその培養条件を検討した。静置での培養は行えるものの、培地を灌流すると細胞が剥がれてしまう場合があるため、さらに検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究計画では、ヒトiPS細胞から分化誘導した血管内皮前駆細胞から動脈性の血管内皮細胞へ分化誘導法を確立した上で、高血糖条件下における活性酸素種の産生状況の確認や血管デバイス上での培養方法を確立する予定であった。しかし、COVID-19やロシア情勢の影響でヒトiPS細胞から血管内皮前駆細胞へ、血管内皮前駆細胞から動脈性の血管内皮細胞に分化・誘導する際に使用する培地や血清の入手が困難となった時期があり、実験に使用する血管内皮前駆細胞の作製が進まなかった。また、血管内皮前駆細胞から動脈性の血管内皮細胞への分化誘導法の検討に時間を要してしまった。そのため、その後の高血糖条件下での血管内皮細胞における活性酸素種の産生に関する検討は行えておらず計画から遅れが生じてしまった。 一方で血管デバイスにおける血管内皮細胞および血管平滑筋の共培養条件の検討では、血管内皮細胞(単層)の培養方法、特に培地を灌流する際の条件検討に時間を要してしまい共培養の条件の検討にまで至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
【ヒトiPS由来血管内皮前駆細胞から動脈性の血管内皮細胞への分化誘導】因子(低分子化合物、タンパク質など)、培養期間、細胞外マトリックスについて検討して得られた動脈の血管内皮細胞を用いてRNAシーケンスを行い、動脈由来の血管内皮細胞とどの程度類似しているかを検証する。また、血管内皮細胞の特性を保持しているかについても分化誘導後確認を行う。 【動脈硬化発症機構の再現】上記で作製した血管内皮細胞をTNF-αおよび高グルコース条件下で培養し、ROSの産生について確認する。ROSの産生増加が認められれば、現在までに報告のある機序について、遺伝子発現や試薬を用いて検討を行う。また、接着分子であるEセクレチン、intercellular cell adhesion molecule-1(ICAM-1)、vascular cell adhesion molecule-1(VCAM-1)の遺伝子発現およびタンパク質発現についても検討を行い、作製した血管内皮細胞が血管内皮障害モデルとして使用可能か検証を行う。 【血管デバイスにおける血管内皮細胞の培養】現在、培地を灌流する際の条件が整っていないため引き続き検討する。条件が整い次第、上記と同様にTNF-αおよび高グルコース条件下で培養可能かどうか、また、動脈硬化発症機構に関与するROS産生および各関連物質の遺伝子発現やタンパク発現について検討をお行う。 【血管デバイスにおける血管内皮細胞と血管平滑筋細胞の共培養】血管デバイスにおいて血管内皮細胞の培養法(単層)が確立された段階で血管平滑筋細胞との共培養の検討を行う。条件が整い次第、上記と同様にTNF-αおよび高グルコース条件下で培養可能かどうか、また、動脈硬化発症機構に関与するROS産生および各関連物質の遺伝子発現やタンパク発現について検討を行い、静置培養および血管デバイスにおける単層培養と比較する。
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