粘液線維肉腫に対するホウ素中性子捕捉療法(BNCT)を用いた新たな治療方法の開発
Project/Area Number |
22K09376
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56020:Orthopedics-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤本 卓也 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (00397811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 実 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (00319724)
河本 旭哉 神戸大学, 医学部附属病院国際がん医療・研究センター, 医学研究員 (30420558)
原 仁美 神戸大学, 医学研究科, 助教 (40437489)
安藤 徹 神戸学院大学, 薬学部, 助教 (50639226)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 粘液線維肉腫 / ホウ素中性子捕捉療法 / 細胞株 / 担がん動物モデル / BNCT / BPA |
Outline of Research at the Start |
まれな悪性軟部腫瘍である粘液線維肉腫に対する治療は、手術による全切除である。しかし、高齢者の四肢に好発するびまん性浸潤を特徴とする腫瘍であるため、患者の多くが侵襲的な治療により術後の日常生活の活動度に大きな影響を受ける。ここで、近年、腫瘍細胞内にホウ素製剤(BPA)を取り込ませ、熱中性子線照射によるホウ素との核分裂反応により腫瘍細胞のみを選択的に死滅させるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)が着目されている。そこで、本研究は、新たに樹立した粘液線維肉腫細胞株の担がん動物モデルを用いて、BNCTによる抗腫瘍効果を検討し、BNCTを用いたより侵襲の少ない新たな治療方法の開発を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
原発性の粘液線維肉腫に対する治療の原則は手術による全切除である。しかし、体幹部などの手術困難な部位での腫瘍の発生例、あるいは、粘液線維肉腫は高齢者の四肢に好発する腫瘍であるため、侵襲的な手術による術後の活動度の低下などにより、特に高齢の罹患者では治療に難渋する場合が多い。ここで、近年、腫瘍細胞内に選択的にホウ素製剤(BPA)を取り込まさせ、熱中性子線照射による中性子とホウ素との核分裂反応により腫瘍細胞のみを選択的に死滅させるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)が着目されている。そこで、本研究では、粘液線維肉腫に対するBNCTを用いたより侵襲の少ない治療方法の可能性について検討を行った。令和5年度は、令和4年度に施行した粘液線維肉腫に対するホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の効果を解析し、その結果を学会等で報告・検討した。本研究では、上肢発生の粘液線維肉腫に罹患した患者から新たに樹立した腫瘍細胞株からヌードマウスを用いた担がん動物モデルを作成した。同担がん動物モデルを用いてBNCTを施行したところ、ホウ素製剤BPA投与後のホウ素の体内動態の解析からは腫瘍細胞へのホウ素の集積はやや低値であるにも関わらず、BNCTによる抗腫瘍効果を認めた。そこで、組織検査にて検討を行うと、粘液を産生する腫瘍細胞のため、単位体積あたりのホウ素の取り込みが見かけ上少なくなることが要因と考えられた。これは、粘液線維肉腫に対してBNCT施行を検討する際に、BPA取り込みが過小評価されBNCT適応が無いと判断される可能性があることを示唆する。さらに、粘液線維肉腫のみならず腫瘍細胞密度が低い腫瘍に対するBNCTの検討時には、適応について十分な注意を要することを意味する。これらの検討結果は学会にて報告し同意を得た。そして、粘液線維肉腫は、BNCTによる抗腫瘍効果が期待できる肉腫の一つである可能性についても確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
樹立した粘液肉腫の細胞株を用いた担がん動物モデルに対して、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)を施行し、抗腫瘍効果が得られることを確認した。また、粘液線維肉腫では、ホウ素製剤(BPA)の取り込みが過少評価される可能性が示唆された。学会にて報告し、これらの結果について検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた研究成果は、さらに国際学会にて公表する。その結果についての多くの研究者からの意見を参考にしつつ、国際学術誌で粘液線維肉腫に対するホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の可能性について論文として報告する。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)