空間的に精緻な流動・物性分布計測が解き明かす粘弾性流体の不安定流動遷移の起源
Project/Area Number |
22K14183
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 19010:Fluid engineering-related
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
市川 賀康 東京理科大学, 工学部機械工学科, 助教 (00825060)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 粘弾性流体 / マイクロ流体 / 蛍光分子ローター / 粒子画像流速計 / ソフトマター / 高分子溶液 / 粘度分布イメージング / 粘度分布計測 / 3次元3成分流速計測 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,せん断速度によって粘度が変化する粘弾性流体を対象とし,マイクロ流路中における不安定挙動へ遷移する際の3次元的な流動構造および粘度分布を,PIVやPTV,さらには粘度プローブを用いた精緻な蛍光輝度分布の取得など,光学的手法を駆使して計測し,流動補変化と遷移に至る起点の解明と定式化に取り組む.これにより,粘弾性流体の流動現象の理解や不安定挙動の予測に貢献する.
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Outline of Annual Research Achievements |
粘弾性流体に対して断続的なせん断速度が働くように,連続した急拡大・急縮小構造を有するマイクロ流路内部の流動について調査を行っている.当該年度は,高分子であるポリアクリルアミド(HPAM)水溶液を用いて,マイクロ流路内における流動の様子を,PIVおよびPTVを駆使して調査した. まず,高分子の干渉が無視できない準希薄状態の溶液を用いて実験を行った.そして,shear bandingと呼ばれる,異なるせん断速度の層が形成される不安定現象が構造間で生じることを確認した.特に,構造間内部の低速流動域において,回転およびせん断の両方の挙動を示す複雑な流動が形成されることを明らかにした. 続いて,高分子同士の干渉が無視できる希薄状態の溶液を用いて,同様に構造間の流動を調査した.その結果,構造間には応力緩和のために低速域が形成され,低速域内部の流動は,流量の増大に伴い急激な速度変動を有する流動状態へと遷移することを確認した.この状態における低速域の流動は非定常的ではなく,周期的な振動挙動を示した.そのため,特定の流路構造および実験条件においては,粘弾性流体であるHPAMの溶液は流量の増大に伴って定常状態から非定常状態へと一気に遷移するのではなく,周期的な状態を経て非定常状態へと遷移することが示唆された. また,粘弾性流体の粘度分布イメージングを実現すべく,溶液の粘度に反応して蛍光輝度が変化する蛍光分子ローターを使用した計測法の確立にも取り組んだ.そして,急拡大・急縮小構造を有するマイクロ流路中で局所的に変化する粘度分布の可視化にも成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は,連続的な急拡大・急縮小構造周りにおいて希薄および準希薄溶液の挙動と,構造間に形成される低速域の詳細な流動構造を捉えることができ,溶液濃度の差異が流動に及ぼす影響を評価することができた.それだけでなく,低速域の振動挙動の詳細について流速分布計測の観点から明らかにし,複数の現象が同時に生じた結果,複雑な流動が形成されていることをある程度突き止めることができた. 粘度分布イメージングについても,当初は蛍光異方性を用いた方法によって行う予定だったが,蛍光分子ローターを使用した方法の方がより簡単かつ詳細に,局所的に変化する粘弾性流体の粘度分布計測を実現しうることが示唆された. このように,現象の解明および計測法確立の2つの点においてある一定の成果を収めることができているため,本研究は順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
希薄溶液を用いた際,構造間に形成される低速域の振動が流れ方向に対して遅れ挙動を示すことを定性的に明らかにしている.今後は,低速域内部の時系列的な速度分布に着目し,計測位置間における流速分布の相互相関を計算し,実験条件毎の具体的な遅れ時間の算出と,なぜこの遅れが生じているのか考察に取り組む.また,低速域内部の可視化において,トレーサ粒子が3次元的な挙動を示すことも確認しているので,単視野で3次元3成分計測が可能な非点収差PTVを駆使して,低速域内部における具体的な3次元流動構造を明らかにする. 粘度計測については,蛍光分子ローターを使用した計測とその高度化に今後も取り組み,粘度分布の速度計測結果を,PIV等によって得られた速度分布から算出されるせん断速度の分布と比較を行うことで,手法自体の有効性を示す. 最後に,流動構造と粘度分布の観点より,平均速度場と粘度場から流体に働く応力を求める.そして,定常状態から周期振動状態,更には非定常状態への遷移に係る応力の働き方について調査を行う予定である.
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)