NISレポーター遺伝子の変異を応用した高感度生体移植後細胞モニタリング法の開発
Project/Area Number |
22K15581
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
能勢 直子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (80642404)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | NIS / 分子イメージング / 核医学レポータータンパク / 基質特異性 / PET / SPECT / 細胞治療 / レポーター遺伝子 / 生体内トラッキング / 核医学イメージング |
Outline of Research at the Start |
細胞治療は革新的な治療法の一つとして期待されるが、投与された細胞がいつどのように生体内に分布すれば治療効果向上に繋がるのかは未だ不明である。
本研究では、放射性同位元素を利用したイメージングを用いて、レポータータンパクであるナトリウム/ヨウ素共輸送体(NIS)を事前に治療細胞に発現させることで、生存投与細胞の体内分布を高感度かつ長期的に追跡可能な細胞トラッキング法の確立を目指す。特に、NIS遺伝子の野生型と変異型の基質特異性が異なる点に着目し、トレーサ集積を増やして細胞検出感度の向上を試みる。 生体への移植後細胞を正確にモニタリングする手法を開発し、将来的に細胞治療の治療プロトコルを改良に繋げる。
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Outline of Annual Research Achievements |
細胞治療は革新的な治療法の一つとして期待されているが、投与された細胞がいつどのように生体内に分布すれば治療効果向上に繋がるのかは未だ不明である。そこで本研究では、ラジオアイソトープを利用した高感度イメージングを用いて、レポータータンパクであるナトリウム/ヨウ素共輸送体(NIS)を事前に治療細胞に発現させることで、生存投与細胞の体内分布を高感度かつ長期的に追跡可能な細胞トラッキング法の確立を目指す。特に本プロジェクトでは、NIS遺伝子の野生型と変異型の基質特異性が異なる点に着目し、トレーサ集積を増やして細胞検出感度の向上を目指している。
具体的には、核医学レポータータンパクの1つであるNISを移植用細胞に発現させておき、反復的に移植後細胞の放射性同位元素取り込み量を測定し、長期的な生体移植後細胞の動態と生着能を評価する。さらにNIS遺伝子の野生型と変異型では基質特異性が異なり、遺伝子型ごとに異なる放射性同位元素を取り込むという性質を利用し、異なる遺伝子型のNISを発現させた複数種の細胞を同時移植し、各々の動態と生着能の違いを確認し、検出システムを最適化する。
今年度は、NIS遺伝子変異型の遺伝子合成を行い、各遺伝子をプラスミドベクターへ組み込むことに成功した。現在、幹細胞に野生型NIS遺伝子を発現させたNIS発現細胞株の作成に成功し、動物実験に供する為、安定的に継代している。NIS発現細胞株を用いたin vitro実験では、取り込み時間や培地や阻害薬の影響など条件検討を行い、NISの活性評価を行った。また、健常動物におけるNISの生理的トレーサ集積を確認するため、小動物用SPECTおよびPET装置を用いて、健常マウス生体内での放射性同位元素の分布をイメージングし、定量評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標である、1) NIS発現細胞株の樹立、及び、2) NIS発現細胞に対する放射性同位元素取り込みの至適条件検討、については概ね完了し、加えて、2年目に予定していた3) NIS遺伝子型の違いに伴う各種トレーサの取り込み差異の比較検討に用いるプラスミドベクターの作成にも着手していることから、概ね順調に進展していると判断できる。特に、今年度は新型コロナウイルスの影響により、使用予定であった海外製造試薬や細胞の輸入遅延などにより、予定していた実験計画の変更も生じたが、より良い方法で研究成果を出せるよう努力し、関係者らとミーティングでの情報収集も進めている。 具体的な研究内容に関しても、細胞への遺伝子導入、in vitro実験による細胞活性評価も進んでおり、研究資材の輸入遅延による実験の遅れなどのやむを得ない遅れを除き、研究自体は計画通りと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、NIS変異型遺伝子を発現させたプラスミドベクターを作製し、NIS発現細胞株を作成する予定である。こうして作成した複数のNIS発現細胞株を用いて、I-125, Tc-99mまたは F18-tetrafluoroborateを培地に加え、トレーサとの結合や細胞への取り込みをガンマカウンターにより測定する。 最終的には、NIS発現細胞株を健常動物へ投与後、装置に応じた適当なトレーサを投与し、小動物用SPECTおよびPET装置を用いて、生体内での放射性同位元素の分布を経時的に評価する。また、NIS遺伝子を細胞に遺伝子導入せず、NIS遺伝子を直接ウイルスに遺伝子導入して生体内投与した場合に、生体内へ細胞投与した場合と同じ体内分布、NIS発現が得られるかについても検討を行う予定である。 イメージングで得られたデータは、定量評価を行い、NISタンパクの発現による基質特異性の違いを利用したトレーサの取り込みの差については、NIS遺伝子を導入・発現させた複数の細胞株を用いて、トレーサ毎の生体内分布の違いで評価する。撮像後は解剖して臓器を摘出し、各臓器の放射性同位元素の取り込みをガンマカウンターにより測定する。 本研究で、核医学レポーター遺伝子を安定発現させた細胞を投与し追跡する生体内トラッキングシステムを開発することにより、細胞治療の分野だけでなく、全ての再生組織の生体内モニタリングに応用が可能であり、診断~治療までの医療全体に大きく貢献する技術となる。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)