糖尿病性腎臓病における糸球体病変形成機序解明を目指した細胞連関の解析
Project/Area Number |
22K16223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53040:Nephrology-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤本 大介 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (00896649)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | シングルセル解析 / 糖尿病性腎臓病 / 糸球体 / 細胞連関 / ポドサイト / メサンギウム細胞 |
Outline of Research at the Start |
本邦において糖尿病性腎臓病(DKD)は透析導入原疾患の第1位を占め続けているにも関わらず、治療満足度・治療貢献度の依然低い疾患である。また病態進展の詳細な機序も十分に解明されているとは言い難い。本研究はこれまで技術的に限界が大きかったDKDに対するシングルセル解析を質の高いレベルで確立することで病態を解明し、従来とは異なる機序に着目した新規治療の開発に繋げることを主目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本邦において糖尿病性腎臓病(Diabetic Kidney Disease, DKD)は腎代替療法導入原疾患の第1位を占め続けているにも関わらず、治療満足度・治療貢献度の依然低い疾患である。また病態進展の詳細な機序も十分に解明されているとは言い難い。本研究はこれまで技術的に限界が大きかったDKDに対するシングルセル解析を質の高いレベルで確立することでその病態を解明し、従来とは異なる機序に着目した新規治療の開発に繋げることを主目的としている。DKD糸球体におけるポドサイト傷害については、既にメサンギウム細胞との細胞連関によるポドサイトの正常な小胞体ストレス応答機構が阻害されることが一因であることを報告しており(Fujimoto D et al. FASEB J 2020)、本研究においてそのストレス応答機構を回復し得る新規薬剤を見出し、病態改善効果が示唆された(Hata Y, Fujimoto D et al. AJPRP 2022)。 シングルセル解析を行う上で、DKDモデルとして糖尿病モデルの中でもネフローゼレベルの蛋白尿、そして結節性病変含めたヒトDKD類似の表現型を示すA-ZIP/F1マウスを用いることとした。糸球体硬化が進行したDKD腎臓のシングルセル解析は一般的に困難であるとされてきたが、我々は独自の方法を確立して質の高い糸球体のシングルセルサンプルの作製に成功しており、正常腎臓と共に複数回のシングルセル解析を施行してデータを蓄積してきた。本データを用いて、DKD糸球体病変の進展機序や糸球体内の細胞間相互作用(細胞連関)のメカニズムの解明を目指す。DKDで特徴的に変動を示す遺伝子やその細胞種特異性に着目することで、治療ターゲットとなり得る遺伝子や経路を見出し、遺伝子改変動物モデルやヒト検体などを用いて病態への関与や機能的意義について解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小胞体ストレス応答機構の中でも小胞体関連分解経路が腎障害進展に果たす役割について検討を行い、その経路をターゲットとする新規薬剤を見出すことに成功し論文として報告することが出来た(Hata Y, Fujimoto D et al. AJPRP 2022)。 また、研究計画において、約3年かけてDKD糸球体の質の高いシングルセルデータベースを構築し、それを用いてDKD病態進展に関与する遺伝子の探索や、細胞同士の相互連関の解明、及びそれらをターゲットとした新規治療法の開発などを目標としていた。現在1年が経過した時点で、動物モデルを用いたDKD糸球体のシングルセル解析を複数回施行し、客観的評価に耐えうる質の高いデータが得られている。また、DKD特異的、また糸球体内の各細胞特異的な遺伝子変動を評価することで、病態への関与が想定される遺伝子を複数見出している。現在、それらの遺伝子改変動物の作製を、CrisprCas9の手法を用いて計画している段階であり、申請した計画に沿っておおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたDKD糸球体のシングルセル解析データに基づき、病態への関与を想定した複数の遺伝子に関して、それらの遺伝子改変モデル動物の作製を進める。それらが呈する腎臓に関連するフェノタイプの解析を行い、病態への関与、機能的意義を評価する。また、ヒトDKD検体での発現評価も免疫染色やIn Situ Hybridizationなどの手法を用いて行う。 並行して各遺伝子機能の阻害薬や活性化薬を用いた投与実験(in vivo/in vitro共に)も検討しており、計画を進めていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)