Project/Area Number |
22K16353
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 54020:Connective tissue disease and allergy-related
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
影山 貴弘 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (40894267)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
|
Keywords | 気道上皮細胞 / エピジェネティクス |
Outline of Research at the Start |
気管支喘息と気道感染症の相互増悪機構は喘息の難治化に寄与することが推測され、古くから多くの研究が行われている。近年、喘息患者由来の気道上皮細胞は、健常人由来の気道上皮細胞に比して、ウイルス感染応答が遅延することが示された。他方、皮膚では上皮幹細胞がエピジェネティック変化を介して過去の炎症を記憶し、その後の反応性を変化させることが報告された。本研究では、「アレルギー性炎症による気道上皮細胞のエピジェネティック変化を介した炎症記憶がその後の気道炎症の強度に影響する。」との仮説のもと、気道上皮細胞の炎症記憶への介入による新規気道炎症制御法の開発基盤を構築する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アレルギー性炎症による気道上皮細胞のエピジェネティック変化を介した炎症記憶がその後の気道炎症の強度に影響する。」との仮説のもと、「慢性アレルギー性気道炎症に起因する気道上皮細胞の炎症記憶の分子機構を解析し、気道炎症重症化の抑制戦略の基礎を築くとともに、気道上皮細胞の炎症記憶への介入による新規気道炎症制御法の開発基盤を構築すること」である。研究実施計画に基づき、本年度は、気道炎症における気道炎症細胞の炎症記憶の役割の解明、アレルギー性気道炎症による気道上皮細胞の炎症記憶の誘導機構の解明を主眼として研究を行った。野生型マウスにHDMを経気道的に反復投与し(day0, 7, 8, 9, 10, 11)、慢性アレルギー性気道炎症(HDM慢性気道炎症)を誘導した。コントロールとしてPBS投与群を置く。HDM慢性気道炎症を惹起したマウス、及びPBSを投与したコントロールマウスの肺から気道上皮細胞を単離し、Chromium Single Cell Multiome ATAC + Gene Expression解析(scMultiome解析)に供し、単一細胞レベルにおける遺伝子発現とエピゲノム状態を網羅的に評価した。その結果、アレルギー性気道炎症によってエピジェネティック変化が誘導されれていることを同定した。さらに同定されたオープンクロマチン領域に結合する転写因子の予測解析を行うことで、炎症記憶に関連するシグナル伝達経路および標的分子について抽出を行なっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、気道炎症における上皮細胞炎症記憶の役割を明らかにする(研究計画1)。さらに、アレルギー性気道炎症による上皮細胞の炎症記憶の誘導機構を明らかにし(研究計画2)、その成果をもとに炎症記憶の制御法の開発基盤を構築する(研究計画3)。上記3つの研究計画を基に、本研究は進めている。研究計画1、研究計画2については、研究実績の概要で記載した通り、おおむね仮説通りの結果が得られ、順調に進展していると考えている。一方で、scMultiome解析で得られた細胞の多くが下気道由来の細胞であったことより、研究計画1については、現在得られている上気道由来の気道上皮細胞を用いた気液界面(ALI)培養のみのデータのみでなく、下気道由来の上皮細胞を用いたオルガノイド培養を用いたデータを得ることも重要な課題であると考えられた。既にこの課題においては、本年度中にオルガノイド培養の系を確立しており、この点からも、研究の進捗についてはおおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進については、まずは研究計画2で行ったscMultiome解析のデータを基に、炎症記憶に関連するシグナル伝達経路・転写因子および標的分子の候補を抽出することを行う。次に、同定した上皮細胞炎症記憶の責任分子候補の発現を確認し、分布が気道上皮特異的であった場合は、CRISPR-Cas9システムを用いて同分子の遺伝子欠損マウスを作製する。発現が特異的でなかった場合はFloxedマウスを入手、あるいは定法により作製し、Tet-on/CCSP-Creシステムなどを用いて気道上皮細胞特異的テトラサイクリン誘導性遺伝子改変マウスを作製する。同マウス及び、コントロールマウスにHDM慢性気道炎症を誘導し、アレルギー性炎症収束後に再度気道炎症を惹起させることで、肺の急性炎症に対する影響を経時的に評価する。 マウス作成に時間がかかるなどの障害が生じることも考慮し、上記と並行して、野生型マウスにHDM慢性気道炎症を惹起した後、候補分子の阻害薬、あるいは遮断抗体(細胞外分子の場合)を投与する系も行う。アレルギー性気道炎症収束後に再度炎症を惹起した後、肺から気道上皮細胞を単離し、エピジェネティック変化、遺伝子発現変化を包括的に解析する。 また、本年度に確立した気道オルガノイド培養の系を用いて、アレルギー性気道炎症による上皮細胞の炎症記憶の役割について、vitroレベルでもより詳細な分子機構を解析する。
|