末梢神経損傷後に出現するMRC1発現マクロファージの機能解明研究
Project/Area Number |
22K16758
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56020:Orthopedics-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松居 祐樹 北海道大学, 大学病院, 医員 (60908193)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 末梢神経損傷 / マクロファージ / 軸索再生 |
Outline of Research at the Start |
末梢神経の再生には、免疫細胞の高度な連携が必要であるが、近年、損傷神経に集積するマクロファージが発現遺伝子の特徴によって、8個の亜群に分類できることが明らかになった。しかし、それぞれのマクロファージが、末梢神経再生過程でどのような機能を発揮しているかは不明のままである。本研究では、亜群の1つであるMRC1発現マクロファージは軸索再生を促進するという仮説を、ラット坐骨神経損傷モデルを使用して検証し、末梢神経損傷の修復機構の一旦の解明を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
末梢神経の再生には、免疫細胞の高度な連携が必要であるが、近年、損傷神経に集積するマクロファージが発現遺伝子の特徴によって、8個の亜群に分類できることが明らかになっている。しかし、それぞれのマクロファージが、末梢神経再生過程でどのような機能を発揮しているかは全くの不明である。申請者はマクロファージの亜群の中でも、MRC1を高発現する集団が、軸索再生部位に一致して出現することを見出した。そこで、本研究は、MRC1発現マクロファージは軸索再生効果を持つという仮説を検証し、末梢神経損傷の修復機構の一部解明を試みる。具体的には以下の3つの項目を明らかにする。目的1:MRC1発現マクロファージの末梢神経損傷後の時空間的分布を明らかにする、目的2:MRC1発現マクロファージの軸索再生に関する役割を明らかにする、目的3:Mrc1発現マクロファージが分泌する神経突起伸長を持つ液性因子を同定する。今年度は、ラット坐骨神経圧坐損傷、切断損傷モデルを使用して、MRC1発現マクロファージが再生軸索の先端に関連した位置に存在することを同定した。また、MRC1マクロファージ特異的死滅薬である、mannosylated clodronate liposomeを使用して、MRC1発現マクロファージを死滅させたところ、ラット坐骨神経圧坐損傷後の軸索再生が遅延したことを同定した。さらに、マウス坐骨神経とFACSを使用して、MRC1発現マクロファージを集積し、RNA sequenceを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MRC1マクロファージの末梢神経損傷後の時空間的分布を明らかにするため、ラット坐骨神経に、圧挫損傷、切断損傷を、実施し、経時的に灌流固定した坐骨神経の標本に対して、免疫蛍光染色(CD163、CD206、CD68、panNeurofilament)を実施し、MRC1マクロファージと再生軸索の経時的な関係を明らかにした。その結果、MRC1発現マクロファージが再生軸索の先端に関連した位置に存在することを同定した。続いて、MRC1マクロファージの軸索再生に関する役割を明らかにするために、MRC1マクロファージ特異的死滅薬である、mannosylated clodronate liposome (MCL)を、圧挫損傷したラット坐骨神経ワーラー変性部に、損傷直後に局所投与して、MRC1マクロファージの細胞数を減少させ、損傷2週間後に灌流固定し、坐骨神経標本に対して、免疫蛍光染色(CD163、CD206、CD68、panNeurofilament)を実施した。その結果、MRC1マクロファージの減少が、軸索再生を遅延させることが明らかになった。さらに、Mrc1発現マクロファージが分泌する神経突起伸長を持つ液性因子を同定するため、マウス坐骨神経に圧坐損傷を作成し、1週間後のワーラー変性部を摘出し、コラゲナーゼで酵素処理し、細胞を単離後、FACSにて、CD206陽性かつCD68陽性の細胞、および、CD206陰性かつCD68陽性の細胞をそれぞれ選別し、RNAを抽出後、RNAsequenceを実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
圧挫損傷を加えたマウス坐骨神経から取得した、MRC1発現マクロファージのRNA sequenceの詳細な解析を実施する。また、損傷DRG(後根神経節)神経細胞が発現を増強させる遺伝子を、Gene Expression Omnibusから取得し、Mrc1発現マクロファージが分泌する液性因子の受容体となりうる遺伝子の発現がないか検討し、Mrc1発現マクロファージが分泌する軸索再生の候補因子を絞り込む。続いて、培養DRG神経細胞、NSC34神経細胞を使用して、候補因子(液性因子)の神経突起伸長効果を検討する。もし、候補因子による神経突起伸長効果が観察できない場合には、末梢神経損傷1週間後のDRG神経細胞を使用する。さらに、MRC1発現マクロファージがその液性因子を分泌しているか、Western blottingで確認する。最終的に、圧挫損傷を加えたラット坐骨神経に候補因子を局所投与し、軸索再生促進効果の有無を確定する。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)