Project/Area Number |
22K16962
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56060:Ophthalmology-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢花 武史 東北大学, 大学病院, 助教 (30725213)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 緑内障 / 眼血流障害 / 網膜神経節細胞 / エンドセリン / Glaucoma / Ocular blood flow / Endthelin / Retinal ganglion cell |
Outline of Research at the Start |
我が国失明原因の1位である緑内障の病態は、網膜神経節細胞の細胞死である。緑内障は多因子疾患であると考えられ、エビデンスのある眼圧以外に、血流障害や酸化ストレスなど非眼圧依存因子の存在が報告されている。本研究では強力な血管収縮作用を持つエンドセリンを上昇させ、眼血流への影響、さらには網膜神経節細胞の細胞死を評価し、緑内障の病態の解明と薬物治療の効果を評価していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
緑内障は我が国の中途失明原因の第一位の疾患であり、視覚障害によるQuality Of Life (QOL) の低下とそれに伴う医療費の増大は社会的な問題となっている。このため、緑内障の病態を明らかにし、有効な予防及び治療を講ずることは重要な臨床課題である。緑内障は多因子疾患で、高眼圧以外に、眼血流低下、酸化ストレス、遺伝的要因など複数の要因の関与が指摘されている。患者によってはこれらのリスク要因を複数持つ患者も当然存在することが考えられる。そのため、各リスク因子のそれぞれの影響や病態を詳細に把握することは疾患メカニズムの解明や創薬ターゲットを検討する上で重要となる。中でも血流低下は、歴史的に緑内障との関連が議論されてきており、エンドセリンが関与する末梢血管の攣縮を背景とした慢性的で緩徐な血流障害の存在が示唆されている。しかしながら、実臨床に即した眼血流障害モデル動物は現状存在しない。そこで、本研究では、アデノウイルスをベクターにして、全身のエンドセリン濃度を上昇させたマウスを作製し、眼血流障害を誘導する動物モデルの作製を目指す。レーザースペックルフローグラフィ(Laser Speckle Flowgraphy; LSFG)を用いて、非侵襲的に脈絡膜血流を評価し、慢性的な眼血流障害と網膜神経節細胞の障害についての関連を評価する。過去の検討で作成したAAV-8-CMV-hEDN1をマウス(C57BL/6J)の尾静脈へ投与し、エンドセリンを全身的にかつ長期的に発現させることによって緩徐な眼血流障害モデルの作成を試みた。そのマウスモデルを用いて慢性眼血流障害による網膜神経節細胞死が生じるか検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
AAV8カプシドを用い、ヒトエンドセリン1(hEDN1)のcDNA全長を導入したウイルスベクター(AAV8-CMV-hEDN1)を本研究ではウイルスベクターとして使用した。エンドセリン過剰発現群として9週齢のC57BL/6Jマウス6体にAAV8-CMV-hEDN1を5.0x10^11 gc/mLの濃度で100μL尾静脈から投与した。コントロールベクターとして、もう一方のマウス6体へAAV8-CMV-EGFPを同様の量で投与した。LSFGを用いて、ベースラインとして投与前に3回脈絡膜血流(Mean of All area; MA)を測定した。領域は視神経乳頭を中心に直径135μmの円周内とした。投与後は1,3,8日後にLSFGを撮影し、経時的にMA量が減少することを確認した。エンドセリン過剰発現群は1日目、3日目、8日目でMAの変化に有意差を認めず、11日目に3体が死亡、14日目に3体が死亡した。コントロール群に関しても1日目、3日目、8日目でMAの変化に有意差を認めなかった。エンドセリンの過剰発現群は、全身血流の低下で死亡したことが考えられるため、AAV8-CMV-hEDN1の投与濃度やモデルマウスに関して検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
尾静脈から投与するウイルスベクターのタイターや投与液量を検討することで、個体が死亡することなく眼血流を低下させる条件を検討する。また、硝子体内にウイルスベクターを投与することで、眼局所で特異的に眼血流を低下させるモデルを作製し、視神経ならびに網膜細胞に与える影響を評価する。硝子体内にウイルスベクターを投与する場合はセロタイプをAAV8からAAV2に変更し、1x10^9 gc/eyeのコピー数を投与する。硝子体内投与一か月後にLSFGによる眼血流測定と、その後に眼組織を摘出し抗RBPMS抗体による網膜神経節細胞の染色やエンドセリン受容体の発現等を免疫染色やqPCRにより評価する。
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