超小型バッテリーレスセンシングプラットフォームための機械学習チップ
Project/Area Number |
22K17879
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 60060:Information network-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
横式 康史 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (70893189)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 機械学習 / Binary Neural Network / エナジーハーベスティング / 外れ値検出 / CMOS / デジタル回路 / アクセラレータ / 非線形回帰 / 外れ値予測 |
Outline of Research at the Start |
近年注目を集めている環境問題への取り組みとして、環境から得られる微小なエネルギーを有効活用するエナジーハーベスティングが挙げられる。その微小なエネルギーで動くセンシングデバイスを実現するためには、センサの他にその情報を処理する回路が必要となる。その情報処理の一部を低消費電力で行うために、本研究では機械学習を利用する。センシングに活用可能な、非線形変換、外れ値検出などを低消費電力で実現できるチップの実現に向けた研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
環境問題への対策として、微小なエネルギーを回収してデバイス動作に用いるエナジーハーベスティングが有効である。微細化が可能な小型太陽電池とCMOS回路を組み合わせることで、これまでにないサイズのデバイスを作製可能となる。そのデバイス駆動のためには、得られるエネルギーがごく微量であることから、できる限り低消費電力化がなされることが望ましい。一般にシステム制御に用いられるのはCPUだが、専用のデジタル回路と比較すると消費電力の高さが課題となる。専用回路をCPUを補佐する目的で用いられることもあるが、専用回路はチップ製作後に書き換え不能であるため、製作コストの高いCMOSチップ専用となってしまう。CPUの良さはプログラム書き換え可能であることなので、その利点を潰してしまう。その問題解決策の一つとして、機械学習回路がある。CPUより低消費電力であり、その重みを書き換えることでチップ製作後もその機能を一部変更することが可能である。このような機械学習回路において、一般には画像処理などで大規模なデータのアクセラレータとしての利用は進んでいるが、エナジーハーベスティングを目的とした規模の小さい機械学習回路についての研究はあまり進んでいない。そこで本研究では、最適な機械学習回路を選定するとともに、エナジーハーベスティングに用いるための機械学習チップに必要なMLのパラメータを検証し、最適化されたパラメータから実際にチップを製作しその有用性を検討した。
本年度は、機械学習回路作製のための環境整備、及び試作用の機械学習回路の選定とFPGAによる実装、0.18um 標準CMOSプロセスによる回路実装を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は機械学習回路作製のために必要な計算機などの環境整備を行った。計算機においては、センサ向けの信号、かつ規模がそれほど大きくない回路を学習できれば良いので、それに応じた環境を整備した。その後、機械学習用のツールの選定を行い、PytorchとTensorflowについて、エナジーハーベスティング向けの機械学習回路に向いているかという点を重視して検証した。機械学習用のツールではどちらも人気があるが、低消費電力機械学習回路において、重みのビット数を減らして回路規模を小さくすることのできる技術が有望である。重みを今回実装したBinary Neural Network (BNN)においてはTensorflowが相性が良かったので、Tensorflowを選定した。 次に、機械学習回路の選定を行った。大規模でDeepなモデルにおいて、重みなどの精度を下げても精度がそこまで変わらないという研究報告があり、重みを1ビット化したBNNは回路規模、メモリのサイズを小さくすることができ、低消費電力という点において優位性がある。二値化のため学習時と異なる活性化関数を用いるという点が学習を難しくしているが、近年様々な学習手法が報告されている。更に、先行研究においてBNNをデジタル回路で実装した報告例もあり、FPGA実装や標準CMOSプロセスにおけるチップ製作のしやすさとの親和性が高い。そこで、本研究ではBNNをターゲットとした。 本研究では外れ値を識別する機能を持つBNNをFPGAで実装し動作確認後、0.18um 標準CMOSプロセスによる回路実装を行い、正常に動作することを確認できた。その結果、消費電力は平均電力が82.2 uWであり、駆動時間のみ電力を供給する場合は0.21 μW相当の低消費電力を達成可能であることを示せた。
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Strategy for Future Research Activity |
より魅力的な機械学習チップ製作のためには、さらなる①低消費電力化を進める他に、そもそも②どのようなアプリケーションに応用できるのかを示す必要がある。低消費電力化は使用するプロセスを微細化することである程度達成できる見込みがあるため、本年度では②の方を重視して研究を進める。 アプリケーション応用のためには、良いBNNのモデルを製作する必要がある。そこで今年度はBNNの学習方法についての検討を行い、より精度の高い結果が得られるような手法の検討を行う。更に、本年度は昨年実装したチップ上のBNNの性能評価を行う。特に、PC上のモデルと、実際の回路との差異を調べ、必要であればビット数を増やすなど、誤差などの対策を行う。 アプリケーションについても検討を行い、どのようなモデルがBNNで現実的に達成可能なのかについて検討する。具体的には、外れ値を検出する以外の性能を持った回路が実現可能であるのかについてTensorflowのモデルで学習を行い検討する。その結果を用いてバリエーションを増やした回路を製作して検討を行う。 可能であればFPGAをまたはCMOSチップを用いて、機械学習回路のみの製作だけでなく、周辺回路と接続して、アプリケーション例を示せるようなデバイスの製作を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)