Project/Area Number |
22K20087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0105:Law and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石黒 駿 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 助教 (10876808)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 集団的労働関係法 / 競争法 / EU法 / 米国法 / 労働者性 / 労働協約 / 経済的自由 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、役務提供者(労働者・非労働者)が共同して需要者(使用者、発注者、プラットフォーム等)に交渉を求め、需要者と一定の集団的合意に至る過程で(あるいはその結果として)市場での競争を制限することが、競争法上、どのような場合に許される(べき)かを検討しようとするものである。競争法と集団的労働関係法の双方の観点から、EU法および米国法における状況を調査し、比較法的検討を行う。これによって、役務提供者保護の選択肢の多様性を踏まえつつ、競争法上の評価と集団的労働関係法上の評価との関係を具体的に明らかにすることを試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、第一に、EUにおける労働協約と競争法の関係が問題となったEU裁判所の判例と欧州委員会(競争当局)のガイドラインを中心に、文献研究を行った。 まず、EUにおいてはEU運営条約101条以下の条文上、「事業者」でなければ、違反の主体とならない。また、「労働者」は「事業者」に当たらないとされている。これらのことが持つ意味を確認し、根拠となる判例の検討を行った。 次に、団体交渉の結果として労働協約が締結される場合につき、EU裁判所の判例上、EU運営条約101条の適用除外が認められている。これらの根拠となる諸判例、関連する学説の議論、近時の欧州委員会のガイドラインを検討した。適用除外の要件として、協約の主体や性格に関わる要件(労使団体間の団体交渉の結果であること)と協約の目的に関わる要件(労働条件の改善に貢献すること)の2つがあるところ、EU裁判所で実際に紛争となった事例を見る限りでは、協約の主体や性格が決定的であり、目的は結論を左右する機能を発揮していないことが確認できた。また、欧州委員会のガイドライン(一人自営業者労働協約ガイドライン)は、判例の内容の明確化と法執行プライオリティの明確化(ここでは、一定の労働協約に関して欧州委員会が法執行を控えること)という2本柱でできているところ、実際には全体として委員会の法執行プライオリティに関する態度表明が重視されていることを、一定程度裏付ける結果が得られた。 以上の成果の一部は2023年6月に公刊予定である。 第二に、当初予定していなかったことであったが、2週間ほどフランスに滞在する機会を得て、口頭でのプレゼンテーションや現地での文献調査およびインタビュー調査を実施した。フランスでは労働法と競争法の問題のどこに関心が向けられているのか、労働法学者と競争法学者とで見方がどう異なるのかにつき、一定の傾向を窺うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EU法については、当初の予定通り、一次資料を中心に検討しつつ、二次資料の調査と収集も進めることができた。また、国内での文献調査に加えて在外調査を行うことで、加盟国・専門領域ごとの問題関心や認識の相違について、当初期待していた以上に知見を深めることができた。 米国法については、若干の二次資料を確認するにとどまったが、EU法に関する調査の進展と総合すると想定の範囲内である。
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Strategy for Future Research Activity |
第1年度における検討を踏まえ、EU法、米国法、日本法の横断的検討を行い、助教論文として、検討の成果を執筆する。 そのために、横断的検討の視角を一層明確化したうえで、追加の資料収集と収集済みの資料の精読を進めていく。
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