脳萎縮を引き起こす免疫細胞主体の老廃物脳外排出メカニズムの解明と制御
Project/Area Number |
23K21399
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Project/Area Number (Other) |
21H02818 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
田桑 弘之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 上席研究員 (40508347)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 認知症 / ミクログリア / マクロファージ / 2光子顕微鏡 / タウ病変 / グリア細胞 / 脳内クリアランス / ニューロン / アストロサイト / タウ / モデルマウス / 神経細胞 / 貪食 / 2光子顕微鏡 / 脳萎縮 |
Outline of Research at the Start |
これまでにタウ病変モデルマウスを用いて2光子顕微鏡による生体脳イメージングを行った。実験結果から、タウ凝集体を有する神経細胞をグリア細胞とマクロファージが貪食して、脳外へと排出するメカニズムが明らかとなってきた。次のステップとして、この老廃物排出メカニズムの全容解明と最終的な機能制御を実現するためには、炎症に伴うグリア細胞やマクロファージの多様な機能変化をとらえる評価系が必要と考えた。そこで細胞内の様々な生理パラメータを計測可能な量子センサ技術を生体脳内のグリア細胞やマクロファージに応用することを考え、そのため技術開発を進めている。最終的にタウ病変マウスの脳細胞への応用を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
認知症などの神経変性疾患では、病原性蛋白質が脳内に蓄積してそれがトリガーとなり神経細胞死が進行し、やがて脳萎縮へと至っていく。この脳萎縮の進行過程においてミクログリアやアストロサイトなどの免疫担当細胞が、タウ凝集体を有する神経細胞を貪食することが分かってきた。さらにタウ凝集体を有する神経細胞を貪食の後に脳内外の免疫担当細胞が連携して、それらの神経断片を脳実質外から血管内へと排出することが明らかになりつつある。本研究では、その免疫細胞による能動的な排出メカニズムを明らかにすることを目的とした。これまでにミクログリアとマクロファージの連携による脳外排出メカニズムについて観察レベルで確認していた現象を、脳実質外への老廃物の排出量や血中内へのタウや神経細胞断片の排出量を計測し、現象の定量化を進めた。さらにミクログリア除去による脳外排出メカニズムへの影響を調べて、老廃物の排出機能が抑制されることを示した。また、アストロサイトによる脳実質内の異常タウの取り込み及び血管周囲腔への排出することを示した。上記の脳内クリアランス機能について定量的な評価と検証は、R5~6年度に実施予定であり研究計画よりも先んじて順調に進んでいる。さらに、脳内外の免疫細胞の新たな評価システムの開発も着手している。その為の量子計測技術(量子センサ)を新たに導入する。この生体脳での免疫細胞の機能評価系は、将来的に免疫細胞の制御方法の開発の鍵となると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、認知症などの神経変性疾患の特にタウ病変に着目して研究を進めている。タウ病変では、神経細胞内に異常にリン酸化されたタウ蛋白が凝集して蓄積する。このタウ凝集体を含む神経細胞を貪食したミクログリアが脳実質外へと排出して、さらにマクロファージがその老廃物を再貪食し、血管内へと排出する。これにより異常なタウを含む神経細胞の断片を脳外へと排出していく。これまでの研究において、生体脳イメージングを用いた観察レベルで確認していた当該メカニズムについて、脳実質外への老廃物量や血中内に排出されたタウ量や神経細胞断片の量について定量化を進めた。さらに、令和5~6年に実施予定である薬剤投与(例えばミクログリア除去など)による脳外排出機能の抑制実験も行い、抑制効果が確認できつつある。また、活性化したミクログリアが抑制性神経細胞の機能障害にも関与することを電気生理学的手法と2光子顕微鏡による神経活動イメージングで明らかにしている(Kudo et al., 2023)。さらに、このようなクリアランスメカニズムについては、アストロサイトに関しても同様に観察されている。生体脳イメージングを用いて、脳内に注入された異常なタウ蛋白がアストロサイトの細胞体内へと取り込まれて、血管周囲へと排出されていく様子を観察した。このようなアストロサイトによる老廃物の取り込みは、タウ病変などの炎症状態においては機能が低下することが明らかになりつつあり、今後の研究を進めていく。 今年度と来年度に実施予定であるクリアランスシステムの検証実験は、予定より前倒しで順調に遂行している。さらに、将来的な老廃物クリアランス機能の制御法の開発に向けて、免疫細胞の詳細な評価法を確立して機能制御法補開発の基盤を構築したいと考えている。そのための免疫細胞の評価法の開発を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに2光子顕微鏡を用いた生体脳イメージングにより、脳内外の免疫細胞による排出システムを定量的に評価し、ミクログリア除去などによりメカニズムの検証を進めている。本年度は、“Eat me signals”の候補物質の脳内分布と薬理的に制御した時の脳外排出への影響を調べたい。これまで想定しているいくつかの"Eat me signals"の候補物質について、疾患モデル動物での脳内分布や濃度の経時変化を死後脳解析により調べていく。 将来的に目指す老廃物クリアランス機能に関与する免疫細胞の制御法の開発を行っていく上で、免疫細胞の機能評価が極めて重要になる。また、免疫細胞の詳細な機能評価系の開発は、脳内クリアランスに機序解明にも同時に役立つと考える。そのために、量子計測技術を用いた多項目計測を生体脳内の免疫細胞で実施するための計測系の確率を目指す。ここでの量子計測技術は、量子センサを用いる予定である。計測系の構築については、1)量子センサの脳内導入方法の検討、2)量子センサ計測を生体脳イメージング用の顕微鏡に応用するための光学系および固定具の開発を進める。
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Report
(2 results)
Research Products
(17 results)
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[Journal Article] Selective dysfunction of fast-spiking inhibitory interneurons and disruption of perineuronal nets in a tauopathy mouse model.2023
Author(s)
Kudo T, Takuwa H, Takahashi M, Urushihata T, Shimojo M, Sampei K, Yamanaka M, Tomita Y, Sahara N, Suhara T, Higuchi M
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Journal Title
iScience
Volume: 26
Issue: 4
Pages: 106342-106342
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] A first-in-human study of 11C-MTP38, a novel PET ligand for phosphodiesterase 72021
Author(s)
Kubota Manabu、Seki Chie、Kimura Yasuyuki、Takahata Keisuke、Shimada Hitoshi、Takado Yuhei、Matsuoka Kiwamu、Tagai Kenji、Sano Yasunori、Yamamoto Yasuharu、Okada Maki、Kikuchi Tatsuya、Ichise Masanori、Kawamura Kazunori、Zhang Ming-Rong、Higuchi Makoto
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Journal Title
European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging
Volume: 41
Issue: 11
Pages: 2928-2943
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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