Project/Area Number |
23K23689
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Project/Area Number (Other) |
22H02424 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小谷 知也 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (30389069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江幡 恵吾 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (10325772)
石川 学 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (60284915)
塩崎 一弘 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (70390896)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥10,270,000 (Direct Cost: ¥7,900,000、Indirect Cost: ¥2,370,000)
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Keywords | デトリタス / ウナギ類仔魚 / 微小口径仔魚 / 動物プランクトン / 植物プランクトン / 微細藻類 / Tisochrysis lutea / Chaetoceros neogracile / 青色LED / 強通気 / 海産ツボワムシ類 / 冷凍 / 解凍 |
Outline of Research at the Start |
本研究計画は、人為的にデトリタス(分解性有機物粒子)を作成し、デトリタス食性の海洋生物、特にウナギ類仔魚および貝類幼生飼育の基礎となる技術開発を行う。このために、 ①屋内で実施する微細藻類の集約的高密度培養技術の開発 ②微細藻類を餌料として培養した動物プランクトンの自己分解および酵素処理技法の検討 ③作成した人工デトリタスの餌料価値の確認 、を実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である、人工デトリタスを作成するためには、微細藻類の大量培養が必須であるため、この培養技術を確立した。ハプト藻Tisochrysis luteaおよび珪藻Chaetoceros neogracileの培養については、市販の培養液を用いた。真正眼点藻の培養に実績のある化学肥料の改変混合物も培養に利用可能であったが、市販の培養液に及ばなかった。これについては、今後改良を行う予定である。これに加えて、過去に研究者グループが特許取得および論文公開で実績のある青色LEDの照射を試みると共に、各細胞に対する均等な光照射と沈降を防ぐために、強通気を実施したところ、両微細藻類種で100L規模の大量培養に成功した。 この微細藻類を用いて、海産ツボワムシ類の大量培養を試みたが、両藻類の単独給餌ではワムシが増殖しなかった。結果として、市販の淡水クロレラで培養した後に、Ti. luteaおよびC.neogracileを混合して給餌し、24時間培養して、栄養的に強化した。この培養をペースト化して凍結し、その後解凍して、24時間後の栄養価について評価した。結果として、タンパク質の分解が確認され、アミノ基の数から遊離アミノ酸が増加したことを確認した。一方、脂肪酸、特に一般的に仔魚の生残や成長に効果のあるn-3高度不飽和脂肪酸のDHAとEPAの量は解凍前と解凍処理後の間で差は無く、栄養価的には問題ないと判断した。 今年度は、ニホンウナギの仔魚が入手できなかったために、水族館から提供を受けたチンアナゴ卵からふ化した仔魚を利用して試験を行った、無給餌(3日齢で全滅)と比較して、11日齢まで生残を確認し、50%以上の生残は8日齢まで確認できた。したがって、作成した人工デトリタスは餌料として一定の効果を有すると考える。 ニホンウナギ親魚養成で、卵や精子の排出を確認できたが、受精卵形成には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までは、人工デトリタスの作成自体には成功しており、その栄養価の確保についても一定の成果を収めている。特にタンパク質の分解と、脂質、特にDHAとEPA量の維持が可能であることが判明したため、今後、これまでに開発した方法でのデトリタスの作成方法に基づいて、開発研究が行えるようになった。 また、ニホンウナギの仔魚を確保することは出来なかったが、チンアナゴ仔魚を使って、試験をすることが可能であった。結果として、無給餌の場合より長い期間生残を確認することが出来、人工デトリタスの餌料価値を確認することが出来た。 これらの成果は、ほぼ予定した通りに得られており、順調に進展していると評価できる。 一方、水流解析も実施し、市販の通常形状での水流は解析できたものの、滞留などが認められ、人工デトリタスを使用する仔魚飼育には不適であったが、年度末に丸底水槽を入手できたために、この点では大きな進捗はなかったものの、翌年度にかけて進捗できるものと期待できる。 また、ニホンウナギの親魚養成にも着手し、性成熟の確認までは出来たが、受精卵の生産には至っていない。 これら2点での遅れが見られるが、翌年度に繋がる成果も見られるため、おおむね順調に進展したと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
デトリタスの作成については、これまでの成果に従って作成を進めるものの、チンアナゴが稚魚に至ることはなかったため、引き続き、栄養価や分解方法の改良に努める。一方で、現状のデトリタスが仔魚の生理状態に与える効果について評価するために、給餌時の仔魚消化管内の酵素活性を測定し、無給餌時と比較して、酵素活性が向上しているかを確認する。 また、年度末に入手した丸底水槽を使用して、水流解析を行い、解凍物が円滑に飼育水槽内を分散するかどうかを確認する。 また、今後、ニホンウナギの受精卵を入手を自前生産で行えるよう進捗させると共に、他機関に協力を呼びかけてニホンウナギだけでなく、口径の小さいハタ類および、引き続きチンアナゴ受精卵の入手に努めて、作成した人工デトリタスに汎用性があるかどうかを確認する。
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