Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1989: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
今年度は,口蓋粘膜の瘢痕組織が,成長期の顎顔面骨のどの範囲まで影響を及ぼすのか,また,外科的侵襲を受けた顎骨に早期に矯正力を加えて積極的に成長誘導を行った場合,顎顔面骨,および,その周囲の口蓋粘膜の組織とくに瘢痕組織の上皮層,腺維性結合組織や膠原腺維の走行にどのような影響を与えるかについて組織学的に検討した。 方法:実験は約4ケ月の同系統の雑種犬を用いて前年度同様に行った。第4前臼歯部における前額断の非脱灰標本を用いて口蓋部,口蓋上顎縫合部,頬骨上顎縫合部を蛍光顕微鏡下にてラベリング像を,また,同部位の口蓋粘膜も顕微鏡下で観察し、対照群,外科処置群,外科処置拡大群を比較した。 結果:外科処置拡大群の口蓋骨は外科処置群と比較して口腔側の新生骨の成形量が多く,しかも,頬骨上顎縫合,口蓋上顎縫合部はラベリング層が厚く新生骨の量が多いことを示していた。従って,拡大による効果が頬骨まで及んでいることが窺えた。 次に,口蓋粘膜を観察すると外科処置群では,上皮は対照群に比べて肥厚し,特に,乳頭層が厚く,粘膜下組織では膠原腺維の束は細く,その走行は不規則であった。外科処置拡大群では,上皮は対照群に比べてわずかに肥厚していたが,同じような乳頭層の高さを示していた。また,粘膜下組織は対照群と比較すると細い腺維の束ではあるが,上皮の表面にほぼ平行に一定方向に走行していた。 結論:瘢痕組織を持った顎骨に対して成長期の早い時期から積極的に矯正力を加えることは,形態的な変化のみならず,新生骨の量や,口蓋粘膜上皮,および上皮下の組織にまで良い結果を与えていることが分かった。
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