2017 Fiscal Year Annual Research Report
リポクオリティ異常に起因する疾患の同定とその分子機構の解明
Project Area | Quality of lipids in biological systems |
Project/Area Number |
15H05905
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉本 幸彦 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (80243038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 誠 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (60276607)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | プロスタグランジン / ホスホリパーゼA2 / プロスタノイド受容体 / 脂質メディエーター / 疾患マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
プロスタグランジン(PG)は、GPCR受容体を介して多彩な疾患の発症に関与するが、各受容体のω3/ω6系PGリポクオリティ応答性は不明である。一方、ホスホリパーゼA2 (PLA2)は脂質代謝の初発酵素であるが、各PLA2欠損は内因性リポクオリティ異常と疾患様の表現型を示す。本研究では、研究代表者と研究分担者が得意とするPLA2と受容体が関与する疾患を解析し、リポクオリティ-受容体-疾患連関の解明と疾患発症の分子機構の解明を目指す。本年度までには、以下の成果を得た。 (1) PG受容体は、Gタンパク質のみならずβarrestin経路を活性化し、これが疾患の発症に寄与する。PG受容体の種類に応じ、ω3/ω6由来PGがどちらの経路にバイアスを示すのかが異なること、さらにカルボン酸のメチルエステル化や11位の官能基が配向性に大きく影響すること、またPG受容体ドメインのうち、細胞内第二ループが単独でGsα活性化能をもち、中央部の芳香族アミノ酸が重要な役割を果たすことを見出した。(2) 特定PG受容体の欠損が「metabolically healthy obesity」をもたらすこと、また本受容体のヒトSNPが代謝性疾患のリスクを担う可能性を見出した。またリポクオリティの違いを認識する特定PG受容体の欠損が、慢性肺疾患や子宮内膜症に関わることを見出した。(3) PNPLA1が分化の進んだ表皮でω-O-アシルセラミド生合成に関与し角質バリア機能に必須の役割を果たすこと、cPLA2αとsPLA2-XがそれぞれPGE2とω3脂肪酸代謝物を介して大腸粘膜保護により大腸炎抑制に関わること、マスト細胞のPAF-AH2がPLA2として働き、その産物ω3脂肪酸エポキシ体が脱顆粒を促進することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者、研究分担者ともに、本領域の目標である「リポクオリティ」を意識した脂質メディエーターと疾患に関する研究を展開し、着実に成果を挙げている。また本研究課題はもちろん、、領域内の他の班員とともに有機的連携を構築し、相互の研究体制を築きつつあることからも、概ね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本領域内の相互支援により、熊本地震からの復興が進み、本課題で導入した質量分析機がフル回転してリポクオリティ解析に威力を発揮している。引き続き、各質量分析センターを核として、公募第二期班員と領域内の有機的な連携を図ることで、領域全体の研究を推進していきたい。
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Research Products
(38 results)