2020 Fiscal Year Annual Research Report
Neural information dynamics in the cerebral cortex and subcortical regions in human decision-making
Project Area | Brain information dynamics underlying multi-area interconnectivity and parallel processing |
Project/Area Number |
17H06314
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
春野 雅彦 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 室長 (40395124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 和子 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 客員研究員 (30379599)
田村 弘 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (80304038)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 脳情報 / 計算理論 / 7テスラMRI / ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではヒト意思決定における大脳皮質と皮質化領域のダイナミックなインタラクションメカニズムを特にヒト社会に大きな意義を持つ向社会行動をターゲットとして解明することを目的とする。 当該年度においては、自己の報酬と電気刺激の量がともに大きいオプション、あるいは、ともに小さいオプションを選択するセルフ条件、自己の報酬と相手の電気刺激の量がともに大きいオプション、あるいは、ともに小さいオプションを選択するソーシャル条件の両者でオプション選択を行う課題のfMRI実験を行うことで、セルフ条件、ソーシャル条件の意思決定神経機構における共通点とソーシャル条件に特有な点を探った。 具体的には、定量的に行動選択とその反応時間を分析するために、価値関数を含むDrift Diffusion Modelを構築し、fMRIデータを解析した。その結果、ソーシャル条件の意思決定で相手の電気刺激量を考慮しない意思決定を行う人ほと、相手の電気刺激に相関した背側前帯状回皮質の活動を示した。さらに、自分の報酬と相手の電気刺激がともに大きな向自己的オプションを選ぶ場合の反応時間が、この背側前帯状回皮質の活動が扁桃体の活動を抑制する程度と相関して長くなることを見出した。これらのデータは、ヒトの向自己行動が、向社会行動を起こす脳活動を抑制することで生じる可能性と、その過程において背側前帯状回皮質と扁桃体のダイナミックなインタラクションが果たす重要な役割を示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではヒト意思決定における大脳皮質と皮質化領域のダイナミックなインタラクションメカニズムを特に社会行動をターゲットとして解明することを目的としている。 現在までに、ヒト社会行動における重要性が報告されている不平等回避と罪悪感回避における、大脳皮質と皮質下領域のインタラクションを明らかにしてきた。また、罪悪感回避における右背外側前頭前野と腹内側前頭前野のインタラクションを明らかにし、この脳情報動態と罪悪感回避のジェンダー差についても報告してきた。今年度は、自己の報酬と電気刺激の量がともに大きいオプション、あるいは、ともに小さいオプションを選択するセルフ条件、自己の報酬と相手の電気刺激の量がともに大きいオプション、あるいは、ともに小さいオプションを選択するソーシャル条件の両者でオプション選択を行う課題のfMRI実験を行い、ヒトの向自己行動が、実は向社会行動を起こす脳活動を抑制することで生じ、背側前帯状回皮質と扁桃体のダイナミックなインタラクションが果たす重要な役割を示唆した。このように、本研究は現在までに、ヒト社会行動における大脳皮質-皮質下領域のダイナミックなインタラクションが果たす役割を明らかにしてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで明らかにしてきた大脳皮質-皮質下領域、大脳皮質-大脳皮質のダイナミックなインタラクションが社会行動の行動選択とその反応時間に対して持つ因果的な貢献を示すためにTMS、集束超音波刺激装置を用いた非侵襲脳活動操作実験を実施する。また、大脳皮質の層構造がこれらのダイナミックインタラクションにおいて果たす機能を特定するために7TMRI装置を用いたfMRI実験を実施する。
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