2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the molecular mechanism for formation and breakdown of biotissues by mathematical modeling
Project Area | Integrated analysis and regulation of cellular diversity |
Project/Area Number |
17H06329
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
越川 直彦 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (70334282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板野 景子 大阪大学, データビリティフロンティア機構, 特任研究員(常勤) (00608416) [Withdrawn]
室井 敦 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 技師・研究員 (60609402)
石渡 通徳 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (30350458)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 上皮間葉移行(EMT) / 間葉上皮移行(MET) / 逆相蛋白質アレイ(RPPA) / 多次元時系列データ / 時系列画像データ / 数理モデル / 肝細胞がん / 生体組織の構築と破綻 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、本研究で主要な解析手法となる逆相蛋白質アレイ(Reverse Phase Protein Array: RPPA)解析のプラットフォームの確立を行った。培養細胞から作製した細胞ライゼートに含まれる目的とする蛋白質の発現、リン酸化等の翻訳後修飾をハイスループットに検出するシステム構築を完成した。現在、解析に使用する抗体のウエスタンブロット(WB)での査定を進めており、EMT、METに関与する細胞内外シグナル分子、受容体、膜蛋白質などの抗体を決定した。RPPA解析に使用できる抗体種についてはHP等で公表する予定である。また、RPPA解析は既法のウエスタンブロット(WB)より高い検出精度があることを見いだした。 正常上皮細胞を用いたEMT誘導に関する検討では、RPPA解析が可能な正常上皮細胞の選択を行い、2株の上皮細胞を選抜した。これまでに、これら細胞のEMT、METを画像で取得するため、細胞膜局在シグナルを付加したEカドへリン、Nカドヘリンのプロモーターの下流に蛍光蛋白質を連結した発現遺伝子を作製し、一過性での発現解析を進めている。 また、正常上皮細胞に加え、先行研究で見いだした肝細胞がん(HCC)細胞のEMTを制御するチロンキナーゼ受容体群に着目した解析も行った。これまでに、HCC細胞のEMT化に寄与する18種のシグナル分子、膜蛋白質の動態を経時的なデータを構築し、研究分担者と数理モデルの構築を進めている。 画像解析については前述のEMT、METを視覚的に捉えることができる上皮細胞が作製中のため、通常のMDCK細胞をTGF-β存在下、非存在下で処理した際の細胞形態の変化の経時的解析をタイムラプス顕微鏡で解析し、その画像データーを数理学者へ送り、層化解析を行ったが、EMTおよびMETへの変化のタイミングが示せず明確な層化解析には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでにRPPA解析法の確立とその解析に必要な40種のEMT関連抗体、および、正常上皮細胞の検討を完了した。また、新たに肝がん悪性化進展制御に寄与細胞シグナルの数理学解析を進め、RPPAによる多次元時系列情報を基に数理モデルを構築し、悪性化進展制御シグナルのシミュレーションの予備的な検討を行った。現在、シミュレーションと実測値の乖離の検証を進め、その検証から肝がん悪性化進展を促進する新たな知見を見出している。上記のEMT関連抗体に加え、約60種の細胞シグナル分子や受容体の抗体を査定し、RPPA技術を本領域の班員の研究に提供できる環境を整えた。
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Strategy for Future Research Activity |
(RPPA解析を用いたEMT過程で惹起されるシグナル伝達経路の多次元時系列解析)イヌ腎臓上皮MDCK、マウス乳腺NMuMG細胞にTGF-βを添加後、30分間隔、24時間、その後、6時間の間隔、240時間まで細胞懸濁液を回収し、RPPA解析による多次元時系列解析によってEMT関連蛋白質の変動の定量情報を取得する。 (画像データに対する領域分割法の適用・画像特徴抽出方法の検討)こ本研究では RPPA 解析によって同定されたTGF-βによって惹起されるシグナル伝達経路と細胞の形態変化を複合的解析することで、分子活性と形態変化の時間的関係を理解することを目的とする。まず、細胞膜局在シグナルを付加したGFPをE-Cadherinプロモーターの下流に連結し、さらに細胞膜局在シグナルを付加したmCherryをN-Cadherinプロモーターの下流に連結し安定発現するMDCK細胞を作成することで、EMT誘導後にGFPからmCherryに蛍光がスイッチされる。また、細胞膜局在化シグナルを付加することで、細胞膜突起などの微細構造も可視化できる。 (肝がん悪性化進展制御の分子機構の数理解析)前年度までに数理モデル、シミュレーション解析が進んでいる肝がん悪性化進展制御の分子機構について継続して検討をする。シミュレーション解析で見出したがん悪性化進展の制御を担う可能性をもつEphA2のリサイクリング、分解を制御している分子を網羅的にCRISPR/Cas9でノックアウトした細胞を作製して検証を行う。
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Research Products
(11 results)