2006 Fiscal Year Annual Research Report
壊死毒ファミリー毒素の構造機能相関と細菌感染における役割の解析
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
18073012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀口 安彦 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00183939)
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Keywords | パスツレラ毒素 / 結晶構造解析 / システインプロテアーゼ |
Research Abstract |
本年度はパスツレラ(Pasteurella multocida)の産生する毒素(PMT)の結晶構造を試みた。PMTはパスツレラで確認されている唯一のタンパク毒素である。その作用には不明な点が多いが、少なくともGqあるいはG12/G13のヘテロ三量体のGTPaseに依存した細胞内情報伝達系を活性化することが知られている。本年度の研究は以下のように行った。PMTのC末領域の組換えタンパク(569-1285残基、以下C-PMT)を作製し、HVJリポソーム法で標的細胞内に導入しPMT活性を確認した。このC末端領域を結晶化し、X線構造解析の手法を用いて、その結晶構造を決定した。立体構造は重原子法を用いて行い、SPring-8でのデータ測定から、1.9Å分解能の詳細な構造を決定することができた。C-PMT分子は711残基のアミノ酸を有し、760個の水分子と1つのリン酸イオン、2つのトレハロースが結合していた。分子全体は、87×84×30Åの大きさで、Trojan Horse様の外観を呈し、N末側からそれぞれTrojan Horseのfeet, body, headに相当するC1,C2,C3の3つのドメインを有し、33個のヘリックスと16個のベータ構造からなることが分かった。C1ドメインは、helicalな構造を持ち、3次元構造のホモロジー検索と細胞内局在解析の結果により、PMTの膜局在に関与することがわかった。C2は、2つのα/βバレルを持つ大きなドメインであるが、その機能は不明であった。C3ドメインは、活性に関与する残基が存在するサイトであるが、α/βhydrolase構造を有し、システインプロテアーゼとの相同性があることが示唆された。
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