2008 Fiscal Year Annual Research Report
壊死毒ファミリー毒素の構造機能相関と細菌感染における役割の解析
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
18073012
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀口 安彦 Osaka University, 微生物病研究所, 教授 (00183939)
|
Keywords | パスツレラ毒素 / 細胞膜 / ターゲティング |
Research Abstract |
種々の粘膜上皮組織に感染する百日咳菌、大腸菌、パスツレラの産生する壊死毒素群(それぞれDNT、CNF、PMT)は作用と構造において相互に部分的に相同性を示すため、壊死毒ファミリーとして分類されている。本研究課題では、壊死毒ファミリー毒素において未解決な点(受容体同定、パスツレラ壊死毒の作用機序解明、全分子立体構造など)の解明を試みる。それぞれの毒素の構造機能相関を明らかにすることによって、細菌毒素の多機能性の分子基盤を理解し、また各壊死毒素産生菌の感染過程における毒素の役割を解明する。 PMTが標的細胞内の細胞質膜近傍に局在するために必須の領域(C1ドメイン)の機能解析を行った。C1ドメインを欠失し、細胞質局在能を失ったPMTの細胞内活性領域(C-PMT)は少なくともフォスフォリパーゼCの活性化能も失っていたが、N-ミリストイル化を介した細胞質局在シグナルペプチドをC1ドメインに代えてC-PMTに付加すると、本活性が回復した。表面プラズモン共鳴法による解析の結果から、C-PMTが種々のリン脂質と相互作用することがわかった。C1ドメインを欠失したC-PMTではリン脂質との相互作用は認められなかった。以上の結果から、C1ドメインは細胞質膜の成分である各種のリン脂質と相互作用することにより、C-PMTを細胞質膜にリクルートするものと考えられた。 一方、DNTの標的細胞への結合に必要な最小領域が、N-末端側の30アミノ酸領域に存在することを明らかにした。現在、この30アミノ酸領域をカバーする合成ペプチドを作製し、これをプローブにした受容体の単離方法を検討中である。
|