2009 Fiscal Year Annual Research Report
壊死毒ファミリー毒素の構造機能相関と細菌感染における役割の解析
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
18073012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀口 安彦 Osaka University, 微生物病研究所, 教授 (00183939)
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Keywords | ウエルシュ菌 / エンテロトキシン / クローディン |
Research Abstract |
食中毒の原因となるウエルシュ菌エンテロトキシン(Clostridium perfringens enterotoxin, CPE)の受容体認識機構を解析した。CPEは標的細胞膜の選択的透過性を破壊する膜孔形成毒素で、タイトジャンクションを構成する4回膜貫通型タンパク質のクローディン(Cldn)を受容体として認識する。Cldnには20種類以上の相同分子が、すべてのCldnがCPE受容体として機能するわけではない。また一方、CPE感受性あるいは非感受性のCldnの中に明らかな共通モチーフは認められていない。 本研究ではCPE感受性のCldnと非感受性Cldnとのキメラ分子をCPE非感受性細胞に構成的に発現させて、発現細胞にCPE感受性が付与されるかどうかを検討した。その結果、Cldnの二つの細胞外ループのうち、第二ループのC末端側の12アミノ酸の領域(CPE-Sensitivity Related Region, CPE-SR)がCPE感受性に関与していることを見いだした。種々のCPE感受性CldnのCPE-SRは、非感受性CldnのCPE-SRに比べて相対的に負電荷を持つ傾向が認められた。そこで、CPE-SRの電荷が逆転するようにアミノ酸変異を導入したCldn作製したところ、やはり負電荷をもつCldnはCPEに感受性を示した。これらのCldnとCPEとの結合はI-125標識CPEを用いた結合解析で確認された。またCPEの立体構造から、本毒素のCldn結合部位が正電荷を持つことが判明した。 以上の結果から、CPEの受容体認識には受容体であるCldnのCPE-SRが必須であり、しかもCPE-SRとCPEとのあいだの静電的引力が両者の相互作用に大きな影響を与えていることがわかった。
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