2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Deciphering Origin and Establishment of Japonesians mainly based on genome sequence data |
Project/Area Number |
18H05511
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長田 直樹 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (70416270)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五條堀 淳 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 講師 (00506800)
河合 洋介 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (30435515)
藤本 明洋 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (30525853)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
|
Keywords | ゲノム / 日本人 / 集団遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の目的は,ヤポネシア(日本列島)における人類の発展の歴史を理解するためには,最初の人類がヤポネシアに到達した以降,どのような時期に,どのような文化的イベントと重なって人口を変化させてきたかという人口動態を,ゲノムデータから推定する手法を確立することである.また,開発された手法を,A01~A03 班の研究結果に適用し,その結果とB01,B02 班が行う考古学・歴史学・言語学的解析における結果を統合し,ヤポネシア人の歴史の統合的理解を目指すことを最終目的とする. 本年度の研究計画として,全ゲノムデータからのヤポネシア人の人口動態推定とその検証,常染色体と性染色体の遺伝的多様性の比較による,性の違いによる移住様式の違いの推定,非SNPデータ解析のための技術開発,の三つを最初にあげた. 全ゲノムデータからの人口動態推定については,現代人数百名のゲノムデータから,ハプロタイプ同祖情報を用いて,縄文期以降のヤポネシア人の人口動態を高解像で推定することに成功した.また,コンピュータシミュレーションによる手法の妥当性の検証を行った.性染色体の解析については,染色体領域ごとに遺伝子浸透率を推定する手法として,いくつかの統計量を用いる手法を確立させた.また,長鎖シークエンス技術を用いた遺伝的変異の検出について,短鎖シークエンスを用いた技術との比較を行い,その有効性を検証した.さらに,希少変異を用いて集団間の遺伝的関係を推定する手法についての検討を行い,実際の古代人ゲノムデータに適用を行った.その他,ゲノムデータを扱う他研究班との共同研究を推進した. 代表・分担研究者全員が,新学術領域のさまざまな会議やイベントに積極的に参加し,計画班メンバーやその他の研究者とゲノムデータ解析手法について共有したり,共同研究の計画について進めたりするなど,領域の推進に対して数々の貢献を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度でもあり,短い期間であったが,当初計画した点をすべて実行しただけでなく,希少変異の解析など新たな方向性の解析手法にも手を付けることができ,当初の予想以上に進展している.
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は現在の研究方針を継続しつつ,公募班も加えた領域全体のさらなる発展に貢献する.人口動態推定手法の開発に関しては,以下の四つの観点から,新規手法の開発・応用を目指す.(1)性染色体の分化様式から,過去に起こった移住様式を解明する手法について検討を行う.性による移住様式の違いがはっきりとしている霊長類種を題材にして,常染色体と性染色体の間での各種統計量の比較を行う.(2)集団の中に稀にしか見られない希少変異の共有度を統計量として集団構造を推定する手法を実装し,ヤポネシア人を含む,東アジア集団に対して適用し,その実用性について検証を行う.(3)次世代シークエンサーデータから,マイクロサテライト多型を同定する手法を確立し,その精度について検証を行う.(4)全ゲノムデータから推定されたハプロタイプ情報(IBD情報)を用いて集団の過去の歴史を推定する手法を開発し,ヤポネシア人ゲノムデータおよび東アジア人ゲノムデータに対して応用することにより,手法の有効性について検証を行う.また,本年度は,上記個別の研究課題に加え,公募班を加えたヤポネシアゲノム領域内での,共同研究効率化システムの構築に力を注ぐ.具体的には,異なる研究班どうしが公共ゲノム解析データを共有するためのネットワークシステムを構築し,試験的に運用を始める.また,領域内の他の班が解読した次世代シークエンスゲノムデータの解析について共同で解析を行い,ヤポネシア人およびヤポネシア人に付随して移動したと考えられる動植物について,集団構造や人口動態の推定を行う.
|
Research Products
(35 results)
-
-
-
-
[Journal Article] Late Jomon male and female genome sequences from the Funadomari site in Hokkaido, Japan2019
Author(s)
Kanzawa-Kiriyama H, Jinam TA, Kawai Y, Sato T, Hosomichi K, Tajima A, Adachi N, Matsumura H, Kryukov K, Saitou N and Shinoda K
-
Journal Title
Anthropological Science
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-