2019 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の非平衡状態構造解析を可能にするケミカル光制御法の開発
Project Area | Non-equilibrium-state molecular movies and their applications |
Project/Area Number |
19H05778
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清中 茂樹 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (90422980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永澤 秀子 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90207994)
古田 寿昭 東邦大学, 理学部, 教授 (90231571)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Keywords | ケミカルバイオロジー / ケージド化合物 / 光制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機化学・薬学・タンパク質化学・ケミカルバイオロジー的な手法を駆使して、光応答能を有さない酵素・受容体タンパク質に対して、光制御可能な方法論を開発することを目的とする。 本年度は、量子収率を向上させた光作動性ケージド化合物の開発に着手した。実際に、古田 寿昭(分担研究者)は、これまでに自身が進めてきたケージド化合物の合成・物性評価の結果を活用し、ケージド化合物のモジュール化を行い、光化学的性質の改変のための設計および合成に着手した。 タンパク質ケミカルラベルに関しては、清中 茂樹(研究代表者)は、これまでに、神経伝達物質受容体のリガンド結合部位近傍への化学修飾(ラベル化)法を開発し、細胞レベルでの選択的なラベル化を実現した。今年度は、この手法を応用してケージドリガンド等のリガンドを二段階で修飾可能なbio-orthogonal two-stepラベル化法の開発を進めた。その結果、イオンチャネル型グルタミン酸受容体に対して、色々なプローブを二段階目で迅速に共有結合修飾できる新たなケミカルラベル化法を開発した。 また、重要な創薬標的として広く認識されているGタンパク質共役型受容体(GPCR)に着目したフォトクロミック光活性制御を開始した。永澤 秀子(研究分担者)は、難治性がんの神経膠芽腫等に高発現し、血小板凝集・血栓抑制、癌の浸潤・転移阻害に対する重要な分子標的であるプロテアーゼ活性化型受容体(PAR)を標的とする創薬研究を進めてきた。その知見に基づき、本年度は、PAR1の細胞内ループドメインを標的とするリポペプチド型アロステリックリガンドを認識部位とする新規GPCR標識プローブ、PA-NC-Glyを合成し、これによって 細胞膜上のPAR1が標識されることが示唆された。さらに 細胞内酸化ストレス制御を目指して光解除型ケージドTBHP化合物の合成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究開始年度でありながら、研究代表者および研究分担者ともに密に連携を取りながら、効率的に研究を進めることができた。実際に、この手法を応用してケージドリガンド等のリガンドを二段階で修飾可能なbio-orthogonal two-stepラベル化に関しては、順調に研究が進み、論文化に向けて、現在まとめている段階である。また、多計画班とも連携を取り、来年度に向けて新たな研究がスタートできるように打ち合わせを重ねた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果に基づき、今後も上記の研究計画内容を展開させる。上記の研究内容に加えて、領域内連携をより強めていく。具体的には、南後班や久保班の協力を得ながら、AMPA受容体リガンド認識部位をタンパク質マトリックスとして利用した化学反応の高速分子動画撮像に関する研究を新たに開始することを計画する。永野班との共同研究として、RuBisCOの反応素過程解析に供するケージドCO2の合成および光反応性の解析を進める。
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Research Products
(11 results)